ボルボXC40ウルトラB4 AWD(4WD/7AT)
いまなお新鮮 2026.06.06 試乗記 ボルボのエントリーモデルにしてブランドの屋台骨を支える「XC40」も登場からはや8年。これまで内外装やパワートレインにおいて地道なアップデートが重ねられてきたコンパクトSUVは、いかなる進化を遂げたのか。トップグレード「XC40ウルトラB4 AWD」の走りを報告する。デビューから8年たったXC40の立ち位置
近ごろ、俳優の杏さんが登場するボルボのテレビCMをよく見る。穏やかで温かみのある雰囲気は、杏さんとXC40によく似合っている。なぜ杏さんが出演しているかというと、2026年5月から彼女がXC40のアンバサダーを務めているからだが、当のXC40はモデルチェンジを実施したわけでもなく、2018年3月に日本上陸してから約8年が経過している。
にもかかわらず、このXC40は日本で最も売れているボルボであり続けていて、ライバルが多い輸入コンパクトSUV市場のなかで存在感を失っていない。しかも、電気自動車(BEV)版の「C40リチャージ」が近く販売終了となり、「EX40(旧XC40リチャージ)」が「EX40クラシックエディション」としてモデルライフの最終段階を迎えているのに対して、このXC40は継続販売が予定されているそうだ。日本でもうひと花咲かせるべく、“花咲 舞”、もとい、杏さんをアンバサダーに起用してきたということだろうか。
それにしても、デビューから約8年が経過したというのに、魅力が色あせないというのが驚きである。日本で扱いやすい比較的コンパクトなボディーや、北欧ブランドらしい居心地のいいインテリア、使い勝手に優れたラゲッジスペースなど、人気の理由はいろいろあるだろう。そして、忘れてはならないのが、その中身を、地道に、ときには大胆に進化させ続けてきたことだ。
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人気の秘密は先見性とたゆまぬ進化
なかでもパワートレインは、時代の流れに合わせて大きく進化している。2018年のデビュー当初は、純粋な直4ガソリンターボエンジン車だったのが、プラグインハイブリッド車(PHEV)やBEVを追加するとともに、エンジン車はいちはやくマイルドハイブリッド化して、電動化を実現してきたのだ。そして現在は、BEVがEX40としてスピンオフする一方、XC40にはマイルドハイブリッドシステムを搭載する2種類の2リッター直4ガソリンターボ車が用意されている。
その実現に不可欠だったのが、電動化を前提としていた「CMAプラットフォーム」である。CMAプラットフォームを開発し、全車に用いるという先見の明が、いまのボルボとXC40を支えているのだ。
最新のXC40では、FWDには163PSの「B3」パワーユニットが、AWDと呼ばれる4WDには197PSの「B4」パワーユニットが組み合わされる。最新版ではどちらのエンジンもミラーサイクルとVNT(バリアブルノズルタービン)ターボを採用し、WLTCモード燃費はそれぞれ14.8km/リッターと14.2km/リッターを達成。B4 AWDでは、非ミラーサイクル仕様に対して約14%、デビュー当時の「T4 AWD」に対して約27%も燃費が向上しているのは見逃せない。
そんなXC40のなかから、今回試乗したのは4WDのXC40ウルトラB4 AWD。“ウルトラ”と呼ばれるグレードは装備が充実した仕様であり、「ピクセルLEDヘッドライト」や「harman/kardonプレミアムサウンド」、本革シートなどによって、XC40の魅力をさらに高めている。
なお、この5月、XC40ウルトラB4 AWDに代わるグレードとして「XC40ウルトラB4 AWDセレクション」を発表している。これまでオプション設定だったチルトアップ機構付き電動パノラマガラスサンルーフが標準で装着されるのがポイントである。
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進化したインフォテインメント
さっそく試乗しようとすると、スタッフから「このクルマは、杏さんがCMで乗られたクルマなんですよ」と教えられ、運転する前からなんとも得した気分になる。そんなやさしいベージュに彩られたXC40のドアを開けて、室内をのぞき込むと、グレーとベージュのツートンのコックピットと、ベージュのレザーシートが上品な雰囲気をつくり上げている。
運転席に座ってまず目に入るセンターディスプレイはデザインこそ以前のままでサイズも弟分の「EX30」より狭いが、他のモデル同様、いまやGoogle搭載のインフォテインメントシステムが導入されているし、2026年モデルからは「Snapdragon Cockpit Platform」を採用したことで、これまで以上にサクサク反応するようになったのも見どころである。
ウルトラグレードに標準のオレフォス製クリスタルシフトノブに見ほれながら、走りだしてみてまず印象に残るのが、身のこなしの軽やかさである。XC40ウルトラB4 AWDは、走りだしから軽快なフィーリングを示し、その乗り味に重々しさは感じられない。
ミラーサイクルを採用した最新の2リッター直4エンジンは、48Vマイルドハイブリッドシステムのサポートもあって、低回転域から素直に反応する。アクセル操作に対する応答性は良好で、必要な場面では期待どおりの駆動力を引き出せる点に好感を持った。
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熟成されたパワートレイン
組み合わされる7段DCTも完成度が高い。従来の8段ATに迫る滑らかな変速フィールを維持しながら、駆動力の伝達感はよりダイレクトになった印象を受ける。
アクセルペダルを踏み増していくと、3000rpm付近からエンジンはさらに活気づき、加速感がひときわ力強くなる。さらに踏み込めば、その勢いは6000rpm近辺まで衰えることなく続く。日常域はもちろん、高速道路への合流や追い越しといったシーンでも余裕を感じさせるパフォーマンスを備えている。
足元には19インチホイールと235/50R19サイズのタイヤを装着するが、乗り心地は上々だ。路面からの入力は適度に角が取られており、ロードノイズの侵入もよく抑えられている。
また、走行中のピッチングやロールもSUVとしては小さく、ボディーの動きは終始落ち着いている。それでいて身のこなしは軽快で、ワインディングロードを走る場面でも、退屈どころか、その軽快なフットワークのおかげで、運転を楽しむことができた。
全長4440mmという比較的コンパクトなサイズながら、後席は大人が座っても、足元は余裕たっぷり。ラゲッジスペースは通常時でも奥行きが90cm強確保され、後席を倒すことでさらに広いスペースが手に入るから、ファミリーで使うにはぴったりだ。
デビューから8年以上が経過したとは思えないほど、XC40はいまなお新鮮さを保っている。北欧らしいデザインは色あせることなく、走りも最新のSUVと比べて見劣りしない。むしろ長年にわたる改良によって熟成が進み、完成度はさらに高まった印象さえ受ける。長寿モデルであることをネガティブに感じさせないXC40は、まだしばらくはボルボのラインナップを支える存在であり続けるだろう。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
ボルボXC40ウルトラB4 AWD
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4440×1875×1655mm
ホイールベース:2700mm
車重:1720kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:7段AT
エンジン最高出力:197PS(145kW)/4750-5200rpm
エンジン最大トルク:300N・m(30.6kgf・m)/1500-4500rpm
モーター最高出力:11.5PS(8.5kW)/3000-8000rpm
モーター最大トルク:29N・m(2.95kgf・m)/2250rpm
タイヤ:(前)235/50R19 99V/(後)235/50R19 99V(ミシュランeプライマシー)
燃費:14.2km/リッター(WLTCモード)
価格:639万円/テスト車:656万6000円
オプション装備:なし ※以下、販売店オプション ボルボ・ドライブレコーダースタンダード<工賃含む>(17万6000円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:4469km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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