アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD/7AT)
ちょうどいい新しさ 2026.06.30 試乗記 アウディのコンパクトSUV「Q3」がフルモデルチェンジ。新しくなったのはすっかり押し出しの強くなったフロントマスクだけでなく、内装もすべて新設計。インフォテインメントや灯火類などにも最新のシステムを採用した意欲作だ。「スポーツバック」の4WDモデルの仕上がりをリポートする。右往左往か臨機応変か
出力に応じて「35」や「40」という数字をつけるんじゃなかったっけ、それと奇数モデルは内燃エンジンで偶数は電気自動車(BEV)にするんじゃなかったっけ、そもそも内燃エンジンの新型車はもうつくらないと言ってたような……と、突っ込みたくなる気持ちはもちろん分かります。だが見込みが外れたのはアウディだけではなく、それどころか大赤字に陥っているメーカーもあることはご存じのとおりである。
心機一転、攻撃を立て直すために2026年5月に日本市場に投入されたのがコンパクトSUVの新型Q3である。Q3は2011年の初代以来、累計200万台以上が販売されたアウディの主力モデルで新型は3世代目にあたる。従来型は1.5リッターガソリンターボからディーゼルターボ、さらには直5ターボを積む高性能版「RS Q3」までラインナップされていたが、新しいQ3の日本仕様は1.5リッターと2リッターの4気筒ガソリンターボのみ(本国では2リッターディーゼルやプラグインハイブリッドの設定もあり)。FWDは1.5リッターにマイルドハイブリッドを組み合わせ、4WDの「クワトロ」は純内燃機関の2リッター4気筒となり、どちらも変速機は7段Sトロニック、それぞれQ3とクーペSUVのQ3スポーツバックに用意されるので全4機種でのスタートとなる。
トリムグレードはすべて「アドバンスト」で「Sライン」はパッケージオプションとして用意されている。価格はFWDの「Q3 TFSI 110kWアドバンスト」の550万円から、試乗車の「Q3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト」の628万円まで。後述の新装備などを考えると550万円スタートはアウディにしては意外にリーズナブルという印象だが、よりコンパクトな「A1」と「Q2」の生産はすでに終了。代わりにBEVの「A2 e-tron」が発売されるといわれているが、それまではQ3と「A3」がアウディのベーシックモデルとなる。敷居はできるだけ低くということなのだろう。
ブラインド操作できるのが安心
切れ長のデイタイムランニングライトとテールランプがシャープで斬新な印象のQ3スポーツバック クワトロだが、ボディーサイズは事実上変わらず、2680mmのホイールベースも同一である。クワトロのパワーユニットも従来型踏襲で、2リッター直4ターボは車名表記のとおり最高出力150kW=204PS/4500-6000rpmと最大トルク320N・m/1500-4400rpmを生み出す。
いっぽうインストゥルメントパネルまわりは一新されている。デジタルメーターとMMIタッチディスプレイを連結した「MMIパノラマディスプレイ」はドライバーに向けて湾曲した最新型。さらに右側にATセレクターを、左側にウインカーとワイパースイッチなどを備えた「インテグレーテッドスイッチモジュール」なる横長バーがステアリングコラム奥に備わる。
もともとアウディ(とベントレー)はステアリングスポーク上に無数のスイッチを密集配置せず、アダプティブクルーズコントロールの操作はコラム左下に生える独立したレバーで行うタイプだったが、新型Q3もこれを踏襲したうえにATセレクターもセンターコンソールから移設した。上下を押しつぶしたステアリングのスポーク上にオーディオやメーター表示切替ボタンは残るが(3本スポークのステアリングホイールはSラインパッケージのオプション)、運転中の主要な操作は視線を動かさず、ステアリングホイールから手を離さずに行える。半面、シフトパドルも含めてステアリングコラムにここまで操作系を集中させるとかえって邪魔になるのではとの心配もあったが、運転中に操作しにくいと感じることはなかった。世代によって反応は違うのかもしれないが、われわれジジイ世代はブラインドで操作できる方式のほうが間違いなく安心できる。
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アウディ初をQ3から
昔から先進的なライティングはアウディの自慢だが、新型Q3には2万5600個ものマイクロLEDを備えるデジタルマトリックスLEDヘッドライトが採用されている(クワトロに標準装備)。アウディとして初搭載というこのシステムは、オン/オフ時にアニメーションを投影する機能はもちろん、車線逸脱や車線変更時に路面に簡単な図形を映し出して注意を促す機能も含まれている。Cセグメントでは他に例を見ない“ぜいたく装備”だが、制御がきめ細かいアウディのデジタルマトリックスライトは一度経験すると手放せない有用な装備であることは確認済みである。
もうひとつ、新型Q3には電子制御ダンパーも全車に備わっている。しかも伸び側と縮み側それぞれの減衰力を連続制御する2バルブコントロールダンパーを採用しているのがぜいたくだ。もちろんドライブセレクトで「バランスト」「ダイナミック」「コンフォート」「エフィシェンシー」、さらにクワトロでは「オフロード+」モードを選べるが、バランストモードでは個別設定画面を呼び出すこともできる(その場合は「インディビジュアル」モードに変わる)。
実用性も抜かりなし
Q3クワトロはFWDに比べて100kgほど重いが(試乗車のスポーツバック+Sラインパッケージの車重は1710kg)、0-100km/h加速は7.1秒とされている(FWDは9.1秒)。実際にも十分に俊敏軽快で不足を感じる場面はないはずだ。
基本モードはバランストだが、19インチタイヤ(Sラインパッケージ)を装着していたこともあるのか、街なかでは意外に硬めで上下動が若干気になった。一般道や首都高程度の速度域ではコンフォートモードのほうが落ち着くようだ。「A5」もそうだったが、最近のアウディはドライブモードによるメリハリが利いているのが特徴で、積極的にモード選択するのが前提なのかもしれない。
全高がQ3より40mm低いスポーツバックはさすがに後席のヘッドルームだけは余裕がないが、それ以外のデメリットは見当たらない。これまでどおりリアシートをスライドさせてラゲッジスペース容量を拡大(488~575リッター)することもできる。カッコよくて実用的、車両価格もこれまで以上に戦略的。要するにアウディの本気を感じるのである。
(文=高平高輝/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4530×1860×1570mm
ホイールベース:2680mm
車重:1710kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:204PS(150kW)/4500-6000rpm
最大トルク:320N・m(32.6kgf・m)/1500-4400rpm
タイヤ:(前)255/45R19 100V XL/(後)255/45R19 100V XL(ブリヂストン・トランザ6)
燃費:12.1km/リッター(WLTCモード)
価格:628万円/テスト車=709万円
オプション装備:Sラインパッケージ<Sラインエクステリア、10スポークエアロデザインアルミホイール[ブラックポリッシュド 8.5J×19、255/45R19]、スポーツシート[フロント]、インプレッサムクロス/マイクロファイバーシート、ステンレスペダルカバー、アルミニウムドアシルトリム[Sロゴ]、ステンレスローディングエッジプロテクション、ブラックヘッドライニング、インテリアエレメンツ[クロス×アーティフィシャルレザー]、マルチファンクション3スポークレザーステアリングホイール[フラットボトム&トップ、シフトパドル&ヒーター付き]、アルミニウムデコラティブパネル[ダイバージェンスダーク]>(45万円)/レザーシートパッケージ<レザー×アーティフィシャルレザーシート、アンビエントライティングプロ、インテリアエレメンツ[ダイナミカ×アーティフィシャルレザー]>(9万円)/ダークアウディリングス&ブラックスタイリングパッケージ<ブラックエクステリアミラーハウジングを含む>(9万円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:1052km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

高平 高輝
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