第406回:これぞ“自動車賞グローバリゼーション”!!
WCOTY、なぜ「プリウス」は取れなかったのか?
2010.04.21
小沢コージの勢いまかせ!
第406回:これぞ“自動車賞グローバリゼーション”!! WCOTY、なぜ「プリウス」は取れなかったのか?
今までは注目されなかったが……
突然ですがみなさんワールド・カー・オブ・ザ・イヤー、通称“WCOTY”って知ってますか? ぶっちゃけた話、日本カー・オブ・ザ・イヤー、欧州カー・オブ・ザ・イヤー、北米カー・オブ・ザ・イヤーと、主に市場ごとにやってる“今年一番のクルマ”決めをワールドワイドでやろうってシンプルな目的で、わりと最近の2005年から始まったイベント。カッコよく言えば、自動車賞のワールドカップなのだ(笑)。(詳しくはhttp://www.wcoty.com/2010/)
当初アジア地域とりまとめ役だったピーター・ライオンさんの推薦で、なぜか(?)私も3〜4年前から選考委員といいますか、“juror”をやらせてもらってるわけだけど、マジな話、その魅力はオフィシャルにうたっているとおり“世界でもっともリベラルな自動車賞”であることだと思う。だって、ホントにどこのメーカーからも注目されてないんだもん(苦笑)。
俺が今年もやらせてもらう日本カー・オブ・ザ・イヤーは、メーカーからいろいろな試乗会に招いてもらったり、投票前に電話でアピールされたり、いわゆる選挙運動的なものに巻き込まれるわけだけど、WCOTYに限っては、そういうのが一切ない。ある意味、拍子抜けだけど、それはそれでスッキリする。
考えられる理由はいくつかある。第一に生まれたばかりで知名度がないことと、次に“世界”が相手ゆえに対象が広すぎて逆に難しかったこと。さらにピーターさんをはじめ、事務局は基本、フリーの自動車ジャーナリストの集団なので、ホントに報道の一環としてやっていて、権威付けがヘタな部分があったんだと思う。
ただし、今年2010年は目に見えて違う部分があった。それは、まずいろんな日本の自動車メディアに、ニュースとして結果や途中経過が載ったこと。今回で5年目で、ようやく認知されてきたのと、ビッグスポンサーが付いたのが大きいのだろう。しかもそれはかなり理想的なスポンサーで、世界41カ国に生産設備を持つ世界最大級の化学会社BASFと、わが日本のブリヂストンだ!!
ドイツのプライムリサーチという調査会社によれば、現在WCOTYは北米COTYに続き、世界での注目度が2番目の自動車賞だそうで、その重要度は増しているのだ。
ホントはプリウスが受賞した!?
さらにカッコよく言っちゃうと、マジメな話、最近クルマがもはや地域内だけで語れず、グローバルな規模で語る必要が出てきたということも“ワールド”COTYの重要性が増すことにつながったんだと思う。
今年なんかは特に良い例。WCOTYは、まず世界25カ国から59人のjuror(小沢含む(笑))が年始に投票。それぞれの部門ベスト3が3月のジュネーブショーで発表され、4月のニューヨークショーでトップが決まる手順になっている。そしてそのベスト3がなんと「メルセデス・ベンツEクラス」と「フォルクスワーゲン・ポロ」、さらに「トヨタ・プリウス」となったのだ!
どう考えてもエコな時代を反映しての結果であり、しかも大衆車が強いことを考えると、ポロとプリウスの一騎打ち。で、これは互いの特性があまりに違っていて、かたやヨーロッパで中心となるクリーンディーゼルへの評価で、かたや日本とアメリカで売れるガソリンハイブリッドと、なんというか、同じウマい麺でも「パスタ」と「焼きそば」ぐらいの違いがあった(ヘンな例えでスイマセン)。
でも、今後のクルマ社会、たとえばエコカーに関しても非常に「イメージ」が重要であり、「実利」以外に「理念」がどう認識され、広まるかが問題であることを考えると、今回のWCOTYの結果は非常に興味深い。そういう意味でもWCOTYの意味合いは増しているわけで、今年はそういう自動車賞グローバリズムの第一歩でもあったように思うのだ。
結論から言うと、本賞はわずか2点差で「プリウス」に「ポロ」が勝ち、残念ながら、ハイブリッドよりもクリーンディーゼルが支持される結果になった。だが、日本人としてはそうそう嘆かんばかりでもない。
当のピーターさんに聞いたところ「やっぱりね、ご存じクリーンディーゼルのほうが、CO2の排出量の少なさに加え、ドライビング・プレジャー、つまり運転する喜びがあることは否めないし、プリウスが“走る洗濯機”的な感じで、特にヨーロッパ人に認識されてる点も大きい。でも、たった2点差でしょ。おそらく先日のリコール問題がなければ、プリウスが本賞取ってたんじゃないかな? 実際ニューヨークで何人かの選考委員に聞いたけど、『それ(リコールの影響)は無視できないね』ってみんな言ってたよ」という。
やはり、見事世相を反映したわかりやすい結果となったのだ。
その他の賞はというと、WCOTYグリーンカー賞が「フォルクスワーゲン・ポロ」のダブル受賞で、パフォーマンスカー賞が「アウディR8 V10」となり、デザイン賞が「シボレー・カマロ」と順当。それから授賞式では、フォルクスワーゲングループのチーフ・デザイナー、ワルター・デ・シルヴァさんが大喜びしてました。
ってなわけで俺も関わっているWCOTY、今後自動車好きなら要チェック! ということでよろしくお願いします!!
(文=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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