ホンダN-VAN +STYLE FUN Honda SENSING(FF/CVT)
解脱のモビリティー 2021.01.18 試乗記 “withコロナ”時代のライフスタイルとして、小さめのコミューターやアウトドアに注目が集まるいま、ユーティリティーに優れる軽という選択肢はアリか? あらためてホンダの軽商用バン「N-VAN」に乗ってみた。びっくりするほど高くて近い
「発売から2年ほどたって熟成の進んだ、N-VANの試乗記をしっかり書いておくれやす」
担当編集Sさんの事前の言葉が、なぜか僕にはちょっと他人行儀な京都弁に聞こえてしまった。
「たぶん何回かは乗ったことがあるとは思うけど……」という言外のニュアンスを感じとってしまったからかもしれない。スミマセン! 何回どころか、本当は一度も乗ったことありません(笑)。
試乗当日、快晴の早朝だ。「ボクはココですよ!」と、とある駅前ロータリーで「プレミアムイエロー・パールII」のN-VANは僕を待っていた。ほかとは間違えようのない目立ちっぷりで。N-VANのサイドパネルはこちらに倒れかかってくるんじゃないか、というほどに垂直に屹立(きつりつ)している。まるでヨセミテのエル・キャピタンの岩壁のようだ。自分の身長をはるかに超える1945mm(ハイルーフ仕様)という高さには、乗り込もうとクルマに近づいたときに初めて気づかされることになるだろう。
遠目にはわかりにくいがこの軽バン、かなり大柄だ。その時点で「このクルマは軽自動車」ということを半分くらい忘れてしまいそうになる。
しかし直後、運転席のドアを開けて乗り込むと、このクルマは軽自動車だということを思い出す。助手席に座る笑顔のSさんが、わりと目の前だ。近い。笑顔が必要以上に近い。フェイス・トゥ・フェイスにメジャーをあてて距離測定したいくらいだ。「おはようございます」もそこそこに、N-VAN童貞を隠したモヤモヤのままスタートした。
それでもイエローボディーは最高にかわいかった。色味は違うが、1991年発売の「ホンダ・ビート」を甘酸っぱい気持ちで思い起こす(僕が乗っていたのはシルバーだけどさ)。毒をもって毒を制す的な、ナンバープレートと共色のイエロー使いが憎い。
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