新型「M2」は4月に登場! 2023年デビューのニューモデル【輸入車編】
2023.01.11 デイリーコラム2タイプの大型電動SUVが上陸
2023年に日本に導入予定のモデルは何か。まずは、メルセデス・ベンツ日本の広報担当者に聞くと「EQE SUV」と「EQS SUV」の2台の名前が挙がった。どちらも2022年9月に日本導入となった電気自動車(EV)である「EQE」と「EQS」のSUVバージョンだ。
EQE SUVは、いわゆる「GLE」相当のミッドサイズSUVだ。欧州では、後輪駆動と4輪駆動が用意され、パワートレインの最高出力は後輪駆動モデルが292PS、4輪駆動モデルには292PSと408PSの2種が存在する。後輪駆動モデルの一充電走行距離は590km(WLTPモード)だ。EQシリーズのなかでも販売の主役となることが期待されるモデルだろう。
もうひとつのEQS SUVは、「GLS」相当のラグジュアリーな大型SUVだ。全長が約5.1m、全幅も1.9m超えの堂々たるボディーに3列シートを備える7人乗車モデル。こちらも後輪駆動と4輪駆動が用意されており、出力は360PSまたは544PS。一充電走行距離は最長で671km(WLTPモード)となる。
未定ではあるものの、2023年に導入を期待するのが、2022年に欧州デビューを果たしている新型「GLC」だ。48Vマイルドハイブリッドのガソリンエンジンとディーゼルエンジンをラインナップし、どちらのエンジンにもプラグインハイブリッド仕様も設定。導入となれば日本でも人気になるのは間違いないはず。
BMWの主役はMモデル
続いて話を聞いたのがBMWだ。すると年の前半に「X1」と「M2」の新型を、中盤に「XM」と「M3ツーリング」を導入する予定だという。
新型X1は2022年6月に発表された第3世代だ。「1シリーズ」と同じようにFFプラットフォームを採用する。ガソリンエンジンとディーゼルエンジンだけでなく、48Vマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドも設定。さらにEV版の「iX1」までも用意する。幅広いパワートレインが特徴となる。
新型M2は最高出力460PSの3リッター直列6気筒ターボエンジンを搭載するコンパクトなFRクーペだ。2023年4月にグローバルでの発売が予告されている。
XMは、BMW M社によるオリジナルモデルだ。特徴は独自開発された「Mハイブリッドドライブシステム」と呼ばれるプラグインハイブリッドシステムを搭載していること。V8ガソリンエンジンとモーターを組み合わせることで650PSものシステム最高出力を実現する。2022年12月にアメリカのスパルタンバーグで生産が始まり、春ごろから世界での販売がスタートする予定だ。
M3ツーリングは、スポーツセダン「M3」の派生モデル。しかも、その心臓部には「M4 GT3」耐久レーシングカーの3リッター直列6気筒ターボエンジンをベースにしたユニットが積まれており、最高出力は510PSにもなる。組み合わされるのは8段のMステップトロニックとM xDrive4輪駆動システム。ワゴンの使い勝手と類いまれなるパワーが同居するユニークな一台だ。
2023年に導入が予定されているBMWは、4モデルのうち3モデルがMがらみ。2023年は熱い年になりそうだ。
人気のベルランゴに7人乗りが
続いてはブランドを多数抱える大所帯のステランティス。こちらは、アルファ・ロメオの「トナーレ」、そしてDSの「DS 7」とシトロエンの「ベルランゴ ロング」、プジョーの「リフター ロング」の導入が予定されているという。
トナーレは、2021年より生産されているアルファ・ロメオの新型コンパクトSUVだ。特徴は独自の48Vマイルドハイブリッドとプラグインハイブリッドを用意していること。ハイブリッドモデルは1.5リッター4気筒ターボエンジンと組み合わせられ、最高出力が130PSと160PSの仕様をそろえる。プラグインハイブリッドシステムは275PSを発生し、クラス最高のパフォーマンスをうたっている。
DS 7は2022年秋に欧州で発売。改良を機に車名から「クロスバック」がなくなった。ディーゼルエンジン以外にも、容量14.2kWhのバッテリーを搭載するプラグインハイブリッドも用意されている。駆動方式は前輪駆動と4輪駆動があり、最強バージョンは360PSの4輪駆動。パワフルさと快適さ、エレガントさを融合させたSUVだ。
シトロエン・ベルランゴ ロングとプジョー・リフター ロングの兄弟車も日本導入の予定だ。名称から予想できるように、これは「ベルランゴ」と「リフター」の3列シート7人乗車バージョン。ミニバンとして人気の2台が、さらに注目度を高めることになるだろう。
フォルクスワーゲンやアウディの動向は?
最後に、アウディとフォルクスワーゲン、ボルボの話を。それぞれの広報担当者に新型車の存在を尋ねてみれば、どこも「まだ何も決まっていない」という返答だった。アウディは「Q4 e-tron」が導入されたばかりであるし、フォルクスワーゲンも同様に「ID.4」が発売されたばかり。その先のことは、まだまだ検討中だというのだ。さらにボルボも同様に2023年中となると、まだ決まっていないという。
決まっているものを振り返れば、メルセデス・ベンツがEQE SUVとEQS SUV。BMWがX1とM2、XM、M3ツーリングの4モデル。そしてアルファ・ロメオのトナーレにDSのDS 7、シトロエンのベルランゴ ロング、プジョーのリフター ロングという面々だ。EVあり、プラグインハイブリッドあり、純エンジンのハイパフォーマンスモデルからミニバンまでと、多士済々。2023年も話題の尽きない年になりそうだ。
(文=鈴木ケンイチ/写真=メルセデス・ベンツ、BMW、ステランティス、webCG/編集=藤沢 勝)
![]() |

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
-
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性NEW 2025.9.5 あのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。
-
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代 2025.9.4 24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。
-
マツダの将来を担う次世代バイオディーゼル燃料 需給拡大に向けた最新の取り組みを知る 2025.9.3 ディーゼルエンジンを主力とするマツダにとって、カーボンニュートラルを実現した次世代バイオディーゼル燃料は生命線ともいえる存在だ。関係各社を巻き込んで需給拡大を図るマツダの取り組みと、次世代燃料の最新事情を紹介する。
-
意外とクルマは苦手かも!? 自動車メディアの領域で、今のAIにできること、できないこと 2025.9.1 AIは今や、文章のみならず画像や動画もすぐに生成できるレベルへと発展している。では、それらを扱うメディア、なかでもわれわれ自動車メディアはどう活用できるのか? このテクノロジーの現在地について考える。
-
世界の議論を日本が主導! 進むハンズオフ運転支援機能の普及と国際基準制定の裏側 2025.8.29 世界的に開発と普及が進むハンズオフ(手放し運転)運転支援機能の、国際基準が改定された。先進運転支援や自動運転の技術の基準は、どのように決められ、またそこで日本はどんな役割を果たしているのか? 新技術の普及に必須の“ルールづくり”を解説する。
-
NEW
BMWの今後を占う重要プロダクト 「ノイエクラッセX」改め新型「iX3」がデビュー
2025.9.5エディターから一言かねてクルマ好きを騒がせてきたBMWの「ノイエクラッセX」がついにベールを脱いだ。新型「iX3」は、デザインはもちろん、駆動系やインフォテインメントシステムなどがすべて刷新された新時代の電気自動車だ。その中身を解説する。 -
NEW
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。