ホンダが「N-ONE」ベースの軽EVに加えSUVタイプを含む小型EVを2モデルを導入 次世代戦略を発表
2023.04.26 自動車ニュース![]() |
本田技研工業は2023年4月26日、取締役代表執行役社長の三部敏宏氏、取締役代表執行役副社長の青山真二氏による電動化を含む企業変革に向けた取り組みについての説明会「2023ビジネスアップデート」を開催した。
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ホンダでは、2021年4月に三部敏宏氏がグループの中核となる本田技研工業の社長に就任。以降、自社の取り組みを発表する報道関係者向けの説明会を毎年4月に開催しており、実施は2021年4月、2022年4月に続くものとなる。
今回そのなかでホンダは、2040年までに電気自動車(EV)と燃料電池車(FCEV)の販売比率を100%とし、2030年までにグローバルで年間200万台のEVを生産すると発表した。
具体的には、北米では2024年にゼネラルモーターズ(GM)との共同開発となるEV「PROLOGUE(プロローグ)」をホンダから、同「ZDX」をアキュラから発売し、2025年にはホンダ独自のEV専用プラットフォームをベースとした、新たなE&Eアーキテクチャー(電気&電子設計思想・構成)を採用した中大型EVを発売する。
中国では2023年4月の上海モーターショーで初公開したEV「e:NS2」と「e:NP2」を2024年初頭に、同コンセプトモデル「e:N SUV序」をベースとした量産モデルを2024年中に発売する。さらにこれら3モデルを含め、2027年までに10機種のEVを投入し、他地域に先駆けて2035年までにEV販売比率を100%とする。
日本においては2024年前半に「N-VAN」ベースの軽商用EVを発売し、2025年に「N-ONE」ベースのEV、2026年にSUVタイプを含む小型EVを2モデル発売。EVのラインナップ拡充に合わせ、充電サービスも提供するという。家庭用充電については、北米で展開しているEV向け充電サービス「ホンダスマートチャージ」をベースとし、EVの電力供給能力を活用したエネルギー事業を順次展開。公共充電については利便性・信頼性の高い充電ネットワークと連携し、充電サービスの利用環境を整えていく。
二輪車については、2025年までにグローバルで電動二輪車を合計10モデル以上投入。2030年にホンダの総販売台数の約15%にあたる、年間350万台の販売を目指す。交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を搭載した「EM1 e:」を日本・欧州・インドネシアで2023年中に発売し、さらに市場環境やユーザーのニーズや用途、技術的な進化を踏まえ、交換式バッテリー以外の選択肢も検討するという。
電動車において最も重要なバッテリーは、地域ごとに液体リチウムイオン電池の外部パートナーシップを強化しており、グローバルでのバッテリー必要量を安定的に調達する目途が立ちつつあるとコメント。北米ではGMからパウチ型のリチウムイオンバッテリー「アルティウム」を調達するとともに、LGエナジーソリューションとの生産合弁会社を2023年に設立。さらに中国の大手バッテリー会社CATLとの連携を強化するとともに、リチウムイオンバッテリー会社大手のエンビジョンAESCから軽商用EV向けのバッテリーを調達する。
2020年代後半以降は、液体リチウムイオン電池の進化に加え、半固体電池・全固体電池などの次世代電池を開発・投入するとし、GSユアサとの合弁会社で高容量・高出力なEV用液体リチウムイオン電池の開発を行うとともに、2024年に全固体電池の実証ラインを立ち上げ、2020年代後半に投入されるモデルへの採用を目指す。EV用バッテリー研究開発会社である米国のSESに出資し、半固体電池(リチウム金属二次電池)の共同開発も行っていく。
今回発表された主な取り組みは以下のとおり。
【四輪事業の収益体質改善】
2022年度の固定費は2018年度と比較し10%以上削減、生産能力を基準とした損益分岐点も2022年度は約80%と2018年の約90%から改善。引き続き、販売台数を回復させ、2025年度の全社経営目標である売上高営業利益率7%達成を目指す。
【半導体の安定調達】
中長期視点でTSMCとの戦略的協業をはじめ半導体メーカーとの協力関係を構築。
【バッテリー領域の取り組み】
2040年のEV・FCEVの販売比率100%という目標達成に向け、バッテリーの調達・開発に加え、資源リサイクル業者との強固なパートナーシップを確立し、バッテリーの材料調達を安定化。
【EV投入予定】
北米では2025年に独自のEV専用プラットフォームを採用した中大型EVを発売。日本では2025年に軽乗用車N-ONEベースのEV、2026年にはSUVタイプを含む小型EVを2モデル発売。
【ソフトウェア領域の強化】
採用人数を倍増し、グローバルUX(ユーザーエクスペリエンス)オフィサーを新たに設置。
【新たな価値創造】
基礎研究に毎年1000億円レベルの研究予算を確保。スタートアップとのオープンイノベーションを強化するため2023年4月、日本にホンダ・イノベーションズを設立。
また、今後のEVの本格的な生産に向けて米国オハイオ州内の3つの既存工場(四輪車を生産するメアリズビル工場とイーストリバティ工場、四輪車用パワートレインを生産するアンナ・エンジン工場)を、北米におけるEV生産のハブ拠点として位置づけ、高効率かつフレキシビリティーの高い生産ラインを構築。埼玉製作所完成車工場(寄居町)にて、CO2削減技術の構築と再生可能エネルギー等を活用したクリーンエネルギー化を行い、2025年度にホンダとして初となるカーボンニュートラル工場を実現する。
さらに、2020年代後半に発売予定のEVにおいて、グローバルで生産システムの改革に着手しており、将来の労働力変化を考慮した自動化・知能化を追求した生産ラインの構築や、短期間でのEVシフトを可能とする高効率な工場およびサプライチェーンの構築、そしてCO2排出を極限まで抑えるとともに、リソースサーキュレーションを前提とした生産プロセスへの転換を目指すという。
(webCG)