トヨタとホンダのライバル車が同時期に国内デビュー 新型の「RAV4」と「CR-V」を比べてみる
2026.04.15 デイリーコラムどちらもすぐには買えないけれど……
今はSUVの人気が高く、国内で新車として販売される小型/普通乗用車の30~40%を占める。そこでホンダは、「CR-V」の「e:HEV」(ハイブリッド)を2026年2月に発売した。燃料電池車の「CR-V e:FCEV」は、以前からリースで取り扱っている。
CR-Vは、今まで販売の終了と再開を繰り返してきた。2016年に4代目が販売不振に陥って一度国内販売を終えたが、「ヴェゼル」よりも上級のSUVが必要と判断され、2018年に5代目で再開した。
それなのに5代目も販売が低調という理由で、2022年に再び終了したが、2024年に6代目が燃料電池車で復活している。そして2026年にはe:HEVも販売を再開した。販売店は「車種を終了すると、お客さまは裏切られたと感じてホンダから離れる。販売を再開しても戻らない」と指摘する。
CR-Vのライバル車となる「トヨタRAV4」も、2016年に3代目で終了して、2019年に5代目で復活した。2025年には現行型へフルモデルチェンジしている。CR-Vほどは販売の終了と再開を繰り返していないが、今は受注の停止という別の問題を抱える。
トヨタのある販売店では「RAV4は(2026年)3月下旬時点で、販売店に対する割り当て台数を完売して受注を停止した。受注の再開時期は未定だが、9月ごろには再開するだろう」という。CR-Vも現行型はタイ製の輸入車だから、販売店は「納期は7~8カ月を要する」と述べるが、RAV4と違って受注は停止していない。
RAV4が実質的に買えないクルマになったのは残念だが、両車はボディーサイズや動力性能が似ているライバル同士だ。比べて選びたいユーザーも多いだろう。そこで購入者の視点で比較する。
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居住性ならCR-V
まず内装はCR-Vが上質だ。RAV4はツール感覚が強いが、CR-Vは情緒も重視する。後席の足元空間もCR-Vが広い。身長170cmの大人4人が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は、RAV4は握りコブシ2つ分だがCR-Vは2つ半を確保する。
CR-Vの後席は、着座位置が先代に比べて30mm高い。違和感が生じる場合もあるが、多くのユーザーは、周囲の見晴らしが効いてRAV4よりも快適に感じるだろう。特にチャイルドシートの装着を含めて、座高の低い子どもが座るときは、CR-Vなら周囲の景色がよく見えるために退屈しにくい。
バリエーションは、CR-Vは輸入車だから、受発注を容易にするためにグレードの数が少ない。工場の生産ラインで装着するメーカーオプションはない。パワーユニットは2リッター直列4気筒エンジンを使ったハイブリッドのe:HEVだけで、グレードも「e:HEV RS」の2WDと4WD、「e:HEV RSブラックエディション」の4WDのみだ。
RAV4のパワーユニットは、ハイブリッド車とプラグインハイブリッド車(PHEV)で、駆動方式はすべて後輪を専用のモーターで駆動する4WDのE-Fourになる。
RAV4のグレードは、ハイブリッドが内外装を野性的に仕上げた「アドベンチャー」と充実装備の「Z」だ。PHEVは「Z」と“GRスポーツ”になる。PHEVは駆動用電池の出力がハイブリッドとは異なり、エンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力も、ハイブリッドの240PSに対して329PSと高い。そこでPHEVには、スポーツ指向の強い“GRスポーツ”を用意した。
両車のパワーユニットと装備を考えると、直接比較するグレードは、CR-V e:HEV RSの4WD(539万2200円)と、RAV4ハイブリッドZのE-Four(490万円)だ。
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お得に乗るならRAV4
両車は装備を充実させ、価格はCR-Vが49万2200円高い。その代わりCRーVは、前述のとおり内装が上質で後席の足元空間にも余裕がある。実用回転域の駆動力も上回る。
装備内容は、CR-Vには本革シートやBOSEプレミアムサウンドシステムが装着され、RAV4は100V・1500Wの電源コンセントを標準装着とした。それぞれに違いがあるが、総合的に見ると、CR-Vが少し充実する。
それでも約49万円の価格差には届かず、輸入車のCR-Vは割高だが、購入の意思決定を覆すほどの違いではない。居住性やスポーティーな運転感覚を重視するならCR-Vが適する。悪路向けSUVのような野性味を大切に考えるならRAV4を推奨する。内装のつくりはかなり異なるので、販売店の試乗車を乗り比べて判断したい。
なお残価設定ローンの残価は、CR-Vは3年後が新車価格の54%で、5年後は39%だ。RAV4は3年後が新車価格の63%で、5年後でも51%を保つ。
つまり残価設定ローンを利用する場合、RAV4は価格の割に返済額を抑えられる。数年後に売却するときの金額も、RAV4が新車価格の割に高値になる可能性が高い。
CR-Vは納期が長いため、商談は早めに開始したい。RAV4は購入できない状態にあるが、諦めるのは早い。今のトヨタでは、各販売会社に受注可能な台数を割り当てて、そこから各販売店の台数を決めている。従って販売会社が異なると、受注できる台数が残っている場合もある。
仮に受注していなくても、購入の意思があることを販売店に伝えて、受注を再開したら連絡してくれるように頼んでおく。今のトヨタ車は、生産が需要に追い付かない車種が増えた結果、購入するときにコツが必要になっている。スムーズに気持ちよく購入できることも、商品力の大切な要素だ。
(文=渡辺陽一郎/写真=トヨタ自動車、本田技研工業/編集=藤沢 勝)
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渡辺 陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆さまにけがを負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。特にクルマには、交通事故を発生させる甚大な欠点がある。今はボディーが大きく、後方視界の悪い車種も増えており、必ずしも安全性が向上したとは限らない。常にメーカーや行政と対峙(たいじ)する心を忘れず、お客さまの不利益になることは、迅速かつ正確に報道せねばならない。 従って執筆の対象も、試乗記をはじめとする車両の紹介、メカニズムや装備の解説、価格やグレード構成、買い得な車種やグレードの見分け方、リセールバリュー、値引き、保険、税金、取り締まりなど、カーライフに関する全般の事柄に及ぶ。 1985年に出版社に入社して、担当した雑誌が自動車の購入ガイド誌であった。そのために、価格やグレード構成、買い得な車種やグレードの見分け方、リセールバリュー、値引き、保険、税金、車買取、カーリースなどの取材・編集経験は、約40年間に及ぶ。また編集長を約10年間務めた自動車雑誌も、購入ガイド誌であった。その過程では新車販売店、中古車販売店などの取材も行っており、新車、中古車を問わず、自動車販売に関する沿革も把握している。 クルマ好きの視点から、ヒストリー関連の執筆も手がけている。
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