レクサスIS500“Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション”(後編)

2022.12.29 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 クルマ好き・運転好きの注目を集める「レクサスIS500“Fスポーツ パフォーマンス”」。トヨタから登場したこの高性能セダンを、元トヨタのチーフエンジニア多田哲哉さんはどのように見るのか?

アメリカが透けて見えてくる

最新のISといえば、前回も触れたように、ホイール固定方式を従来の一般的なナット式からわざわざボルト式に変更したことでも話題になった。

それはバネ下重量低減や締結力アップによる操縦安定性の向上などのメリットがあるというが、この地味だがすさまじく手間がかかる改良を20年間提唱し続けてきたのが、3代目ISを一貫して担当してきた開発責任者の小林直樹氏。多田さんが言うとおり、まさに“走りの求道者”というほかない。

そんな小林氏がつくったIS500“Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション”(以下、IS500)を多田さんは「アメリカのマーケティングにぴたりと合っているクルマですね」と評する。

確かにIS500は2021年2月に北米でデビューした。対して日本での販売開始(抽選申し込みの開始)はそこから約1年半も遅れた2022年8月だから、主要市場は間違いなくアメリカだ。

「迫力あるV8エンジンに、スポーティーだけどしなやかな乗り心地などは、アメリカ人の好みやニーズを上手にすくっています。さすが小林さんで、このクルマのお客さんが何を欲しがっているかをよく分かっています」

なるほど、IS500はその前身ともいえる「IS F」に対しても、快適な乗り心地が特徴のひとつである。そんな乗り心地の秘密を多田さんは説明してくれた。
「ロサンゼルスの郊外に、クルマの乗り心地を試す定番の道があるんです。それはロスから、無数の風力発電機が立ち並ぶ光景で有名な地域に行く途中にあります」

 
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