アバルト500eツーリスモ カブリオレ(前編)
2024.10.24 あの多田哲哉の自動車放談 トヨタでの現役時代は内燃機関車の開発を取りまとめてきた多田さんだが、電気自動車(EV)への関心も並々ならぬものがある。では、アツい走りで知られるアバルトブランドが提案する、コンパクトEVに試乗した印象は?いずれは笑い話になる技術
今回、「アバルト500e」を取り上げることにしたのは、多田さんたっての希望でもあった。思い返せば、2024年の1月、正規輸入車を一堂に集めた「JAIA輸入車試乗会2024」に参加した際、不穏な(疑似)エンジンサウンドをとどろかせながら走りすぎるアバルト500eに、多田さんはひと目ぼれしてしまったという。
というわけで、こうして多田さんの目前に置かれたアバルト500eだが、そのシステムを起動させたとたん、フロア下に設置されたスピーカーからアイドリング音が響きわたった。それはあの「レコードモンツァ」の排気音を、約2年間、のべ6000時間以上をかけて忠実に再現したものだという。その是非はともかく、事前に思っていた以上の大音量に、多田さんも思わず苦笑する。
「こういう演出は電子音ですから、なんでも自由にできるんでしょう。以前に乗った『ポルシェ・タイカン』のつくり込んだ音にもちょっと感心しましたが、こうしてあらためて聞くと、やっぱりEVは静かに乗れるのが一番だとも思ってしまいます(笑)。音もなく、しかしすさまじいトルクでビュンビュン走るのがEV本来のよさなのですから、EVのスポーツカーもそのほうがいいでしょう」
「そもそも音でワクワクするというのは、おそらく内燃機関時代の古い価値観です。それをギミックでわざわざ再現するなんていうのは、現在のようなEV黎明(れいめい)期ならではの行為かもしれません」
「将来的にEVが本当の主流になるには、内燃機関とはちがう付加価値で認めてもらう必要があります。EVが当たり前の時代になったら、そういえば当時はあんなばかなことやっていたよね……なんて、笑い話になるのではないでしょうか」
……そう語りつつ、念願のアバルト500eの初試乗に出ていった多田さんは、程なく複雑な表情を浮かべながら戻ってきた。
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