ホンダ・フィットハイブリッドRS(FF/6MT)【試乗記】
欲張りは禁物 2012.10.02 試乗記 ホンダ・フィットハイブリッドRS(FF/6MT)……226万2500円
ハイブリッドカーは効率を追求した乗り物。CVTではなく、あえてマニュアルトランスミッションという“非効率的”な手段を選ぶ意義とは?
小型車へ注力するホンダ
2012年上半期の販売台数トップ30(自販連調べ)に食い込むホンダ車は、2位(13万3345台)の「フィット」と4位(7万629台)の「フリード」、それに9位の「ステップワゴン」の3車種。トヨタは14車種ランクインする。それだけにホンダにとってフィットは稼ぎ頭もいいところ。なかったらゾッとするはずだ。
だから大事に扱われ、ラインナップも非常に充実している。1.3リッターあり1.5リッターあり、そのどちらにもハイブリッドがあり、CVTありATあり5MTあり6MTあり、FFあり4WDあり……。全部で18の仕様が存在する。さらに、ワゴンの「フィットシャトル」とそのハイブリッドもある。センタータンクレイアウトのプラットフォームはまるで打ち出の小づち。ま、名車「シビック」を飲み込んでしまったのだから、これくらい売れてしかるべきか。
フィットの2世代連続の成功によって、ホンダはもともと得意だった小さなクルマ造りに対する自信を取り戻したか、今年、軽自動車の「N BOX」をヒットさせた。将来予定されるその派生モデルにも期待が寄せられている。さらに社長が「ビートの後継車をやるぞ!」とぶちあげるなど、小型車への注力が著しい。このまま選択と集中によって小型車専門メーカーとして歩んでも面白いと思うのだが、日本の何倍もの台数を造って売るアメホン様がそんなことは許してくれなさそうだ。
話を戻そう。今年5月、屋台骨フィットに追加された「ハイブリッドRS」は、パワートレインに上級車種の「インサイト」や「CR-Z」が積む1.5リッターエンジン+モーターを採用したトップ・オブ・フィットだ。ハイブリッド大国ニッポンにあって、唯一ホンダだけが取り組むハイブリッドとMTの組み合わせを試した。