フォルクスワーゲンID. Buzzプロ(RWD)
高嶺のバス 2026.03.12 JAIA輸入車試乗会2026 いまフォルクスワーゲンブランドのシンボル的な存在になっている、多人数乗用車「ID. Buzz」。ほかのクルマでは得がたい、その魅力の源泉は? 理想のファミリーカーを追い求めるwebCGスタッフがチェックしてみた。ワクワク感のあるミニバン
親子4人の核家族で、たまにはあと2人ほど誘ってクルマでお出かけしたい。そんな筆者に必要なのは、3列シートの車種である。子どもたちは大きなチャイルドシートやジュニアシートと縁が切れず、(おじいちゃんは先に旅立ってしまったけれど)2人のおばあちゃんは健在。だから“2列5人乗り”での移動には無理がある。せめて6人乗りで、3列目まで“しっかり使える”こと。万が一のもらい事故、特に追突されることを考えると、3列目からバックドアまでの空間的なゆとりも欲しい。
こうしたニーズに応えてくれる一台として狙っていた「フォルクスワーゲン・シャラン」は、気がつけば絶版! がっかりしていたところに現れたのが、同じブランドの3列6人乗りミニバン「ID. Buzzプロ」だった。
これで一件落着? いや、問題はある。なにせID. Buzzは電気自動車(BEV)。マンション住まいのわが家には厳しい。インポーターに聞いたところで、BEV専用設計ですから今後もハイブリッド仕様などが出ることはありません、とにべもない。じゃあなんで今回取り上げるのかといえば、その制約を超えて選びたくなる魅力にあふれているからだ。
なんといっても、見た目である。話題の外観よりも、内装がいい。イタリア車かと見まごうポップな色使いとデザインで、家族の笑顔がイメージできる。全幅1985mm、ホイールベース2990mmと大柄なだけに、車内も広い。運転席に小柄な筆者(身長163cm)が座ると、後席でのニールーム(ひざ前のスペース)は2列目、3列目ともに25cmくらいある。
2列目用に設けられた大きなピクニックテーブルと、前席背面の機能的な小物入れもうれしい。2列目の左右席間には30cm近いクリアランスがあるから、3列目へのウオークスルーもスムーズだ。荷室の幅は115cm(実測)。3列乗車時でも50cmの奥行きが得られ、「みんな乗れたが荷物は置けない」なんてことはない。
走らせてみても、新鮮味がある。今どきのミニバンにしてはフロントウィンドウの天地が低くクラシカルなムードがただよう半面、ボディー剛性がいかにも高くて「硬い箱の中におさまっている」感じがする。BEVらしく、ふらつきは抑えられ出足がパワフルな印象で、ついミニバンであることを忘れて気ままにスポーツモードで走らせてしまう……と、家族の笑顔が消えることにもなりかねないのでご注意を。
一充電走行距離は500kmを超えるし、充電環境に不安のない人なら、国産ミニバンとはまた違った、夢のある選択肢になると思う。ただし! その価格は、高級ミニバンの代表格「トヨタ・アルファード エグゼクティブラウンジ」(ハイブリッド車)よりも上。夢の対価は、常に高い。
(文=関 顕也/写真=峰 昌宏/編集=関 顕也)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4715×1985×1925mm/ホイールベース:2990mm/車重:2560kg/駆動方式:RWD/モーター:永久磁石同期式電動モーター/最高出力:286PS(210kW)/3581-6500rpm/最大トルク:560N・m(57.1kgf・m)/0-3581rpm/タイヤ:(前)235/55R19 105T XL/(後)255/50R19 107T XL(ピレリ・スコーピオンELECT)/一充電走行距離:524km(WLTCモード)/交流電力量消費率:168Wh/km(WLTCモード)/価格:888万9000円

関 顕也
webCG編集。1973年生まれ。2005年の東京モーターショー開催のときにwebCG編集部入り。車歴は「ホンダ・ビート」「ランチア・デルタHFインテグラーレ」「トライアンフ・ボンネビル」などで、子どもができてからは理想のファミリーカーを求めて迷走中。
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