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ルノー・ラファール(FF/4AT+2AT)【海外試乗記】

“フランスの前衛”ではないけれど 2024.06.24 アウトビルトジャパン AUTO BILD 編集部 先進的なハイブリッドシステムを搭載し、個性的なスタイリングをまとうクーペSUV「ラファール」に試乗。ルノーが放つ、新たなフラッグシップモデルの魅力に触れた。

※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
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名前の由来は戦闘機

ラファール(Rafale)とは ? ピンとこない読者もいるかもしれないが、飛行機好きには懐かしい名前だ。これは、かつてフランス企業が開発した、最も重要な戦闘機の名前なのだ。

それが自動車と何の関係があるのだろうか? 当時ラファールにはルノーのエンジンが搭載されていたのだが、今、この伝統的な名前が同社の進路を後押ししようとしている。「アヴァンタイム」と「ヴェルサティス」の終焉(しゅうえん)を受け、ルノーはこの新たなフラッグシップを手に入れ、ミッドレンジセグメントのアッパーエンドに躍り出ようとしている。ちなみに、「エスパス」との価格差は2000ユーロ(約34万円)弱だ。

しかし、目立つのは名前だけである。エスパスがかつてのバンから普通のオフローダーへと格下げされたあと、残された唯一の分派は、「アウディQ3スポーツバック」や新型「オペル・グランドランド」といったモデルに見られるように、“SUVクーペ”である。

少なくとも、彼らは比較的穏やかでエレガントなラインを身につけており、あまり厚かましい印象はない。ラファールのリアまわりからは「ランボルギーニ・ウルス」のイメージが感じられるが、過度な主張はしないクルマのようだ。さらに、「アルパインブルー」のカラーエフェクトを施したグリルも、左右のストップランプをつなぐ帯状のライトのないリアデザインも、このクルマにはよく似合っている。

ルノーの新たなクーペSUV「ラファール」のスタート価格は、4万3800ユーロ(約744万円)となっている。
ルノーの新たなクーペSUV「ラファール」のスタート価格は、4万3800ユーロ(約744万円)となっている。拡大
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細かなところに驚きがある

ルノーのフラッグシップであるラファールは、外見上はちまたにあふれるSUVクーペのひとつだが、内面には少なくともセンスとフィネス(上品さや繊細さ)のヒントがある。素材のチョイスが比較的エレガントで、トップバージョンのシートには「アルピーヌ」のロゴが脈打つように光るなど、すてきなディテールがいくつかあるだけでなく、スイッチ操作ひとつで徐々に暗くなり、日差しを遮る巨大なパノラミックルーフが装備されているからだ。

ラファールは、2.74mのホイールベースと627~1910リッターのトランクルームを持つエスパスには及ばないものの、実用的なディテールで驚かせてくれる。例えば? USB-Cポートを含む、タブレットや携帯電話用のフレキシブルホルダーを隠すリアの多機能アームレストなどだ。

また、すべての新世代ルノー車でおなじみのオペレーティングシステムも搭載されており、ワイドなデジタルディスプレイは、ナビゲーションやその他の機能を使うための縦型タッチスクリーンと融合している。すべてGoogleをベースにしているので、素早く動作し、誰でもすぐになじむことができる。

しかし、最もクールな特徴は、センタートンネルにある幅広のレバーだ。ジェット機のパイロットになったような気分にさせてくれる。ただ、収納コンパートメントのふたを開けるだけのものであり、ギアチェンジができないというのが残念だ。

コックピット周辺は、ドライバーを囲むようなデザインが採用されている。航空機の操作系を思わせる、センターコンソールのレバーにも注目。
コックピット周辺は、ドライバーを囲むようなデザインが採用されている。航空機の操作系を思わせる、センターコンソールのレバーにも注目。拡大

さらにパワフルな4WDモデルも

しかし、パイロットが、いや、ドライバーがエンジンを始動させると、飛行気分はすぐに終わる。電気自動車のような静寂さか、3気筒エンジンのけたたましい音が乗員を包む。かつてルノーは、トップモデルに6気筒エンジンか、少なくともターボチャージャー付きの4気筒エンジンを搭載する余裕があったが、今日では――政治的に正しく模範的なことであるが――1.2リッターガソリンエンジン(最高出力111PS)と電動モーター(同69PS)を組み合わせたハイブリッドシステムで十分なのだ。

バッテリーの容量は1.7kWhしかなく、コンセントで充電することはできない。市街地においてしばしばパワーで航行するだけで、燃費は4.1リッター/100km(約24.3km/リッター)にまで落ちる。停車状態から100km/hまでのスプリントタイムが11秒、最高速度は180km/hである。

つまり、冷静に見れば、このフランス車はそれほど悪くない。しかし、フラッグシップだから、プレステージモデルだからと、そんな数字に目を向ける人がいるだろうか? エンジニアたちは、4輪操舵システムを採用しなくてもよかったかもしれない。4輪操舵はあらゆる田舎道を快楽のワインディングロードに変え、ドライバーに古い飛行機で曲技飛行に飛び立つような感覚を与えてはくれるが。

2024年末、ラファールには2つ目の電動モーターが搭載され、“4輪駆動”と“最高出力300PS”を実現する予定だ。これは、フランス人の高高度飛行の野心に合致するだけでなく、彼らの有名な飛行機にもマッチする。この航空機は、より多くのシリンダーとより多くの排気量を持っていたが、333PSしか発生しなかったのだ。

結論

ラファールは“フランスの前衛”ではなく、より高い要求を満たすことができるありふれたクルマにすぎない。2024年秋に300PSのモデルが登場すればなおさらだ。正直に言おう。フランスがアヴァンタイムとヴェルサティスで大失敗したいま、彼らの新しいハイフライヤーに対する慎重な姿勢は、容易に理解できる。

(Text=Thomas Geiger/Photos=Clement Choulot DPPI)

記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)

2024年には、ツインモーターの4WDモデル(写真)もラインナップに加わる見込みだ。
2024年には、ツインモーターの4WDモデル(写真)もラインナップに加わる見込みだ。拡大
AUTO BILD 編集部

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