4月1日付で首都高の通行料金が改定 つまりどうなる?
2022.03.23 デイリーコラム南北方向の移動に要注意
4月1日から、首都高の料金が変わる。これについて一般的には「首都高値上げ」と認識されているが、実は値上げと値下げの両方が行われる。その内容は、具体的にはどういうものだろう(料金は、すべてETC利用の普通車の場合)。
【値上げ】
利用の起点から終点までの距離(ルートは自由)が35.7kmを超える場合、利用距離に応じて、上限1950円(従来は1320円)に値上げされる。
上限が1320円から1950円になれば、約1.5倍の値上げだが、実は首都高を1320円以上利用するケースは、かなりレアだ。
東西方向に目いっぱい横断しても、高井戸~千鳥町間で35.5km、用賀~三郷間で39.9kmなので、値上げ幅はかなり小さい。
ただ、首都高は南北方向に長いので、こちらは、1950円に達するケースがかなりある。
三郷を起点とすると、平和島までで35.0km。そこを超えるとすべて値上げゾーンになり、大黒まで行くと(利用距離57.8km)、1950円に達する。
値上げをしっかり実感させられるのは、「首都高を南北に縦断した場合」と考えればいいだろう。
【値下げその1】
深夜0時から4時までの時間帯に、深夜割引が導入され、2割引きになる。入り口か出口の利用が0時から4時までの間に入っていれば割引対象だ。0時より前に入り口を利用し、PA等で仮眠をとり、4時過ぎに出口を出た場合は対象外。
【値下げその2】
物流への負担増加を避けるため、主に物流業者向けに発行されているETCコーポレートカードを利用する場合、最大割引率が従来の35%から、45%に拡大される。
ETCコーポレートカードとは、道路公団時代の「別納プレート」の流れをくむもので、ETCコーポレートカードを発行している協同組合に加入すれば、個人で取得することも可能だが、NEXCOの利用だけで月額最低3万円が条件となるので、基本的には一般利用者とは無縁。
目標は2990円?
「値下げったって、深夜割引とかETCコーポレートカードとか、われわれとは全然関係ないじゃん!」と思われることだろう。ほぼそのとおりで、一般利用者にとっては、おおむね純粋な値上げになる。
ただ、前述のとおり、値上げを強く実感させられるケースは、かなりレアなはずだ。
今回の料金改定で、首都高の料金収入額は「ほぼトントン」と想定されている。
首都高は基本的にお仕事で使われる道路で、ETCコーポレートカードの利用率が高い。その割引率が10%拡充される影響はかなり大きい。深夜割引20%の影響も同様だ。
平均すると、一般利用者には若干の値上げ、物流業者には若干の値下げに働くだろう。
今回の首都高上限料金の値上げの目的は、首都高が言う「都心部の渋滞を緩和するため」というのはウソで、「全国の高速道路料金の平等性をアップさせるため」というのが真相だ。
首都高の最長距離は87.3km(さいたま見沼~幸浦)。それだけの距離をNEXCOの高速道路(大都市近郊区間料金)で走ったら2990円になる。
それを今回の改定で、2990円ではなく1950円に抑えるのは、これまでの議論で「料金を上げる場合は、激変緩和措置として、従来の1.5倍以内に収める」というルールが決まっているからだ。つまり、いずれは2990円になる可能性が高い。
首都高の料金を決めるのは国土交通省だが、国交省内で議論を行っているのは、幹線道路部会という委員会で、そのメンバーは、14人中11人が大学教授などの学者で構成されている。
別に平等性を確保したからといって、渋滞が減るわけではなく、特段のメリットはないが、それをあえて実行するのは、政治とは無関係の学者たちが決めた、一種の理想論だからなのだ。
(文=清水草一/写真=首都高速道路/編集=藤沢 勝)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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