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突然出てきた“ちょっと気になるSUV”「三菱デスティネーター」とは何なのか?

2025.08.04 デイリーコラム 工藤 貴宏
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強そうだけれど都会派?

「『パジェロ』の復活はまだなのか?」

三菱の新型車の話となればそんな話題になりがちな昨今だが、残念ながらまだその情報は漏れ伝わってこない。筆者は「(そう遠くないうちに新型が登場するはずの)次期型『パジェロスポーツ』が、名前をパジェロとして日本へ上陸するのではないか?」と、何の根拠もなく勝手に期待しているわけですが、果たしてどうなることか。

それはさておき、三菱かいわいはこのところ(パジェロとは別の)SUVの動きが活発だ。2025年に入って3月にタイで「エクスフォース」のハイブリッドモデル(エクスフォース自体は2023年夏に登場)をお披露目したのに続き、7月には欧州向けのコンパクトSUV「グランディス」を発表(ルノーからのOEMモデルだけれど)。そして先日インドネシアで公開されたのがニューモデル「デスティネーター」だ。

何を隠そう筆者は初めてこのデスティネーターの写真を見たときに「これは新型パジェロスポーツか?」と思ったのはここだけの内緒。パジェロスポーツは「トライトン」をベースにつくられる全長5m弱でフレーム構造のSUVだが、それに見合うくらいのサイズ感と風格を感じたからだ。そして、スタイリッシュでカッコいいじゃないの。

確認してみると、車体サイズは全長4680mm×全幅1840mmで“5m弱”とまではいかないものの、それなりのサイズ。同社の「アウトランダー」とだいたい同じであり、3列のシートレイアウトだという。

ということはやっぱり次世代のパジェロスポーツか? ……と思ったら、それは違うようだ。なぜなら車体構造はラダーフレームではなくモノコックで、ドライブトレインはエンジン(1.5リッター直4ターボ)を横置きに積みCVTを組み合わせるFFで、4WDの設定はない。つまり道なき道を突き進んでいくというよりは、乗用車のメカニズムでつくられた都会派のクロスオーバーSUVということなのだ。

2025年7月17日に世界初公開された、三菱の新型車「デスティネーター」。3列シートを持つ7人乗りのSUVで、アセアン地域を中心にグローバルに展開される。
2025年7月17日に世界初公開された、三菱の新型車「デスティネーター」。3列シートを持つ7人乗りのSUVで、アセアン地域を中心にグローバルに展開される。拡大
タフなムード満点の「デスティネーター」のリアビュー。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4680×1840×1780mmと、そこそこ大きい。
タフなムード満点の「デスティネーター」のリアビュー。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4680×1840×1780mmと、そこそこ大きい。拡大
水平基調のインストゥルメントパネルには、12.3インチのディスプレイオーディオと8インチのデジタルドライバーディスプレイが並ぶ。
水平基調のインストゥルメントパネルには、12.3インチのディスプレイオーディオと8インチのデジタルドライバーディスプレイが並ぶ。拡大
「デスティネーター」の商品としての重要な要素である3列目シート。専用のエアコン吹き出し口も設けられている。
「デスティネーター」の商品としての重要な要素である3列目シート。専用のエアコン吹き出し口も設けられている。拡大
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どう展開するかはカネ次第

ちなみにこのデスティネーター(それにしても強そうでカッコいい名前だ!)は、三菱によるとインドネシアのほか「ベトナム、フィリピンなど他のアセアン地域や、南アジア、中南米、中東、アフリカに順次投入する計画」とのこと。つまり新興国向けのモデルというわけだ。

となれば、多くの人が抱くであろう「アウトランダーと同じくらいの車体サイズなら、わざわざ用意しなくてもアウトランダーを売ればいいじゃない?」という疑問に対する答えは明快。「新興国向けの販売価格を抑えたモデル」であり、「アウトランダーだと車体にコストがかかっていて高すぎるから」ということになる。

ちなみに、車体構造的にはプラットフォームはエクスフォースと同じで、2列のエクスフォースに対して車体を延ばした“ロング3列モデル”と考えれば関係がわかりやすいだろう。

エクスフォースのプラットフォームは「エクスパンダー」とも共通で、つまりは「ミラージュ」用の進化版。コストを抑えるにはぴったりだと理解すると同時に、鍛え上げることでこのサイズの車体にまで対応するフレキシブル性に感心せずにはいられないのは筆者だけだろうか(フォルクスワーゲンのMQBだって「ポロ」から「パサート」まで幅広く使っていたけれど)。

ところでこのデスティネーターは日本で売られるのか?

結論からいえば、その可能性は低い。理由はいくつかあるけれど、前提となる大きなネックは日本の円安で「いま導入しても日本だと販売価格が高くなるから売る意味がない」ということ。ただし、以前エクスフォースの開発責任者に尋ねたところ「安全性能などは日本の基準を満たせる」とのことなので、デスティネーターも同様だろう。すなわち円安が解消されたうえで、市場のニーズがあると判断されれば輸入車として日本に導入される可能性もゼロではなさそうだ。

でも、やっぱり期待したいのはデスティネーターよりもフレーム構造のパジェロかな。三菱の皆さん、次期パジェロはデスティネーターくらいクールなデザインでよろしく!

(文=工藤貴宏/写真=三菱自動車/編集=関 顕也)

電動パノラマサンルーフ。チルト&スライドおよびセーフティー機構が備わっている。
電動パノラマサンルーフ。チルト&スライドおよびセーフティー機構が備わっている。拡大
車内においては、ソフトマテリアルで覆うなどして上質さを演出。64色のアンビエントライトや各席用のUSBポートなどもセリングポイントとされている。
車内においては、ソフトマテリアルで覆うなどして上質さを演出。64色のアンビエントライトや各席用のUSBポートなどもセリングポイントとされている。拡大
2列目シート。前後100mmのスライド機構が備わる。
2列目シート。前後100mmのスライド機構が備わる。拡大
「デスティネーター」の駆動方式はFFだが、「三菱が培ってきた4輪制御技術により、さまざまな路面や天候で安全・安心で快適な走りを提供するSUVならではの走破性を実現した」とうたわれている。
「デスティネーター」の駆動方式はFFだが、「三菱が培ってきた4輪制御技術により、さまざまな路面や天候で安全・安心で快適な走りを提供するSUVならではの走破性を実現した」とうたわれている。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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