日本でも話題沸騰! 新型「トライトン」に宿る三菱の矜持と可能性
2023.08.18 デイリーコラム三菱の世界戦略を担う重要な一台
2023年3月のタイのバンコクモーターショーでコンセプトカーがお披露目され(参照)、同年7月26日に市販モデルが発表された新型「三菱トライトン」。生産工場もタイのレムチャバンにあるということで、かの地での発表会は、日本人としてもちょっと感動するほどに大規模・大盛況でした。
三菱のピックアップトラックは、「フォルテ」→「ストラーダ」→トライトンと変遷しつつ、これまでに世界約150の国と地域で累計560万台以上が販売されてきました。実は三菱の世界販売の約2割を占める、最重要モデルのひとつだったりします。まさに屋台骨を支える存在。今回発表された新型は、そんな三菱のピックアップとしては6世代目、トライトンとしては3代目のモデル。フルモデルチェンジは9年ぶりで、フレーム、ボディー、足まわり、エンジン、4WDシステム等々、すべてが刷新されたオールニューモデルとなることから、いつも以上に世界中の注目を集めていました。
最終的には、世界100以上の国・地域、年間20万台規模での販売を見込んでいる新型トライトン。実はそこには日本も含まれていて、すでに2024年初頭の発売が決まっています。トライトンが日本に来るのは、実に12年ぶり。先代は導入されず、初代も限定的な導入だったので(参照)、カタログモデルとして販売されるのはこれが初となります。否が応にも期待が高まるというものです。
今回、日本への導入が決定したのは、アウトドア志向の高まりにより、そこにある程度お金をかけてもいいという人が増えてきたからとのこと。ピックアップトラックでアウトドアというと、水上バイクを積んで……なんていうシーンが一番に思い浮かびますが、今回の発表会でも“トライトンワールド”と称して、テントを背負ったキャンピングカーに、ヒッチメンバーにトレーラーをつないだけん引仕様、ブロックパターンのタイヤを履いたオフロード仕様等々が展示されていました。なかにはサーキットを走るようなローダウンモデルの姿も! このクルマ、まだまだ新しい発想の使い方も登場してきそうです。
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こだわったのは“三菱らしさ”
このように、世界中が注目し、私たちとも無縁ではない新型トライトン。関係者によると、新型の要はずばり「三菱自動車らしさ」だそう。……これだけだと何のことかわからないのでもう少し掘り下げたところ、三菱が考える三菱車の“らしさ”とは、「『環境×安全・安心・快適』を実現する技術に裏付けられた信頼感により、冒険心を呼び覚ます心豊かなモビリティーライフをお客さまに提供すること」とのこと。さらにこれをトライトンに落とし込むと、「ワクワクするような冒険に誘うクルマ。そして、どんな冒険からも必ず家族と共に無事に帰ってこられるクルマ。しかも、環境にしっかり配慮しているクルマ」となったそうです。
とはいえ、グローバルマーケットにおけるトライトンの軸足は、レジャーのお供というより、あくまで「働くクルマ」。そこで新型は、遊びと仕事のマルチタスクをこなせるクルマとして、乗用の側を強化するかたちでデザインされました。例えば、先代に比べてAピラーを立てたデザインにすることで乗降性を高め、キャビンの幅を50mm広げて室内空間も拡大。ホイールベースも130mm延ばされ、後部座席のニールームが広げられました。リアサーキュレーターを装備するなど、快適性も配慮が行き届いています。
興味深いのは、これらすべてが「ユーザーから届いた要望を具現したもの」だということ。「現場にすべて答えがある」というキーワードには深くうなずかされます。もちろん、先進運転支援システム(ADAS)やコネクテッド関係の装備も充実。今どきの機能・装備のキャッチアップにも抜かりはありません。
一方で、ピックアップとしての本分もおろそかにはなってはいません。世界は広く、想定を超えるようなさまざまな使われ方をされるだろうことは承知のうえ。だからして開発陣の間では、「世界で一番頑丈なピックアップをつくろうぜ!」が合言葉だったとか。アジアクロスカントリラリー等への参戦もその一環で、過酷な環境のなかで鍛え上げ、それをクルマの開発にフィードバックしているということなんですね。
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新型「トライトン」から始まる新しい展開
最後に、ちょっと気の早い話ですがトライトンの今後についても話を聞いてみました。すると、プラグインハイブリッド車や電気自動車、バイオフューエル対応モデルなどの開発を、引き続き行っているそう。クルマの構造的にはハイブリッド車(HV)が現実的なようですが、バイオフューエルを使ったHVなんていうのも、2020年代後半には登場しそうです。
また、海外ではトライトンをベースにつくられたSUV「パジェロスポーツ」も人気を博していますが、この2本立て路線は今後も継続。新型トライトンをベースにした新型パジェロスポーツは、すでに登場が決まっているようです。……ラダーフレームのSUVなんて、これまた日本に来てくれると新しい楽しさを提供してくれそうなクルマですよね。
それはさておき、パジェロスポーツも継続となると、トライトンをベースにしたさらなるモデルの展開も気になるところ。何を隠そう、私の頭にはかつてボディー・オン・フレーム構造だった「デリカ スターワゴン/スペースギア」が思い浮かんでいたのですが、これはさすがに背が高くなりすぎて難しかったとのこと。……ということは、すでにトライトンベースのミニバンは試していたということですよね? やはり、車形にまつわる新しい展開には、期待が持てそうです。
三菱が属するルノー・日産・三菱アライアンスのなかでも、三菱はASEANにおけるリーダー的存在(参照)。かの地におけるトライトンの覇権奪取は最重要課題であり、彼らも本腰で臨むことでしょう。一方で、日本に導入される新型トライトンは、三菱にとって本当に久々のブランニューモデルです。このクルマのデビューを皮切りに新しい展開がみられることに期待しつつ、まずは日本でこのクルマに乗れるのを、楽しみに待ちたいと思います。
(文=竹岡 圭/写真=三菱自動車/編集=堀田剛資)

竹岡 圭
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