BMW X3 M40d(4WD/8AT)
運転席以外には乗りたくない 2019.03.15 試乗記 最高出力326psの3リッター直6ディーゼルターボエンジンを搭載する「BMW X3 M40d」に試乗。BMW Mが手がけた高性能ディーゼルと、同社がスポーティーなチューンを施したというシャシーの組み合わせを味わってみた。強烈なパンチ
街中の混んだ道をノタノタと這(は)うように走っていたときには、実はちょっとばかり複雑な気持ちだった。原稿どうしよう……? と軽く悩んだほど。なぜなら、まぁ今から思えば選んだ道がよくなかったという側面もあったのだけれど、何しろ路面が荒れているところだとやたらとゴツゴツとした乗り味で、「SUVなのにここまで締め上げられているのかぁ……」とか「自分でステアリングを握っているから身構えられていいけれど、こりゃ運転席以外にはあまり乗りたくないかも」と、そっちのほうにばかり気を取られちゃっていたのだ。
ところが、である。高速道路の本線に合流しようと前が空いたのをいいことにアクセルペダルを初めてグイと踏み込んでみたら、一発で気分が変わった。われながら単純だとは思うけど、「あっ、これはしょうがない」と思わずニヤついてしまったのだ。
BMWのSUVラインナップの中核をなすX3に追加されたこのM40dは、「d」の文字が表すとおりディーゼルエンジン搭載車であり、「M」の文字が表すとおり開発にはBMW Mが関わっている。パワーユニットは「X5 35d」などに搭載される3リッター直列6気筒ディーゼルターボをベースに「Mパフォーマンス」のモデルにふさわしいところまでチューンナップが加えられ、ベースの最高出力265ps/4000rpmと最大トルク620Nm/2000-2500rpmから同326ps/4400rpmと同680Nm/1750-2750rpmへと大幅に引き上げられているのだ。
そのパンチは、強烈としかいいようがない。アクセルペダルを踏み込むといきなりドーン! と680Nmのトルクが襲ってきて、途中からいつしか立ち上がってきていたパワーとバトンタッチをして、326psの高みへと向かいながらグイグイと加速していく。速い。文句なしに速い。