中東の戦闘終結で一段落? 各国の“危機的ガソリン価格”を振り返る
2026.06.18 デイリーコラム日本は「ガソリンが安い国」に!?
ついにアメリカとイランが戦闘終結で合意! 執筆時点はまだ署名前で、合意の内容もはっきりしないので先は見通せないけれど、これでホルムズ海峡の閉鎖が解かれるなら、原油価格は「石のように落ちる」(byトランプ氏)? 少なくともその方向に向かい、史上最高レベルのガソリン高時代も終結することになります。よかったよかった。
とはいっても、日本の場合、すぐにはガソリン価格は下がらない。レギュラーガソリンが平均リッター170円前後になるように、政府が補助金を出して価格を引き下げているからです。
本稿の執筆開始時点(2026年6月11日)で補助金の単価は1リッターあたり27円。正味のガソリン価格が27円下がるまでは、現在の価格付近のまま推移するはずです。
日本の場合、ガソリン1リッターあたりの税負担は、揮発油税、地方揮発油税、石油石炭税、消費税を合計すると47円ほど。それを補助金で27円割引して、合計20円にオマケしている、ということですね。
ちなみに補助金の額は、2026年3月下旬から4月中旬は48.1円に達していたので、その時期は税金分丸々オマケ+αでした。
このオマケのおかげで日本は、先進国で最もガソリンの安い国になりました(執筆時点)。世界最大の産油国であるアメリカですら、日本よりガソリンが高くなったんだからスゲエ! さすが激安の殿堂・ニッポン!
せっかくなので、2026年5月時点のめぼしい国々のガソリン価格を挙げておきましょう。思い出づくりのために。
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危機といっても単価はさまざま
じゃ、景気よく安いほうから。それぞれ1リッターあたりの価格で、カッコ内が邦貨換算(1ドル160円換算)の値です。
●ベネズエラ:0.01ドル(2円)
アメリカの奇襲で大統領が拉致されちゃったけど、まだこんなメチャメチャな安値で国民に提供してるんですね。この国って、この手の市場を完全に無視したトンデモ経済政策で破綻国家となっております。
●イラン:0.28ドル(45円)
今回のオイルショックの一方の当事国。いくら地産地消とはいえ、精製費用もかかるので、原価割れしているでしょう。
●サウジアラビア:0.62ドル(99円)
地産地消でほぼ原価って感じでしょうか。
●中国:0.99ドル(158円)
輸送費と利益を乗せてこれでどうだ! くらいかと思われます。
●日本:1.06ドル(170円)
前述のようなオマケ価格となっております。
●アメリカ:1.18ドル(189円)
湯水のようにガソリンを使う国ゆえに、このままじゃ中間選挙で負けるということで、さすがのトランプ氏も合意を急ぎました。
●韓国:1.34ドル(214円)
お隣は200円超えしてたんですね。
●ハイチ:1.41ドル(225円)
石油の採れない破綻国家&世界最貧国のひとつ(国民の年平均所得約10万円)。ガソリンはグローバル価格なので、情け容赦ありません。
●ドイツ:2.33ドル(373円)
欧州はだいたいこれくらい。日本の2倍強となっております。
●香港:4.17ドル(667円)
これが世界一! さすがにスゲエ!
「170円」でも相当キツい
こうして見ると、日本は実に平穏だったと感じますが、そうでもない。日本は平均所得がG7中最低、欧米の半分くらい。つまりガソリン価格の負担感も、欧米と同レベル(アメリカは平均燃費が悪く、平均走行距離が長い)だったことになります。
前述のように、ガソリンはグローバル商品なので、どんな貧乏国でも、原価はだいたい同じ。補助金だって無限にブチ込めるわけじゃないので、国民のガソリン代の負担感を減らすには、平均所得を上げる方向に持っていくのが正しい……ってことになります。それができれば苦労はないですが。
もちろん、燃費走行やクルマの乗り控えなど、個人レベルの対策もあるにはありますが、ものには限度がある。低燃費車や電気自動車への買い替えは、節約をはるかに超える初期投資が必要なので、本当に苦しかったらムリです。
例えばアメリカによる経済封鎖を受けているキューバは、超深刻なガソリン不足にあえいでいますが、どんなに経済的に苦しくても、ガソリンは必需品。正規価格がリッター130円前後(で、ぜんぜん買えない状況)のところ、闇市ではその10倍以上で取引されているとか。
今後再びガソリンが高騰した時は、日本も、最悪キューバみたいに馬車を活用するべきかもしれません。いや、日本の場合はやっぱり人力車だネ!
(文=清水草一/写真=webCG/編集=関 顕也)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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