BMW X3 20 xDrive(4WD/8AT)/X3 M50 xDrive(4WD/8AT)
まさに盤石の進化 2024.09.25 試乗記 BMWの主力SUV「X3」がフルモデルチェンジ。デザインのブラッシュアップや装備の拡充はもちろんのこと、もともと定評のあるドライバビリティーの面でもさらなる進化を果たしている。日本上陸を前にミュンヘンでステアリングを握った。失敗が許されないプロジェクト
以前、「メルセデス・ベンツGLC」の国際試乗会に参加した際、「GLCはメルセデスで最も売れているモデルです」との説明があった。そして今回、BMW X3の国際試乗会に参加して「X3はBMWで最も売れているモデルです」との説明があった。SUVが百花繚乱(りょうらん)のいまにおいて、結局のところ一番台数を伸ばしているのはどのメーカーもサイズ的に大きすぎず小さすぎないこのセグメントなのだなあと思った。
ベストセラーモデルということは、失敗が許されないモデルということでもある。GLCの試乗会ではうっかり「乗り心地がイマイチだった」なんて口走ったら、たちまちエンジニアに囲まれて詰問責めを受け、えらい目にあった。結局そのときは、自分が試乗した個体のタイヤに問題があることが判明し、無罪放免となったのだけれど、それくらい彼らもナーバスになっている証拠だった。X3の試乗会は、そこまでのピリピリしたムードではなかったものの、プレゼンテーションの端々には開発チームの自信とプライドが見てとれた。
2003年に初代が誕生したX3は、2010年に2代目、2017年に3代目がお披露目となり、今回が4代目となる。これまでに累計約350万台が販売されており、そのうちの41%がアメリカ、13%がドイツ、4%がイタリア、そしてスペイン、ポーランド、韓国などと並んで日本が3%を占めているという。なんでもでっかいものが好みのアメリカが、「X5」だけではなくX3についてもトップシェアというのはちょっとした驚きだった。開発コードは、従来の「G01」から「G45」に変わったのでフルモデルチェンジ扱いだが、2865mmのホイールベースはそのままなので、厳密に言えばプラットフォームは流用の改良型である。
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デザインは今が過渡期?
現時点での新型X3のラインナップは、「X3 20d xDrive」(システム最高出力197PS/システム最大トルク400N・m)/「X3 20 xDrive」(208PS/330N・m)/「X3 30e xDrive」(299PS/450N・m)/「X3 M50 xDrive」(398PS/580N・m)の計4タイプ。車名からも分かるように駆動形式は4WDのみ。M50が唯一の6気筒でほかはすべて4気筒となる(30eはプラグインハイブリッド)。日本での発表は2024年11月末を予定しているそうで、日本仕様の詳細は今のところ不明。今回は、X3 20 xDriveとX3 M50 xDriveを試した。
エクステリアは、これまでのシルエットをなんとなく踏襲しつつ、フロントフェイスは最近のBMWの文法に従い、ほぼ垂直にそそり立つ大きなキドニーグリルが鎮座する。もちろん、グリルのふちにはLEDが仕込んであって、暗夜に浮かび上がる仕組みである。Cd値は0.27だそうで、エアロダイナミクスを考慮したデザインにもなっているようだ。昨今のBMWデザインについては皆さんいろいろと思うところがおありなようだけれど、個人的には今はまだ過渡期なんだろうなと思っている。過去を振り返ってみると、BMWは数年に一度くらいデザインの変革を試みており、市場の反応をうかがいながら場合によっては軌道修正してきた。もし数年以内に顔が変わり始めたら「ああやっぱりそうだったのね」ということだろう。
インテリアは、カーブドディスプレイやビカビカ光るインタラクションバーなどが配置され、エクステリア同様最新の仕様に置き換えられた。もちろん、ソフトウエアもBMW独自の「OS 9」にアップデートされている。ドアハンドル脇に設けられたマルチファンクショナルコントロールエレメントは新しい。ロック/アンロックとシートメモリーに加えて、ダッシュボード脇のエアコン吹き出し口からの風量が電動調整できるようになっている。でもこれなんかは、従来どおり手動でやったほうがずっと早いような気もする。
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エンジンに乗っている感覚
X3 20 xDriveは、1998cc直列4気筒ターボに48Vのモーター(18PS/200N・m)を組み合わせたマイルドハイブリッド仕様である。BMWのマイルドハイブリッドはメルセデスのそれよりも、モーターの存在感が薄い。これはネガティブではなくむしろ好印象である。ターボやモーターによるパワーサポートがチョクヨン本来のパワーのなかに完全に溶け込んでいて、ひとつの塊となって4輪を駆動させている感じ。4気筒のくせにまるで完全バランスの6気筒のように振動は抑えられているし、回転フィールも滑らかでアクセルペダルの追従性にも優れている。
加えて、8段のステップトロニックとの相性も抜群によく、Dレンジで普通に運転している限りにおいてはいつ変速したのか、いま何速なのかまったく分からなかった。BMWエンジンの電動化に関しては、往年のBMWファンからすればきっと一家言あるだろうけれど、個人的にはこの4気筒なんかはちゃんと自分たちのものにして、「エンジンに乗っている」感覚でドライブできる。1.8t強の車重に対して、208PS/330N・mは必要にして十分のパワーであり、鈍重な動きはまったく見られず、むしろちょっと小気味よく走ってくれた。
実はX3の試乗当日はあいにくの大雨だったのだが、こういう状況ではxDriveが本領を発揮した。もちろん、前後の駆動力配分なんか逐一どうなっているかなんて皆目見当もつかないのだけれど、4輪にしっかりとトラクションがかかり続けていることだけは伝わってきて、安心してステアリングを握っていられた。コンチネンタルの「スポーツコンタクト7」もいい仕事をしていたと思うけど。
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さすがベストセラーの仕上がり
X3 M50 xDriveは額面どおりのパワフルな動力性能を発揮する。これもあくまでも個人的見解なのだけれど、最近のMのつくBMWは総じてパワーが前に出すぎていて、自分なんかのスキルでは持て余してしまい、存分に楽しむという領域までたどり着けない。チョクロクターボのマイルドハイブリッドは、アクセルペダルを深く踏み込めば勇ましい音とともに爆裂した加速を見せるものの、そこまでは必要ないんだよなと思ってしまう。X3 20 xDriveくらいのパワーのほうがポテンシャルを発揮できるし、X3 M50 xDriveだと「エンジンに乗っている」というよりは「エンジンに乗せられている」印象が強い。こんなふうに感じるのはたぶん自分が年を取ったせいかもしれない。エンジン自体は大変素晴らしいです。
試乗車のX3 20 xDriveにはオプションの電子制御式ダンパーやバリアブルスポーツステアリングが装着されていて、X3 M50 xDriveはMスポーツサスペンションやMスポーツディファレンシャルなどが標準装備となる。乗り心地は両車とも速度を問わず全般的に悪くなかったし、加減速時のピッチング方向のばね上の動きも上手に抑えられていた。いろんなデバイスが付いているM50 xDriveのほうがステアリングレスポンスに優れ、eデフの助けも借りてグイグイ曲がりたがるセッティングになっているけれど、20 xDriveでもなかなかどうしてばね上の無駄な動きが少なくリニアに旋回してくれた。
つまり新型X3は動力性能や快適性や操縦性といったすべての性能に関して、控えめに言ってもとても盤石であり、首をかしげるようなところはほとんどなかった。ベストセラーの名に恥じない、バランスのとれた優秀なSUV、ではなくBMWが言うところのSAVである。
(文=渡辺慎太郎/写真=BMW/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
BMW X3 20 xDrive
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4755×1920×1660mm
ホイールベース:2865mm
車重:1855kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:190PS(140kW)/4400-6500rpm
エンジン最大トルク:310N・m(31.6kgf・m)/1500-4000rpm
モーター最高出力:18PS(13kW)
モーター最大トルク:200N・m(20.6kgf・m)
システム最高出力:208PS(153kW)
システム最大トルク:330N・m(33.7kgf・m)
タイヤ:(前)225/60R18 104Y XL/(後)225/60R18 104Y XL(コンチネンタル・スポーツコンタクト7)
燃費:7.6-6.9リッター/100km(約13.2-14.5km/リッター、WLTPモード)
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
BMW X3 M50 xDrive
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4755×1920×1660mm
ホイールベース:2865mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:3リッター直6 DOHC 24バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:8段AT
エンジン最高出力:381PS(280kW)/5200-6250rpm
エンジン最大トルク:540N・m(59.1kgf・m)/1900-4800rpm
モーター最高出力:18PS(13kW)
モーター最大トルク:200N・m(20.4kgf・m)
システム最高出力:398PS(293kW)
システム最大トルク:580N・m(59.1kgf・m)
タイヤ:(前)255/45R20 105Y XL/(後)285/40R20 108Y XL(コンチネンタル・スポーツコンタクト7)
燃費:8.3-7.7リッター/100km(約12.0-13.0km/リッター、WLTPモード)
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 慎太郎
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