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ホンダが次世代ハイブリッドの名称を「Honda Hybrid」に決定 命名の理由とその背景を探る

2026.10.26 デイリーコラム 世良 耕太
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ハイブリッドであることをストレートに表現

ホンダは2026年10月9日、2027年からグローバルに順次投入する次世代ハイブリッドシステムの名称を「Honda Hybrid(ホンダハイブリッド)」に決定したと発表した。新しいハイブリッドシステムはこれまで「e:HEV(イーエイチイーブイ)」と呼んでいたものを進化させたシステムで、2029年度までに北米市場をはじめとするグローバル市場に搭載モデルを15車種投入する計画だという。

ホンダは2012年に発電用と走行用の2つのモーターを備えた独自の2モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-MMD(以下i-MMD)」を発表。i-MMDは「インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ」の頭文字をつなげたものだ。国内では2013年6月に発売された9代目「アコード」に初搭載された。

i-MMDは、エンジンで発電した電力で走行用モーターを駆動し走るのが基本。ほとんどのシーンでシリーズハイブリッドでの走行となる。高速道路や自動車専用道路を一定速で淡々と走るようなシーンなど、シリーズハイブリッドで走るよりエンジン直結で走ったほうが効率が高い(つまり燃費が良くなる)シーンでは、クラッチをつないでエンジン直結モードで走る。また、バッテリーに十分残量があり、ドライバーの加速要求が弱い発進〜低速のシーンではモーター単独で走る、いわゆるEV走行となる。

ホンダは走行用モーターとエンジンを状況に応じてシームレスに切り換える独自開発のハイブリッドシステムを「シリーズパラレル切り替え方式」と呼んでいる。システム構成の基本は変えず、2020年にコミュニケーションの名称をe:HEVに変更。さらに、2027年からはホンダハイブリッドに変更するというわけだ。

ホンダハイブリッドというシンプルな名称に変更するのは、ハイブリッドであることをストレートに消費者に伝える狙いからだろう。日産はシリーズハイブリッドシステムを「e-POWER」と名づけて展開しているが、北米ではハイブリッドシステムであることを認識してもらえないことから、彼の地では「e-POWER HYBRID」の名称で展開している。今回ホンダが名称変更にあたって「Hybrid」の単語を入れたのは、日産と同じ悩みを抱えているからだろうか。

2026年10月9日、本田技研工業は2027年からグローバルに順次投入する次世代ハイブリッドシステムの名称を発表した。その名は「Honda Hybrid(ホンダハイブリッド)」。次世代ハイブリッド車のプロトタイプとして同年5月に披露された「ホンダ・ハイブリッドセダン プロトタイプ」(写真左)と「アキュラ・ハイブリッドSUVプロトタイプ」(同右)の実車版にも採用される見込みだ。
2026年10月9日、本田技研工業は2027年からグローバルに順次投入する次世代ハイブリッドシステムの名称を発表した。その名は「Honda Hybrid(ホンダハイブリッド)」。次世代ハイブリッド車のプロトタイプとして同年5月に披露された「ホンダ・ハイブリッドセダン プロトタイプ」(写真左)と「アキュラ・ハイブリッドSUVプロトタイプ」(同右)の実車版にも採用される見込みだ。拡大
公開された「ホンダハイブリッド」のロゴ。新しいハイブリッドシステムは、これまで「e:HEV」と呼んでいたものを進化させたシステムと紹介された。2029年度までに、北米市場をはじめとするグローバル市場にホンダハイブリッド搭載モデルを15車種投入する計画だという。
公開された「ホンダハイブリッド」のロゴ。新しいハイブリッドシステムは、これまで「e:HEV」と呼んでいたものを進化させたシステムと紹介された。2029年度までに、北米市場をはじめとするグローバル市場にホンダハイブリッド搭載モデルを15車種投入する計画だという。拡大
本田技研工業の取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏。ホンダは引き続き「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指し、地域ごとの市場環境、需要動向を見極めながら、EV、ハイブリッド、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させるとしている。写真は2026年5月14日に行われた同社の事業説明会「ビジネスアップデート」でのもの。
本田技研工業の取締役 代表執行役社長 三部敏宏氏。ホンダは引き続き「2050年のカーボンニュートラル実現」を目指し、地域ごとの市場環境、需要動向を見極めながら、EV、ハイブリッド、カーボンニュートラル燃料、カーボンオフセット技術などを組み合わせた多角的なアプローチを加速させるとしている。写真は2026年5月14日に行われた同社の事業説明会「ビジネスアップデート」でのもの。拡大
ホンダの2モーターハイブリッドシステム「i-MMD」は、2020年にコミュニケーションの名称が「e:HEV」に変更された。写真は「ヴェゼルe:HEV RS」。
ホンダの2モーターハイブリッドシステム「i-MMD」は、2020年にコミュニケーションの名称が「e:HEV」に変更された。写真は「ヴェゼルe:HEV RS」。拡大
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次世代中型ハイブリッドに新開発エンジンを採用

ホンダは2026年5月の「2026 ビジネスアップデート」で「需要動向を見据えたパワートレインポートフォリオの見直し」を発表した。その内容を端的に表現すれば、軸足をEV(電気自動車)からハイブリッド車に移すということだ。ホンダはもともと「EVが本格的に普及する2030年までは、強みであるハイブリッドが環境対応の主力になる」との考えをもとにハイブリッドシステムの開発を進めていたが、EV需要の鈍化トレンドに合わせ、ハイブリッド車を「当初の投入計画よりも前倒し」することにした。

ホンダが開発している次世代ハイブリッドは「中型」と「大型」の2タイプある。両ハイブリッドについては2025年11月にメディア向けに行った「四輪技術ワークショップ2025」で「次世代中型ハイブリッドシステム」と「次世代大型ハイブリッドシステム」としてスタディーモデルを公開している。

次世代中型ハイブリッドシステムは新開発のエンジンと新開発のフロントドライブユニット(走行用モーター+発電用モーター+減速機+増速機+パワーコントロールユニット)、新開発のバッテリーパック、新開発の冷却システムで構成する。エンジンは急速燃焼を行うことで、ストイキ(理論空燃比)で燃焼できる領域を拡大。高効率の燃焼領域を拡大するとともにNV(騒音・振動)の低減にも力を入れて開発している。

フロントドライブユニットは小型・高効率化を追求。バッテリーパックはプラットフォームの刷新に合わせ、搭載位置を後車軸の後ろから後車軸の前に移すと同時に、小型・高出力化した。冷却システムは従来複数の冷却器を別々に配置していたが、統合することでコンパクト化と高効率化を果たした。これによりオーバーハングを短縮できるので、デザインの自由度向上に寄与する。

2025年11月、ホンダはメディア向けに行った「四輪技術ワークショップ2025」で「次世代中型プラットフォーム」を公開した。高いボディー剛性と軽量化を高次元に両立させる技術や、共用率を向上させたモジュラーアーキテクチャーなど、さまざまな革新技術を組み合わせることで、ドライバーが軽快で爽快な走りを実感できるように設計しているという。
2025年11月、ホンダはメディア向けに行った「四輪技術ワークショップ2025」で「次世代中型プラットフォーム」を公開した。高いボディー剛性と軽量化を高次元に両立させる技術や、共用率を向上させたモジュラーアーキテクチャーなど、さまざまな革新技術を組み合わせることで、ドライバーが軽快で爽快な走りを実感できるように設計しているという。拡大
バッテリーパックの搭載位置は、プラットフォームの刷新に合わせて後車軸の後ろから、後車軸の前に移される。これによりオーバーハングを短縮できるので、デザインの自由度が向上すると説明される。
バッテリーパックの搭載位置は、プラットフォームの刷新に合わせて後車軸の後ろから、後車軸の前に移される。これによりオーバーハングを短縮できるので、デザインの自由度が向上すると説明される。拡大
主にハイブリッド車の主戦場となる北米市場向けとされる「次世代大型ハイブリッドシステム」。力強い走行性能と牽引性能に、環境性能を兼ね備えている。Dセグメント以上の大型車向けのパワートレインとなる。
主にハイブリッド車の主戦場となる北米市場向けとされる「次世代大型ハイブリッドシステム」。力強い走行性能と牽引性能に、環境性能を兼ね備えている。Dセグメント以上の大型車向けのパワートレインとなる。拡大
「次世代大型ハイブリッドシステム」には、新開発のV6エンジンを組み合わせる。現在販売している同一セグメントのガソリンエンジン搭載車と比較し、30%以上の燃費向上を目指している。
「次世代大型ハイブリッドシステム」には、新開発のV6エンジンを組み合わせる。現在販売している同一セグメントのガソリンエンジン搭載車と比較し、30%以上の燃費向上を目指している。拡大

新型「シビック」に次世代ハイブリッドを搭載?

次世代中型ハイブリッドシステムは次世代中型プラットフォームとの組み合わせとなる。新しいプラットフォームの最大の特徴は、「新操安剛性マネジメント」と呼ぶボディー剛性の考え方にある。従来は「剛性を上げれば性能は良くなる」との考え方に基づいて開発していたが、次世代中型プラットフォームは逆転の発想を取り入れており、あえて部分的に剛性を低減。旋回時に意図的にボディーを変形させて旋回外輪の接地荷重を確保し、タイヤ性能を引き出す考えだ。

制御面では2025年の「プレリュード」で初投入し、2026年に「シビックe:HEV RS」にも採用した、有段変速機のようなダイレクトな変速フィールと高揚感を演出する「ホンダS+シフト」の進化版を搭載する。モーターの制御により疑似変速時のGの変動(いわゆる変速ショック)を生んでいるのが新しい。また、パワートレインとブレーキの制御を統合し、意のままかつ安定した旋回姿勢を提供する「モーションマネジメントシステム」(2024年のアコードで初適用)の進化バージョンも採用する。

次世代中型ハイブリッドシステムを搭載するのは中型のセダンタイプからとのことなので、素直に想像すれば次期シビックからということになるだろう。

次世代大型ハイブリッドシステムは、新開発のV6エンジンと新開発のフロントドライブユニット、新開発のバッテリーパックで構成する。「パイロット」など車両重量が2tを超えるような北米市場専用モデル向けのシステムだ。

エンジン、フロントドライブユニットはともに高出力・高効率化を図る。フロントドライブユニットはハイとローのエンジン直結ギアを持つのが特徴で、牽引時や登坂など大きな負荷がかかるシーンではローギアのエンジン直結モードに切り換えて走行性能を確保する考えだ。また、4WDはプロペラシャフトを用いた機械伝達ではなく、新開発するリア電動ユニットによって成立させる。ホンダS+シフトを適用するのは次世代中型ハイブリッドシステムと同様だ。

ホンダハイブリッドの名称で出てくるホンダの次世代ハイブリッドはまず中型から市場に投入される見込み。最新の環境規制に対応するだけでなく高出力と高効率化を両立。ホンダS+シフトなどの採用により走りの楽しさを盛り込んでいるのが特徴で、環境や効率一辺倒ではないところがホンダらしい。

(文=世良耕太/写真=本田技研工業/編集=櫻井健一)

2026年5月の「2026 ビジネスアップデート」で、2年以内に発売予定と紹介された次世代ハイブリッド車「ホンダ・ハイブリッド セダン プロトタイプ」。
2026年5月の「2026 ビジネスアップデート」で、2年以内に発売予定と紹介された次世代ハイブリッド車「ホンダ・ハイブリッド セダン プロトタイプ」。拡大
「ホンダ・ハイブリッド セダン プロトタイプ」と同じく「2026 ビジネスアップデート」の会場でこちらも2年以内に発売予定と紹介された、次世代ハイブリッド車「アキュラ・ハイブリッドSUVプロトタイプ」。次世代プラットフォームと新開発となる電動AWDユニットを組み合わせ、10%以上の燃費向上が目標に掲げられている。
「ホンダ・ハイブリッド セダン プロトタイプ」と同じく「2026 ビジネスアップデート」の会場でこちらも2年以内に発売予定と紹介された、次世代ハイブリッド車「アキュラ・ハイブリッドSUVプロトタイプ」。次世代プラットフォームと新開発となる電動AWDユニットを組み合わせ、10%以上の燃費向上が目標に掲げられている。拡大
次世代中型プラットフォームでは、あえて部分的に剛性を低減。旋回時に意図的にボディーを変形させ、旋回外輪の接地荷重を確保し、タイヤ性能を引き出す考えが用いられている。
次世代中型プラットフォームでは、あえて部分的に剛性を低減。旋回時に意図的にボディーを変形させ、旋回外輪の接地荷重を確保し、タイヤ性能を引き出す考えが用いられている。拡大
新型「プレリュード」で初投入し、2026年に「シビックe:HEV RS」にも採用された、有段変速機のようなダイレクトな変速フィールと高揚感を演出する「ホンダS+シフト」。次世代モデルには、その進化版が搭載される見込みだ。
新型「プレリュード」で初投入し、2026年に「シビックe:HEV RS」にも採用された、有段変速機のようなダイレクトな変速フィールと高揚感を演出する「ホンダS+シフト」。次世代モデルには、その進化版が搭載される見込みだ。拡大
次世代大型ハイブリッドシステムは、新開発のV6エンジンとフロントドライブユニット、バッテリーパックなどで構成される。「パイロット」など、車両重量が2tを超えるような北米市場専用モデル向けとなる。写真は北米で販売される現行型パイロット。
次世代大型ハイブリッドシステムは、新開発のV6エンジンとフロントドライブユニット、バッテリーパックなどで構成される。「パイロット」など、車両重量が2tを超えるような北米市場専用モデル向けとなる。写真は北米で販売される現行型パイロット。拡大
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