MINIクーパーSE(FWD)【海外試乗記】
MINIはやっぱり個性が命! 2024.08.21 アウトビルトジャパン 電気自動車(EV)でも内燃機関車でも、常に「クーパー」と呼ばれるようになった新型MINIのハッチバック。価格にデザイン、パワーユニット、装備、そしてドライビングテストリポートと、新しくなったMINIクーパーの全情報をお届けする!※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
EV版はメイド・イン・チャイナ
MINIクーパーは真のクラシックであり、第5世代ではそのルーツに立ち返ろうとしている。これからは、3ドアと5ドアのハッチバック、そしてコンバーチブルには、EV、エンジン車を問わずクーパーという愛称が付けられることに慣れなければならない。
めずらしいことに、電動のミニはBMWのプラットフォームではなく、中国・長城汽車(Great Wall Motors、略してGWM)のモジュラープラットフォーム「L.E.M.O.N.プラットフォーム」ベースでつくられ、生産もGWMで行われる。バッテリーとモーターも中国製だ。いっぽう、燃焼エンジンのMINIは依然としてイギリス製だ。
また、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(2024年7月11日~14日)」で特別なイノベーションが発表された。オールエレクトリックの「MINIジョンクーパーワークス」の存在が予告されたのだ。BMWは今回、カムフラージュされた車両の画像を先行公開した。迷彩が施されているものの、よりスポーティーなMINIエレクトリックのエアインテークはより大きく、リアには非常に角張ったスポイラーが装着されていることが確認できる。もちろん、ジョンクーパーワークストリムはパフォーマンスの向上を実現する。少なくとも250PSは期待でき、54.2kWhの大型バッテリーが電力貯蔵ユニットとして機能すると思われる。
EV版でもエンジン版でも、MINIクーパーはすでに注文可能である。内燃機関のMINIは3ドアモデルで2万8900ユーロ(約497万円)から、5ドアモデルはそれより1000ユーロ(約17万円)高い。EV版は3ドアのみで、価格は3万2900ユーロ(約565万円)からだ。
プロポーションはよりMINIらしく
ショートオーバーハング、ショートボンネット、ロングホイールベース! 第5世代では、このプロポーションが再び主役となる。マトリクスリアライトとLEDデイタイムランニングライトには3つの異なるライトシグネチャーが用意され、それらは個別に設定が可能だ。EV版とエンジン版の外観上の違いはわずかである。前者ではグリル上のエアインテークは閉じられ、リアのシートメタルは微妙に角張ったデザインになっている。
【サイズ一覧】
3ドアモデル(ICE)
- 全長:3876mm
- 全幅:1744mm
- 全高:1432mm
- ホイールベース:2495mm
- ラゲッジコンパートメント容量:210~725リットル
5ドアモデル(ICE)
- 全長:4036mm
- 全幅:1744mm
- 全高:1464mm
- ホイールベース:2567mm
- ラゲッジコンパートメント容量:275~925リットル
3ドアモデル(EV)
- 全長:3858mm
- 全幅:1756mm
- 全高:1460mm
- ホイールベース:2526mm
- ラゲッジコンパートメント容量:210~800リットル
機能・装備に目をやると、インテリアではダッシュボード中央に「MINIオペレーティングシステム9」を搭載した直径9.4インチの丸型有機ELスクリーンが配置される。またそのダッシュボードには、オプションでヘッドアップディスプレイとカラーライトのプロジェクションを用意。センタークラスターには「MINIエクスペリエンスモード」用のクラシックなトグルスイッチがあり、ドライビングモードを変更するだけでなく、音響(ドライビングサウンド)と視覚(ライトエフェクト)にも影響を与える。すべてがギミック? そうかもしれないが、MINIファンならクールだと感じるはずだ。
シンプルな基本デザインにもかかわらず……いや、シンプルだからこそかもしれないが、新型MINIにとって“個性化”はとにかく最優先事項だ。通常の塗装とは対照的に、ルーフにはさまざまな色が用意されており、仕様によってはマルチカラーのグラデーションにすることもできる。ホイールのサイズは16~18インチ。内外装のトリムは「エッセンシャル」「クラシック」「フェイバリット」「JCW(ジョンクーパーワークス)」の4つから選択できる。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
決して軽量なクルマではないものの……
エンジン版のMINIを購入する人は、「MINIクーパーC」と「MINIクーパーS」のどちらかを選ぶことになる。これらの略称は目新しいものではなく、ツウならこの文字がエンジンを意味することを知っている。Cはエントリーモデルを示し、3気筒ガソリンエンジンは最高出力156PS(以前は136PS)と最大トルク230N・m(以前は220N・m)を発生する。よりパワフルなクーパーSバージョンもパワーアップしており、最高出力が178PSから204PSに、最大トルクが280N・mから300N・mに向上。これにより、0-100km/h加速は3ドアモデルで6.6秒、5ドアモデルで6.8秒となった。
いっぽうEV版では、「クーパーE」は184PS(135kW)と250N・m、「クーパーSE」は218PS(160kW)と330N・mを発生する。クーパーEには容量40.7kWhのバッテリーが搭載され、最大航続距離は305km、クーパーSEには54.2kWhのバッテリーが搭載され、最大航続距離は402kmとなる。急速充電器を使った際の最大充電速度は、クーパーEが75kW、クーパーSEが95kWである。
われわれは、よりパワフルな「SE」バージョンの電動MINIをドライブした。ハンドルを握れば、このクルマが1680kgと決して軽量ではないことがわかる。しかし、前後輪の間に低く配置されたバッテリーのおかげで、この重量はうまく隠されている。
スポーティーな「ゴーカート」モードでは、MINIはよりダイレクトにパワーを発生し、ESPは寛容に切り替わり、リアエンドは時折生意気にぶら下がる。このモードでは、330N・mのトルクが前輪に解き放たれ、小型車に見せかけたスポーツコーナリングマシンとなる。サスペンションは硬めだが快適で、スプリングトラベルは以前より長くなっている。
(Text=Rolf Klein、Peter R. Fischer、Katharina Berndt and Kim-Sarah Biehl/Photos=BMW Group)
記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)
![]() |

AUTO BILD 編集部
世界最大級のクルマ情報サイトAUTO BILDの日本版。いち早い新車情報。高品質なオリジナル動画ビデオ満載。チューニングカー、ネオクラシックなど世界のクルマ情報は「アウトビルトジャパン」でゲット!
-
【ニュース】高性能を誇るBMWのラグジュアリーエステート「M5ツーリング」が復活! その魅力とは? 2024.9.6 高性能サルーン新型「BMW M5」に続き、そのワゴンバージョンたる新型「M5ツーリング」が登場。ユーティリティーからスリルまで幅広いニーズをパーフェクトに満たす“スーパーワゴン”とは、どんなクルマなのか?
-
スズキ・スイフト(FF/5MT)【海外試乗記】 2024.8.20 世界で900万台以上が販売されてきた大人気モデル「スズキ・スイフト」。7代目となる新型は、海外でどのように評価されているのか? これまでの成功をさらに発展させることを目指し、スズキが投入した小さな巨人に、『AUTO BILD』のスタッフが試乗した。
-
スマート#1ピュア(RWD)/#1ブラバス(4WD)【海外試乗記】 2024.8.20 続々とラインナップを拡大している、スマートブランドのフル電動SUV「スマート#1」とはどんなクルマなのか? その価格とデザインからパワーユニット、イクイップメント、試乗した印象まで、すべての情報をお届けしよう。
-
【ニュース】電動ルノー・トゥインゴの最新情報 2024.8.15 ルノーの電気自動車(BEV)を手がける新会社アンペアが、2025年にコンパクトBEVとして「トゥインゴ」を復活させる。初代トゥインゴを想起させるデザインや価格、そしてパワーユニットまで、現時点でのすべての情報をお届けする。
-
【ニュース】フォルクスワーゲン・ゴルフの未来情報 2024.8.14 電動化が推進される欧州にあって、エンジンを搭載した8代目の現行型「フォルクスワーゲン・ゴルフ」が2035年まで継続生産されるというウワサがある。そうなれば、2019年秋に登場したゴルフ8は15年以上も続くロングセラーモデルとなるが……。
-
NEW
航続距離は702km! 新型「日産リーフ」はBYDやテスラに追いついたと言えるのか?
2025.10.10デイリーコラム満を持して登場した新型「日産リーフ」。3代目となるこの電気自動車(BEV)は、BYDやテスラに追いつき、追い越す存在となったと言えるのか? 電費や航続距離といった性能や、投入されている技術を参考に、競争厳しいBEVマーケットでの新型リーフの競争力を考えた。 -
NEW
ホンダ・アコードe:HEV Honda SENSING 360+(FF)【試乗記】
2025.10.10試乗記今や貴重な4ドアセダン「ホンダ・アコード」に、より高度な運転支援機能を備えた「Honda SENSING 360+」の搭載車が登場。注目のハンズオフ走行機能や車線変更支援機能の使用感はどのようなものか? 実際に公道で使って確かめた。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の半額以下で楽しめる2ドアクーペ5選
2025.10.9デイリーコラム24年ぶりに登場した新型「ホンダ・プレリュード」に興味はあるが、さすがに600万円を超える新車価格とくれば、おいそれと手は出せない。そこで注目したいのがプレリュードの半額で楽しめる中古車。手ごろな2ドアクーペを5モデル紹介する。 -
BMW M2(前編)
2025.10.9谷口信輝の新車試乗縦置きの6気筒エンジンに、FRの駆動方式。運転好きならグッとくる高性能クーペ「BMW M2」にさらなる改良が加えられた。その走りを、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? -
ホンダ・プレリュード(FF)【試乗記】
2025.10.9試乗記24年ぶりに復活したホンダの2ドアクーペ「プレリュード」。6代目となる新型のターゲットは、ズバリ1980年代にプレリュードが巻き起こしたデートカーブームをリアルタイムで体験し、記憶している世代である。そんな筆者が公道での走りを報告する。 -
第931回:幻ですカー 主要ブランド製なのにめったに見ないあのクルマ
2025.10.9マッキナ あらモーダ!確かにラインナップされているはずなのに、路上でほとんど見かけない! そんな不思議な「幻ですカー」を、イタリア在住の大矢アキオ氏が紹介。幻のクルマが誕生する背景を考察しつつ、人気車種にはない風情に思いをはせた。