ホンダNSXタイプS(後編)

2022.12.15 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 2022年をもって生産終了となる、ホンダのスーパースポーツ「NSX」。最後を飾る高性能バージョン「タイプS」に試乗した谷口信輝が、印象に残った点について語る。

お気に入りは「トラック」モード

2代目ホンダNSXの最終モデル、タイプSに箱根のワインディングロードで試乗した谷口信輝は、その圧倒的なパワーとトラクション性能に感銘を受けながらも、「コーナリングの姿勢を楽しむクルマという感じではあまりないから、それほどムキになって走りたいとは思わないですね」と指摘した。その真意を、谷口に解説してもらおう。
「コーナリング中というよりは、例えばS字コーナーに進入する直前の安定感とか、フロントの接地感みたいなのは、もう少し改善できたような気がします。こういうところは、アウディに一歩及ばないかもしれませんね。そうはいっても、タイプSもかなりのレベルで、コーナリングスピードが速いことは間違いありませんが……」

フロントの接地感が不足気味なのは、NSXがミドシップであることと関係があるのだろうか?
「うん、それはあるかもしれませんね。おかげで、フロントにもう少し空力デバイスが欲しいとも思いましたが、サーキットに行ったら、また話は変わってくるかもしれません」

3つのモーターを駆使してハンドリング性能や動力性能を向上させた2代目NSXには「クワイエット」「スポーツ」「スポーツ+」「トラック」という4つの走行モードが用意されている。その全般的な印象を、谷口に語ってもらおう。
「基本的には、スポーツ、スポーツ+、トラックと順に切り替えていったほうがよりパワフルに感じられて楽しいですよね。僕自身は、箱根のワインディングロードで乗っても、トラックが一番楽しいと思いました」

いっぽうで、EV走行を最優先するクワイエットモードに関しては、こんな指摘をした。
「モーターの力だけで走るクワイエットモードは、朝早くとか夜遅くの住宅地を走るには静かで本当にいいんですが、システムを立ち上げたときにエンジンが始動しちゃうのは、いただけない。できれば、ここも無音のまま走り始めたかったですね」

 
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