【F1 2022】アブダビGP続報:フェルスタッペン面目躍如の勝利、ルクレールは雪辱を果たす

2022.11.21 自動車ニュース 有吉 正大
F1最終戦アブダビGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真中央)、2位に入ったフェラーリのシャルル・ルクレール(同左)、3位に終わったレッドブルのセルジオ・ペレス(同右)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1最終戦アブダビGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真中央)、2位に入ったフェラーリのシャルル・ルクレール(同左)、3位に終わったレッドブルのセルジオ・ペレス(同右)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2022年11月20日、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われたF1世界選手権第22戦(最終戦)アブダビGP。王者は王者らしい勝ちっぷりでシーズンを締めくくり、連戦連敗のライバルは最後に名誉を挽回する好走を見せた。

ポールポジションからアブダビGP3連勝を飾ったフェルスタッペン(写真)は、ドーナツターンでシーズンフィナーレに花を添えた。前戦サンパウロGPでの“チームオーダー拒否”については、チームや僚友セルジオ・ペレスを含め「終わったこと」にしたかったレッドブル。実際、予選Q3ではフェルスタッペンがペレスの前で走り、スリップストリームを使わせるチームプレイで、2018年メキシコGP以来となるレッドブル最前列独占を成し遂げた。レースではスタートから敵なし状態で年間最多勝記録を「15」に伸ばし、本人をして「信じられない」と言わしめた圧巻のシーズンを締めくくった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ポールポジションからアブダビGP3連勝を飾ったフェルスタッペン(写真)は、ドーナツターンでシーズンフィナーレに花を添えた。前戦サンパウロGPでの“チームオーダー拒否”については、チームや僚友セルジオ・ペレスを含め「終わったこと」にしたかったレッドブル。実際、予選Q3ではフェルスタッペンがペレスの前で走り、スリップストリームを使わせるチームプレイで、2018年メキシコGP以来となるレッドブル最前列独占を成し遂げた。レースではスタートから敵なし状態で年間最多勝記録を「15」に伸ばし、本人をして「信じられない」と言わしめた圧巻のシーズンを締めくくった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
フェラーリのルクレール(写真)は2位でフィニッシュ。予選直前のプラクティスではタイヤを持たすことができず苦戦するも、日没後に行われた予選ではなんとか持ち直し3位。背後に僚友カルロス・サインツJr.を従えて迎えたレースでは、1ストップ作戦でペレスの前に出ると、使い古しのハードタイヤをなんとか持たせ、ドライバーズランキング2位を守り切った。今季はポールポジションを9回取るも3勝止まり。シーズン前半は、チームの作戦ミスや自らのドライビングエラーなどで勝ち星を取りこぼし、後半はマシンの戦闘力が落ちてメルセデスに先を越されることも多々あったが、最終戦では勝利こそ望めなかったもののレッドブルに一泡吹かせることができた。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真)は2位でフィニッシュ。予選直前のプラクティスではタイヤを持たすことができず苦戦するも、日没後に行われた予選ではなんとか持ち直し3位。背後に僚友カルロス・サインツJr.を従えて迎えたレースでは、1ストップ作戦でペレスの前に出ると、使い古しのハードタイヤをなんとか持たせ、ドライバーズランキング2位を守り切った。今季はポールポジションを9回取るも3勝止まり。シーズン前半は、チームの作戦ミスや自らのドライビングエラーなどで勝ち星を取りこぼし、後半はマシンの戦闘力が落ちてメルセデスに先を越されることも多々あったが、最終戦では勝利こそ望めなかったもののレッドブルに一泡吹かせることができた。(Photo=Ferrari)拡大
レッドブルのペレス(写真)は3位でアブダビGPを終えた。290点で並んだルクレールとのドライバーズランキング2位争いは、予選でフェラーリの前、2位に入ることで一歩リードしてレースを迎えることができたのだが、レースではフェラーリの陽動に引っかかり2ストップを敢行、1ストップで走り切ったルクレールを捉えられずに時間切れとなった。仮に前戦サンパウロGPでフェルスタッペンに6位の座を返してもらっていたとしても、今回の結果ではランキング2位にはなれなかったことになる。今シーズンは2勝、ポール1回、表彰台は11回を数える健闘を見せたが、レッドブル初のランキング1-2はお預けとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのペレス(写真)は3位でアブダビGPを終えた。290点で並んだルクレールとのドライバーズランキング2位争いは、予選でフェラーリの前、2位に入ることで一歩リードしてレースを迎えることができたのだが、レースではフェラーリの陽動に引っかかり2ストップを敢行、1ストップで走り切ったルクレールを捉えられずに時間切れとなった。仮に前戦サンパウロGPでフェルスタッペンに6位の座を返してもらっていたとしても、今回の結果ではランキング2位にはなれなかったことになる。今シーズンは2勝、ポール1回、表彰台は11回を数える健闘を見せたが、レッドブル初のランキング1-2はお預けとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

レッドブル“チームオーダー騒動”の後、ベッテル引退への花道

2022年のF1はようやくラストレース、アブダビGPまでたどり着いた。1年前の最終戦では、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが同点で臨んだ頂上決戦となり、セーフティーカー明けのファイナルラップでフェルスタッペンが大逆転勝利を飾ったのだが、今年はフェルスタッペンの2連覇も、レッドブルの王座奪還も確定済み。とはいえ話題に欠けたかといえばそうではなかったのだから、F1に消化試合はないというものだ。

話題の矛先は、前戦サンパウロGPで6-7フィニッシュとなったレッドブルに向けられた。ブラジルでのレース終盤、ミディアムタイヤで苦戦する6位セルジオ・ペレスに代わり、ソフトで速いフェルスタッペンを前に行かせ、5位フェルナンド・アロンソ攻略に打って出たものの成功せず。最終周にペレスに6位を返すよう指示を受けたフェルスタッペンは、そのチームオーダーに従わず6位のままゴールした。結果、ドライバーズチャンピオンシップでフェラーリのシャルル・ルクレールと2位を争うペレスはルクレールに同点で並ばれ、チーム初のランキング1-2で終わりたいレッドブルにとっては好ましくない状況となってしまった。

その後レッドブルは、すべての責任はチームにあったとする声明を発表。フェルスタッペンに対して十分な情報を与えずに出した指示だったこと、またフェルスタッペンが譲らなかった理由についても納得済みであること、そしてSNSを中心とした誹謗(ひぼう)中傷を非難するといった内容を明らかにしたのだが、フェルスタッペンの“譲らなかった理由”については明言を避けた。ちまたでは、5月の第7戦モナコGPの予選でペレスが故意にクラッシュし、フェルスタッペンのポール争いを邪魔したことが発端になっているのではないかとの臆測が流れているものの、真実は密室の中にとどめられた。

アブダビでは心温まるシーンも見られた。レッドブルで一時代を築き、4年連続でチャンピオンとなったセバスチャン・ベッテルは、このレースを最後にF1の世界を去る。通算勝利数53勝は歴代3位、ポールは57回で同4位といった数々の功績以上にわれわれの記憶に刻まれているのが、誰からも愛される彼の人柄だ。共に覇を競い合ったハミルトンをはじめとするドライバー仲間や、栄冠を共に勝ち取った古巣のレッドブルのメンバー、2015年から6年間在籍したフェラーリのチームクルー、そして世界中の多くのファンが「DANKE SEB(ありがとう、セバスチャン)」と感謝と惜別の言葉を送り、引退への道に花を添えていた。

また今季限りでマクラーレンを離れるダニエル・リカルド、来季はニコ・ヒュルケンベルグにハースのシートを譲るミック・シューマッハー、3年間在籍したウィリアムズを去るニコラス・ラティフィなど、それぞれが慣れ親しんだ仲間たちとの別れを惜しみ、新たな旅立ちに思いを新たにしていた。

激闘のシーズンと長いキャリアの終着点、そしてそれぞれの節目となる、2022年最後のレースウイークが幕を開けた。

メルセデスのアブダビGPは、ストレートの遅さという今季型マシンの悪癖に足を引っ張られた。予選ではルイス・ハミルトン(写真前)5位、ジョージ・ラッセル(同後ろ)6位と、3列目を占めるのがやっと。レースでも表彰台は遠く、ラッセルは5位入賞、ハミルトンはハイドロリックのトラブルで18位完走扱いと地味な結果に終わった。2014年から8年連続でコンストラクターズチャンピオンとなったメルセデスは、今季レッドブル、フェラーリに次ぐランキング3位。シーズン前半の多くの時間をポーポシング/バウンシングの問題解決に費やし、また後半勢いづいてきても直線の遅さというウイークポイントは残った。ラッセルによるサンパウロGP優勝が唯一の勝利。デビュー以来毎年必ず1勝はしていたハミルトンは初めて未勝利に終わったばかりか、ドライバーズランキング6位という過去最悪の結果に終わってしまった。(Photo=Mercedes)
メルセデスのアブダビGPは、ストレートの遅さという今季型マシンの悪癖に足を引っ張られた。予選ではルイス・ハミルトン(写真前)5位、ジョージ・ラッセル(同後ろ)6位と、3列目を占めるのがやっと。レースでも表彰台は遠く、ラッセルは5位入賞、ハミルトンはハイドロリックのトラブルで18位完走扱いと地味な結果に終わった。2014年から8年連続でコンストラクターズチャンピオンとなったメルセデスは、今季レッドブル、フェラーリに次ぐランキング3位。シーズン前半の多くの時間をポーポシング/バウンシングの問題解決に費やし、また後半勢いづいてきても直線の遅さというウイークポイントは残った。ラッセルによるサンパウロGP優勝が唯一の勝利。デビュー以来毎年必ず1勝はしていたハミルトンは初めて未勝利に終わったばかりか、ドライバーズランキング6位という過去最悪の結果に終わってしまった。(Photo=Mercedes)拡大

フェルスタッペン&ペレスでレッドブル最前列独占

ルクレールとペレスによる同点で迎えた2位決戦、さらにフェラーリとメルセデスの19点を挟んだコンストラクターズランキング2位争いの行方を占う予選は、レッドブルが持ち前のストレートスピードを生かして最前列を独占する一方、フェラーリが2列目、また復調著しかったメルセデスが3列目と明確にグリッドが分かれる結果となった。

最速タイムを記録したのはフェルスタッペン。アタック直前にパワーユニットがシャットダウンし一瞬ひやりとしたが大事には至らず、今季7回目、通算20回目のポールポジションを獲得した。ペレスは0.228秒遅れで2位となり、レッドブルはチーム通算25回目、2014年からのターボハイブリッド規定下では2回目となるフロントロー独占に成功した。

2列目のフェラーリは、ルクレール3位、カルロス・サインツJr.は4位。ランキング2位のためにはペレスを抜かなければならないルクレールは「早々に抜くチャンスはある」と自信をのぞかせていた。メルセデスが並んだ3列目には、ブレーキトラブルに苦しんだハミルトン5位、前戦サンパウロGPで初優勝したジョージ・ラッセルは6位となった。

マクラーレンのランド・ノリスは7位、アルピーヌのエステバン・オコン8位、ベッテルは最後のレースでアストンマーティンを9位に導いた。マクラーレンのリカルドは10位につけたものの、前戦の接触のペナルティーで3グリッド降格となり、アルピーヌのフェルナンド・アロンソが10番グリッドに繰り上がった。

かつてルノーと呼ばれた時代にこのチームで2度チャンピオンに輝いたフェルナンド・アロンソ(写真中央)は、今季限りでアルピーヌを離れ、来季はアストンマーティンをドライブすることになる。慣れ親しんだチームでの最後のレースは、10番グリッドからポイント圏内を走るも、水漏れを起こしたマシンでゴールできずリタイア。代わりにチームメイトのエステバン・オコンが予選8位から7位入賞を果たした。アルピーヌはコンストラクターズランキング4位を守り切ったが、今年はマシンの信頼性に度々泣き、またアロンソの離脱やオスカー・ピアストリとの契約を逃すなどマネジメント面でも問題が露呈した一年だった。(Photo=Alpine F1)
かつてルノーと呼ばれた時代にこのチームで2度チャンピオンに輝いたフェルナンド・アロンソ(写真中央)は、今季限りでアルピーヌを離れ、来季はアストンマーティンをドライブすることになる。慣れ親しんだチームでの最後のレースは、10番グリッドからポイント圏内を走るも、水漏れを起こしたマシンでゴールできずリタイア。代わりにチームメイトのエステバン・オコンが予選8位から7位入賞を果たした。アルピーヌはコンストラクターズランキング4位を守り切ったが、今年はマシンの信頼性に度々泣き、またアロンソの離脱やオスカー・ピアストリとの契約を逃すなどマネジメント面でも問題が露呈した一年だった。(Photo=Alpine F1)拡大
マクラーレンでの44戦目、パパイヤオレンジのスーツを着て戦う最後のレースとなったダニエル・リカルド(写真)は、予選で10位、前戦サンパウロGPでの接触による3グリッド降格ペナルティーで13番グリッドからスタートし、結果9位でポイントを獲得することができた。マクラーレンでの2年間では、2021年のイタリアGPで劇的優勝を遂げたものの、僚友ランド・ノリスに先行を許すことが多く、特に今シーズンはシンガポールGPの5位を最高とするも入賞が少なく、契約満了を前に今季限りでチームを離れることとなった。来季のレギュラーシートは決まっておらず、古巣レッドブルにサードドライバーとして戻るという交渉が行われているという。ノリスの最終戦は予選7位から6位。マクラーレンはコンストラクターズランキング5位となった。(Photo=McLaren)
マクラーレンでの44戦目、パパイヤオレンジのスーツを着て戦う最後のレースとなったダニエル・リカルド(写真)は、予選で10位、前戦サンパウロGPでの接触による3グリッド降格ペナルティーで13番グリッドからスタートし、結果9位でポイントを獲得することができた。マクラーレンでの2年間では、2021年のイタリアGPで劇的優勝を遂げたものの、僚友ランド・ノリスに先行を許すことが多く、特に今シーズンはシンガポールGPの5位を最高とするも入賞が少なく、契約満了を前に今季限りでチームを離れることとなった。来季のレギュラーシートは決まっておらず、古巣レッドブルにサードドライバーとして戻るという交渉が行われているという。ノリスの最終戦は予選7位から6位。マクラーレンはコンストラクターズランキング5位となった。(Photo=McLaren)拡大

フェルスタッペン首位キープ、注目はランキング2位争いに

今年で14回目の開催となったヤス・マリーナでのアブダビGPではポール・トゥ・ウィンが多く、なんと過去7年間はすべてポールシッターが勝っていた。そんな統計を知ってか知らずか、今季すでに14勝しているフェルスタッペンは、2022年シーズンを象徴するかのようなレース運びで完勝するのだった。

夕闇迫るなか58周のレースが始まると、フェルスタッペンを先頭に2位ペレス、3位ルクレール、4位ハミルトン、5位サインツJr.といったオーダーでオープニングラップが終わる。その後、フェルスタッペンを脅かすドライバーは現れず、注目はペレスとルクレール、フェラーリとメルセデスのランキング2位争いに集まることとなった。

まずはコンストラクターズランキング2位争いだが、この日のメルセデスには1週間前のサンパウロGPほどの勢いはなく、スタートで出遅れ、またピットアウト時の危険なリリースで5秒ペナルティーを受けたラッセルが5位でフィニッシュするにとどまった。ハミルトンはといえば、1ストップで4位を走っていた残り3周でメカニカルトラブルが生じ18位、7冠王者はついに1勝もできずにシーズンを終えることとなった。

1回目のピットストップを終えた順位は、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位サインツJr.、5位ラッセル、6位ハミルトン。メルセデスが脅威でないことが分かったフェラーリだったが、真っ向勝負でレッドブルを攻略することが難しいことも明白だった。そこでスクーデリアは、第2スティントでギャンブルに打って出たのだった。

2015年から6年間在籍したフェラーリのチームクルーに囲まれたセバスチャン・ベッテル(写真左から3番目)。この週末は、F1ドライバーとしてのキャリアに終止符を打つベッテルを中心に動いていたといっていいぐらい、彼への感謝と惜別の気持ちを伝えるセレモニーが各所で行われた。フェラーリのみならず、古巣レッドブルでも同様の会が行われ、またともにタイトルを争ったルイス・ハミルトンをはじめとするドライバーとの夕食会、レース前日にコースをランニングする送別イベントなども開かれ、多くの関係者やファンが別れを惜しんでいた。最後のアブダビGPでは、予選で今季5回目のQ3進出、アストンマーティンで9位と健闘。299戦目のスタートでもそのポジションをキープするも1ストップ作戦で順位を落とし、前を走っていたハミルトンにトラブルが起きたことでなんとか10位入賞を果たすことができた。4度のタイトル、53回の勝利、57回のポールという数々の記録、そして誰からも親しまれたという記憶を残し、名ドライバーがGPを去った。(Photo=Ferrari)
2015年から6年間在籍したフェラーリのチームクルーに囲まれたセバスチャン・ベッテル(写真左から3番目)。この週末は、F1ドライバーとしてのキャリアに終止符を打つベッテルを中心に動いていたといっていいぐらい、彼への感謝と惜別の気持ちを伝えるセレモニーが各所で行われた。フェラーリのみならず、古巣レッドブルでも同様の会が行われ、またともにタイトルを争ったルイス・ハミルトンをはじめとするドライバーとの夕食会、レース前日にコースをランニングする送別イベントなども開かれ、多くの関係者やファンが別れを惜しんでいた。最後のアブダビGPでは、予選で今季5回目のQ3進出、アストンマーティンで9位と健闘。299戦目のスタートでもそのポジションをキープするも1ストップ作戦で順位を落とし、前を走っていたハミルトンにトラブルが起きたことでなんとか10位入賞を果たすことができた。4度のタイトル、53回の勝利、57回のポールという数々の記録、そして誰からも親しまれたという記憶を残し、名ドライバーがGPを去った。(Photo=Ferrari)拡大
アルファタウリの角田裕毅(写真前)は、昨季自己最高4位入賞を果たした得意のヤス・マリーナのコースで奮闘し、予選では12位、リカルドの降格で11番グリッドとポイント獲得に向けて好位置を得た。レースでは全力を尽くしたというが、終盤にタイヤがパフォーマンスを落としペースが上げられず、入賞圏目前の11位でレースを終えることとなった。F1キャリア2年目の2022年シーズンは、12点獲得でランキング17位。デビューイヤーの32点と比べポイント数は減ったが、マシンの戦闘力不足やチームの戦略ミスなどによるところも大きく、角田自身のドライビングやレースウィークを戦う姿勢からは成長のあとが見て取れた一年だった。来季は新しいチームメイト、ニック・デ・ブリースとコンビを組むことになる。このレースを最後にアルピーヌに移籍するピエール・ガスリーは、予選17位から14位完走となり、今季の獲得ポイントは23点でランキング14位だった。またアルファタウリは8位のハースに2点届かず、コンストラクターズランキング9位に終わった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリの角田裕毅(写真前)は、昨季自己最高4位入賞を果たした得意のヤス・マリーナのコースで奮闘し、予選では12位、リカルドの降格で11番グリッドとポイント獲得に向けて好位置を得た。レースでは全力を尽くしたというが、終盤にタイヤがパフォーマンスを落としペースが上げられず、入賞圏目前の11位でレースを終えることとなった。F1キャリア2年目の2022年シーズンは、12点獲得でランキング17位。デビューイヤーの32点と比べポイント数は減ったが、マシンの戦闘力不足やチームの戦略ミスなどによるところも大きく、角田自身のドライビングやレースウィークを戦う姿勢からは成長のあとが見て取れた一年だった。来季は新しいチームメイト、ニック・デ・ブリースとコンビを組むことになる。このレースを最後にアルピーヌに移籍するピエール・ガスリーは、予選17位から14位完走となり、今季の獲得ポイントは23点でランキング14位だった。またアルファタウリは8位のハースに2点届かず、コンストラクターズランキング9位に終わった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

フェルスタッペン15勝目、フェラーリ&ルクレールは2位確定

レースの折り返しを過ぎた頃から、フェラーリが揺さぶりをかけ始めた。3位ルクレールがペースアップし、2秒半あった2位ペレスとのギャップが少しずつ詰まってきたのだ。34周目にフェラーリは、アンダーカットを狙うそぶりを見せ、ルクレールにピットインを伝えるも、その無線に反応したペレスが先にピットに入ったことで、ルクレールをコースにとどめた。

ペレスは再びハードを装着し6位でコースに復帰。一方で2位にポジションを上げたルクレールは“プランC”、つまりこのままゴールまで走り切る1ストップ作戦に切り替えた。ライバルの作戦を察知し、レッドブルはペレスにペースアップを、トップのフェルスタッペンにはタイヤマネジメントを指示。先頭のフェルスタッペンに不安はなかったが、ペレスが再びルクレールの前に出られるかは微妙だった。

残り15周、2位ルクレールと4位まで挽回していたペレスの差は約10秒。ペレスはハミルトンをかわし3位に駒を進めると、9秒先の赤いマシンを追いかけた。レッドブルが1秒差を詰めれば、フェラーリも使い古しのタイヤで負けじと好タイムをたたき出す。残り5周で4.6秒、4周で3.5秒、3周で2.6秒、2周で2.2秒、そしてファイナルラップに入ると1.9秒と、ペレスが思うように差を縮められないまま、タイムアップとなった。

フェルスタッペンは年間最多勝記録を「15」に伸ばす、面目躍如の勝利でシーズンを締めくくった。そして開幕直後はチャンピオン候補と目されたフェラーリとルクレールは、連戦連敗の末にライバルに一泡吹かせ、ドライバーズ&コンストラクターズランキング2位を死守することができた。

そしてベッテルは、自身299戦目のラストレースで10位入賞を果たすことができた。レース序盤は9位をキープし、8位オコンと激しいつばぜり合いを演じるなど気迫のこもった走りを披露していたが、その後はチームが選んだ1ストップ作戦により我慢を強いられ、ハミルトンの脱落でなんとか手にした最後の1点だった。

今年最後の表彰台にのぼったフェルスタッペン、ルクレール、ペレス、そしてキャリア最後のレースを終えたベッテルのドーナツターンにより、2022年のF1シーズンは幕引きとなった。

(文=bg)

関連キーワード:
F1 2022, モータースポーツ, 自動車ニュース