トヨタ・プリウスZ(後編)

2023.04.20 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 スタイリッシュな新型「プリウス」で注目すべきは、そのデザインだけなのか? トヨタのクルマづくりをよく知る元チーフエンジニアの多田哲哉さんが、このハイブリッドカーの本質について熱く語る。
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歴代プリウスとは正反対

多田さんは、新型プリウスのドラポジや乗降性があまり褒められたものではないことや空力性能の退化(?)を厳しく指摘しつつも、デザインや走りについては素直に評価する。

「このクルマの乗り降りは高齢者には厳しいでしょうが、とにかくカッコよくてスポーティーに走るクルマが欲しいという若い人には、素直にいいクルマでしょう」

「ただ、これをなぜ“プリウス”の名で売り出す必要があったのかが、僕にはちょっと納得しがたい」と多田さんは語りはじめた。

「プリウスは先進技術を世界にアピールするために生まれました。その時代時代の最大の関心事を体現するクルマであり、だからこそ、ハイブリッドを世の中に知らしめることができました。そう考えると、新型プリウスは歴代プリウスとは正反対。カッコよくてスポーティーという“コンサバの王道”というほかありません」

なるほど。

「得意のハイブリッド技術にしても、あくまで熟成の範囲内で、システムにもバッテリーにも新しいものはありません。本来なら、新型プリウスこそ、トヨタの本格的な電気自動車の第1号車であるとか、初めて全固体電池を積むようなクルマであってほしかったです」

 
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