ディフェンダー90 X-DYNAMIC HSE D300(前編)

2024.05.09 あの多田哲哉の自動車放談 多田 哲哉 車両開発のプロである多田哲哉さんが今回ステアリングを握ったのは、イギリス生まれの本格SUV「ディフェンダー90」。見るからにタフそうなボディーに詰め込まった、ほかでは得がたい魅力について語る。
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夢の詰まったブランド

クルマ好きの間ではトヨタのスポーツカーをつくった人……というイメージが強い多田さんだが、「86」や「GRスープラ」を手がける前には「パッソ」に「ラウム」「ラクティス」といったコンパクトカーのチーフエンジニアをつとめている。その意味で、SUVは多田さんの専門外の分野だが、トヨタを離れた現在の愛車は「RAV4 PHV」である。

そんな多田さんはランドローバーというブランドについて「イギリスのクルママニアの夢が詰まったようなブランドですね。イギリスのクルマ産業はいったん壊滅しましたが、イギリス人のクルマに対する愛情や好きさ加減は変わらず、伝統的にすごい」と評する。

第2次大戦直後から合従連衡を繰り返してきた英国の自動車産業も、独BMWがローバーを、MINIやランドローバーといった“金になるブランド”のみを残して売却した時点で、典型的な量産メーカーは事実上姿を消した。あとは、MINIやランドローバーに加えて、ジャガー、ベントレー、ロールス・ロイス、アストンマーティン、ロータスなど、一芸に特化した(?)ブランドが、それぞれのパトロンのもとに残るだけになった。

「一方で、マクラーレンみたいなスーパーカーブランドが新たに出てくるのも、イギリスの面白さですね」と多田さんは指摘する。

ランドローバーといえば、運転席のヒップポイントを周囲の室内調度より相対的に高めにとって、視界と車両感覚を確保する「コマンドポジション」を特徴としている。それは今回のディフェンダーも例外ではない。

「視線そのものが高い点は好感が持てますが、乗降に使うハンドルやグリップの類いが見当たらないですね。乗り降りしやすいかどうかは、クルマでは非常に大切なポイントです」と語る多田さんは、かつてのラウムの開発で、いわゆるユニバーサルデザインを徹底的に研究した経験を持つのだ。

 
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