マツダCX-30 25エアエディション(4WD/6AT)
もっと注目されていい 2026.10.23 試乗記 マツダのコンパクトクロスオーバー「CX-30」に、一部改良で2.5リッターガソリンモデルが登場。新たなパワートレインを得た最新型は、過去のモデルからどのような進化を遂げているのか? 装備全部盛りの最上級グレードで確かめた。さよならディーゼル
マツダの絶対的エースである「CX-5」が新型に切り替わった2026年は、同社の商品ラインナップ全体が大きく動いた年でもある。ひとつは「CX-3」が2月末、「マツダ2」が8月をもって日本向け生産を終了したことだ。来たるべき2027年には、新型CX-3がタイで生産開始ともいわれているが、それまではマツダのエントリー需要は、このCX-30と「マツダ3」がになう。
そんなCX-30も、同じスモール商品群に属するマツダ3とともに、この2026年7月の商品改良で1.8リッターディーゼルエンジンを廃止した。マツダは数年前から4気筒ディーゼルからの撤退戦略を進めており、今回でそれが完了したことになるわけだ。
今回の主題であるCX-30では、先述のとおり1.8リッターディーゼルがなくなったかわりに、2.5リッターガソリンエンジンを追加。既存の2リッターとあわせて、新たに2種類のガソリンエンジン(のマイルドハイブリッド付き)での再出発となる。ちなみに、ガソリン圧縮着火技術を取り入れた「スカイアクティブX」は、CX-30では2023年夏の商品改良で廃止となっている。
最新のCX-30では、こうしたエンジンラインナップの改変とともに、グレード構成も簡素化されて、同時に新しい上級トリムグレードとして「エアエディション」が新登場した。エアエディションは、外装ディテールを最近ハヤリのブラック化するとともに、シート表皮をさわやかなホワイトとグレーのコンビカラーとして、ダッシュボードにスエード調合皮の「レガーヌ」をあしらったのが特徴とか。
取材車は、2.5リッターエンジンとエアエディションという、今回の商品改良における2つのメダマを組み合わせた「25エアエディション」だった。駆動方式も4WDで、これが新しいCX-30の最高価格モデルということになる。その本体価格は375万6500円。
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あれからいろいろありました
あらためて『webCG』の過去記事を振り返ると、CX-30の試乗記は2020年9月のものが最後だった。CX-30は2019年9月に国内発売されて、最初の商品改良は2020年12月だったので、数本ある試乗記事すべてが初期モデルのそれとなる。かくいう筆者も、CX-30については2020年前後に数回試乗した記憶があるだけだ。
ともあれ、あらためてCX-30のドライバーズシートにおさまって周囲を見わたすと、細かく手の込んだ仕立てが、新型CX-5のシンプルなそれとは一線を画す。CX-5を新世代、それ以外を旧世代のマツダとすれば、どこかハンドメイド感がただようCX-30のインテリアの仕立ては、旧世代マツダの大きな美点だ。
レガーヌがあしらわれたダッシュボードはエアエディションの特徴のひとつだが、2.5リッターの場合はシートのメイン表皮にもレガーヌが使われる(2リッターはファブリック)。レガーヌは国内サプライヤーのセーレンが供給しており、この種の素材としては高い通気性が自慢とか。実際、まだまだ残暑っぽかった取材当日でも、そっち方面の不快感はなかった。しかも、25エアエディションにはシートヒーター(とステアリングヒーター)のほか、シートベンチレーションまでも標準装備となる。
発売後も毎年のように商品改良を重ねるのがマツダの流儀だ。CX-30でこれまで実施された改良を、(スカイアクティブXを除く)ガソリンエンジン車にまつわるものだけ記すと、発売翌年の2020年末の改良では先進運転支援システムのレーダークルーズコントロール機能や車線維持支援機能の味付けを熟成。翌2021年春には前後ダンパー特性の見直しにより、とくに荒れた路面での乗り心地を改善。2022年夏にはマイルドハイブリッドを搭載。2023年秋は誤発進抑制やドライバーモニタリングの機能アップとセンターディスプレイの大型化。そして、2024年夏は「Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)」による音声操作機能を追加……といったメニューが実施されている。
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クセもあるけどよさもある
新搭載の2.5リッターマイルドハイブリッドは、ほぼ共通のパワートレインを積むCX-5より200kg以上軽いこともあり、日常的に不足を感じることはない。が、余裕しゃくしゃくというわけでもない。CX-30の「Mハイブリッド」は、ハイブリッドといっても電力消費を抑制して燃費悪化を防ぐのが最大目的の低出力マイルド型で、そのフィーリングは純エンジン車と大差ない。いまどきの高出力ハイブリッドに慣れきった身には、アクセル操作と実際の加速に生じる一瞬の“間”に、よくも悪くも「内燃機関だなあ」と思ってしまう。
ただ、こうした味わいには、マイルドハイブリッドだけでなく、変速機がいまだ6段式であることも無関係ではないだろう。たとえば高速道路の追い越し時でも、「Cセグメントの2.5リッター」というイメージからすると予想外にシフトダウンの頻度が高く、そのときのエンジン回転の高まりも大きいからだ。
近年はこのクラスでも7~9段が主流となりつつあるが、変速機を基本的に自社開発・自社生産でまかなうマツダ(先日、北米向け6段ATをアイシンが受託生産すると報じられたけど)は、一度変速機を開発すると、投資が回収できるまではおいそれとは切り替えられない……という事情もあると思われる。
CX-30の2.5リッターには、そうしたクセがちょっとあるいっぽうで、加減速ともにアクセルだけで微調整がしやすいのも事実。前記のように絶対的なトルクやパワー、振動騒音にはツッコミどころはあれど、とにかくあつかいやすく、肌になじむ。こうした部分は、多くの車種でパワートレインを共有して、しかもシリーズ開発として毎年のように改良・熟成を重ねてきたマツダならではの美点というべきだろう。
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もうちょっと売れてもいい
こういう、驚きはないけど滋味深い……というドライブフィールはシャシーにも共通する。先述の歴代商品改良からすると、シャシーが明確に改良されたのは2021年秋だけで、マツダ広報担当によると、今回の改良でもシャシーに手は入っていないという。
それでも、初期モデルの記憶を呼び起こすと、この最新CX-30の走りは「改良は本当に1回だけ?」と疑いたくなるくらい熟成感に富む。リアトーションビームと4WDの組み合わせによるものか、リアのバネ下のゴトつきは少し気になるものの、速度や路面を問わず、上屋がフラットに安定しているのがいい。ロールも小さく、低全高のハッチバックの目線だけを少し引き上げて、見晴らしをよくしたような乗車感覚だ。それでいて、全高は立体駐車場対応である。
今どきのクルマとしてはステアリングが重いのも、いかにも従来世代のマツダらしい。最新のCX-5のそれは明らかに軽くなっているが、CX-30のような重い調律も、しっとりとした接地感と高速直進時の落ち着きなど、これはこれで利点も少なくない。
派手さはないCX-30ながら、なるほど日常づかいにピッタリのいいクルマだと、今回あらためて思った。そんなCX-30の2025年度の国内販売台数は、モデル末期のCX-5とマツダ2に次ぐ3番手。グローバルではトップのCX-5より約4割少ない2番手である。こうして見るとCX-5の絶対的エースぶりが如実だが、より安価で間口の広いCX-30がグローバルで1番に、あるいはCX-5に肉薄するくらい売れるほうが、マツダにとって健全な販売構成にも思える。このクラスとしては燃費もあまり褒められたものではないCX-30は、今では商品としてのインパクトが薄いのか。
とはいえ、2.5リッターに電動シート、さらに前記のシートヒーターにシートベンチレーション、さらにはBOSEのサウンドシステムまで標準装備という内容で、370万円台とは今どき素直に買い得。個人的にはCX-30はもうちょっと売れてしかるべき……と思う。
(文=佐野弘宗/写真=向後一宏/編集=堀田剛資/車両協力=マツダ)
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テスト車のデータ
マツダCX-30 25エアエディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4395×1795×1540mm
ホイールベース:2655mm
車重:1530kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:179PS(132kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:238N・m(24.3kgf・m)/3750-4000rpm
モーター最高出力:5.4PS(4kW)/1000rpm
モーター最大トルク:60.5N・m(6.2kgf・m)/100rpm
タイヤ:(前)215/55R18 95H/(後)215/55R18 95H(トーヨー・プロクセスR63)
燃費:14.5km/リッター(WLTCモード)
価格:375万6500円/テスト車=395万7250円
オプション装備:なし ※以下、販売店オプション ナビゲーション用SDカードアドバンス2(8万8000円)/ETC2.0車載機(6万0390円)/MAZDAフロアマット<プレミアム>(5万2360円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:2583km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(6)/山岳路(3)
テスト距離:463.5km
使用燃料:38.33リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:12.1km/リッター(満タン法)/12.0km/リッター(車載燃費計計測値)
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佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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