ボルボXC40リチャージ アルティメット ツインモーター(4WD)/C40リチャージ プラス シングルモーター(FWD)
ハズレなしの安心感 2022.10.14 試乗記 着々と電動化の歩みを進めるボルボは、すでに日本でも「C40リチャージ」と「XC40リチャージ」の2車種の電気自動車(BEV)をリリースしている。今回は前者の前輪駆動モデルと後者の四輪駆動モデルを連れ出し、それぞれの個性の違いを探ってみた。選べる4つのBEV
2025年には日本で販売する車両の45%をBEVにするというボルボ。最初の「C40リチャージ ツイン」の発表から1年もたたないうちに、ラインナップが4モデルに拡大しているのは、その意気込みの表れだろう。
実はスウェーデン本国では、XC40のBEVが先にデビューしていたが、日本では話題性を考えてBEV専用モデルのC40リチャージを最初に発表。当初はツインモーター仕様だけだったが、2022年3月にシングルモーターがラインナップに加わり、さらに2022年5月にはXC40リチャージを追加。XC40リチャージにもシングルモーターとツインモーターが用意され、現在はボディータイプがSUVクーペのC40とSUVのXC40の2つに、パワートレインがシングルモーターとツインモーターの2つになり、計4タイプが自由に選べるのだ。購入を考えている人にとっては、モデル選びが悩ましくも楽しい時間になるに違いない。
ちなみに、XC40に対してC40は20万円高く、“プラス”と呼ばれるトリムレベルを採用するシングルモーターに対して、より装備が充実した“アルティメット”を採用するツインモーターは100万円高と、価格設定は明快である。
今回はその4タイプのなかから、「C40リチャージ プラス シングルモーター」(599万円)と、「XC40リチャージ アルティメット ツインモーター」(679万円)を選んで、そのキャラクターの違いに迫ることにする。
BEVならではの個性
C40リチャージとXC40リチャージは、ともに「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)」を採用するコンパクトモデルで、4440mmの全長や1875mmの全幅、2700mmのホイールベースは共通。全高はXC40リチャージの1650mmに対して、クーペのようなルーフラインが特徴のC40リチャージは55mm低い1595mmとなる。
BEV専用モデルとして登場したC40リチャージは、フロントグリルにボディー同色のカバーが施されるおかげで、これまでのボルボ車とは異なる個性を放っている。これにならい、BEVとガソリンエンジン仕様が存在するXC40でも、BEVのXC40リチャージだけはC40リチャージと同じフロントマスクを採用し、ガソリンエンジン仕様と差別化が図られている。インテリアでもC40リチャージを特徴づける「トポグラフィーパネル」が、XC40リチャージにも備わる。これは、スウェーデンのアビスコ国立公園の地図の等高線をイメージした装飾パネルで、バックライトにより助手席前やフロントドアを彩るものだ。ボディータイプこそ異なるものの、C40リチャージとXC40リチャージは共通のアイテムにより、BEVとしての個性を打ち出しているというわけだ。
一方、フォルムが異なるC40リチャージとXC40リチャージでは、後席やラゲッジスペースに差があり、XC40リチャージのほうが後席のヘッドルームに数cm余裕があり、ラゲッジスペースもC40リチャージの413リッターに対してXC40リチャージが452リッターと上回るのだ。C40リチャージの後ろ姿があまりにカッコいいだけに、デザインを重視するか、機能性を重視するか、実に悩ましいところだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
速いだけじゃないツインモーター
まずはツインモーターから試してみることにする。XC40リチャージ アルティメット ツインモーターのパワートレインは、前後それぞれに最高出力204PSのモーターを搭載することで4WDを構成し、システム総出力は408PSに達する。床下には容量78kWhの駆動用バッテリーを配置し、一充電走行距離は484kmを誇る。
早速走りだすと、アクセルペダルを軽く踏んだだけで、2150kgの重量級ボディーがいとも簡単に動き出す。BEVだけにアクセル操作に対するレスポンスは鋭く、街なかでも高速道路でも小気味よいドライブが楽しめるのが良い。アクセルペダルに載せた右足にさらに力を込めると、上半身がシートに押しつけられるほど強烈な加速に見舞われる。0-100km/h加速=4.7秒はダテじゃない!
それでも前:235/45R20、後ろ:255/40R20のタイヤにトルクを配分することで、加速時にもしっかりとトラクションを確保しているのが4WDの面目躍如。通常の加減速でも、ピッチング方向の動きが穏やかなのは、4WD化のメリットといえる。乗り心地はやや硬めで、そのぶんコーナーを通過する際のロールやピッチングの動きはよく抑えられており、ハンドリングもナチュラル。スポーティーに走らせるのが楽しい仕上がりである。
カジュアルに乗れるシングルモーター
一方、C40リチャージ プラス シングルモーターは、フロントに搭載した231PSのモーターで前輪を駆動する構成。搭載するバッテリー容量はツインモーターより小さい69kWhだが、控えめな出力のおかげで一充電走行距離は502kmと長い。
ツインモーターに比べて最高出力は6割弱というシングルモーターだが、車両重量が2000kgと150kg軽いこともあり、0-4919rpmで最大トルク330N・mを発生するモーターは発進から余裕は十分。高速域でもその勢いは衰えず、あらゆるシーンでストレスのない加速が楽しめる。急加速時に軽いトルクステアがみられたが、気にするほどのレベルではなく、シングルモーター仕様だからといって不満を抱くことはほぼ皆無といえる。
C40/XC40リチャージには、アクセルペダルの踏み加減ひとつで、加速も減速も、またコースティングも可能なワンペダルドライブ機能が備わり、アクセルペダルをオフにすることで完全停止も可能だ。ツインモーターではかなり強力に回生ブレーキが利くが、シングルモーターでは多少利きが緩やかで、そのぶん操作がしやすいのもうれしいところだ。
乗り心地の印象もツインモーターとは違っている。がっちりと路面をつかむようなツインモーターに対して、シングルモーターのサスペンションはストローク感があり、マイルドかつスムーズな乗り心地を示してくれる。そのぶん、高速走行時には多少ピッチングが残ることもあるが、それでも背が高い割に挙動は安定しており、気持ちのいいドライブが楽しめるのだ。
正直なところ、シングルモーターとツインモーターのどちらを選んでも後悔はないと思うが、カジュアルに乗りたい人にはシングルモーターが、スポーティーなドライブを好む人や、降雪地域に住む人にはツインモーターがオススメだろう。
(文=生方 聡/写真=郡大二郎/編集=藤沢 勝)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ボルボXC40リチャージ アルティメット ツインモーター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4440×1875×1650mm
ホイールベース:2700mm
車重:2150kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:204PS(150kW)/4350-1万3900rpm
フロントモーター最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)/0-4350rpm
リアモーター最高出力:204PS(150kW)/4350-1万3900rpm
リアモーター最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)/0-4350rpm
システム最高出力:408PS(300kW)
システム最大トルク:660N・m(67.3kgf・m)
(前)235/45R20 100V XL/(後)255/40R20 101V XL(ピレリPゼロELECT)
一充電走行距離:484km(WLTCモード)
交流電力量消費率:188Wh/km
価格:679万円/テスト車=726万9650円
オプション装備:ボディーカラー<セージグリーンプレミアムメタリック>(13万円)/シート&インテリア<テイラードウールブレンド ミッドナイトジンク>(13万円)/ピクセルLEDヘッドライト<フルアクティブハイビーム付き>+LEDフロントフォグライト<コーナリングライト機能付き>(13万円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダー<フロント&リアセット>(8万9650円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:2649km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
拡大 |
ボルボC40リチャージ プラス シングルモーター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4440×1875×1595mm
ホイールベース:2700mm
車重:2000kg
駆動方式:FWD
モーター:交流同期電動機
最高出力:231PS(170kW)/4919-1万1000rpm
最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)/0-4919rpm
タイヤ:(前)235/50R19 103V XL/(後)255/45R19 104V XL(ピレリPゼロELECT)
一充電走行距離:502km(WLTCモード)
交流電力量消費率:159Wh/km
価格:599万円/テスト車=620万9650円
オプション装備:ボディーカラー<クリスタルホワイトプレミアムメタリック>(13万円)/シート&インテリア<テキスタイル/マイクロテックコンビネーション>(0円) ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダー<フロント&リアセット>(8万9650円)
テスト車の年式:2022年型
テスト開始時の走行距離:1850km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
日産キックスG(FF)/キックスX e-4ORCE(4WD)【試乗記】 2026.7.13 日産のコンパクトSUV「キックス」が、いよいよフルモデルチェンジ! デザインもパワートレインもプラットフォームも刷新された新型は、見ても乗っても長足の進化が感じられる力作となっていた。日産の再生を担う重要モデルの仕上がりを報告する。
-
NEW
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。 -
新型「アルピーヌA110」はどんなクルマに? グッドウッドを駆けたテストカーから読み解く
2026.7.17デイリーコラムアルピーヌが次期型「A110」を示唆する「A110フューチャー」を初公開。グッドウッドで走る姿を披露した。そこから分かる未来のA110の姿とは? 電動化がアナウンスされているが、エンジン車の設定はあるのか? 公式発表とテストカーの姿から深掘りする。 -
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】
2026.7.17試乗記「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。 -
写真で解説する新型「日産エルグランド」
2026.7.16画像・写真新型「日産エルグランド」は、日本伝統の美をデザインに生かしながら、同社独自の最新技術を組み合わせて“走りのよさ”も徹底追求したという意欲作。その見どころを写真とともに解説する。





















































