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【スペック】全長×全幅×全高=4460×1745×1490mm/ホイールベース=2700mm/車重=1490kg/駆動方式=FF/1.8リッター直4DOHC16バルブ(99ps/5200rpm、14.5kgm/4000rpm)+交流同期電動機(82ps、21.1kgm)/参考価格=525.0万円

トヨタ・プリウス プラグインハイブリッド(FF/CVT)【試乗記】

潜在能力に期待 2010.03.12 試乗記 森口 将之 トヨタ・プリウス プラグインハイブリッド(FF/CVT)【短評】
……525.0万円(参考価格)

家庭用のコンセントで充電できる「プラグインハイブリッド(PHV)」の「プリウス」が登場。市街地、高速道路など、日常使いを想定しての試乗でわかったことは……。
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20km以内ならEVで

2009年12月、官公庁や自治体、電力会社など特定利用者向けのリース販売が始まった「プリウス プラグインハイブリッド(PHV)」には、これまで2度試乗した。最初はメーカー主催の報道向け試乗会で、東京ドーム近くのトヨタ東京本社と、お台場にあるショールーム「メガウェブ」を往復するという内容だった。
行きは主に首都高速を使い、17kmのほとんどをモーターだけで走り切った。帰りはフル充電でなかったにもかかわらず、13kmと距離的に短い一般道を使ったので、すべてをEV走行でこなしたうえに、2km分の電力を残していた。

ただ、走行距離が20km足らずで出発地でも目的地でも充電が可能というのは、都市部に住む一般ユーザーの目線で見れば、かなり恵まれた条件といえる。
自宅や会社の駐車場にコンセントがない人は都内には多いし、移動のほとんどが20km以内というユーザーも少数に思える。だから、この試乗会だけでプリウスPHVの評価を下すのは早計だと思っていた。

そこへいくと今回の取材は、より現実に近かった。東京と湘南の往復で、距離は片道約70kmに達し、目的地での充電は不可能。都内に住み、試乗会などで湘南や箱根に出かける機会の多い自分の行動パターンに似ていた。
そんなステージでのプリウスPHVの印象は、やはりというべきか、お台場往復のときとは少し違っていた。

「充電インレット」は左フロントフェンダーに設けられる。
「充電インレット」は左フロントフェンダーに設けられる。 拡大
 
トヨタ・プリウス プラグインハイブリッド(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
 
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一転、重い「プリウス」に

東京は神田神保町にある『webCG』編集部を満充電でスタートし、すぐに首都高速に乗る。しばらくはモーターのみで走る。僕はフツーの人よりEV経験が少し豊富なので、驚くことではなかったものの、あのプリウスが高速道路でもエンジンをかけず、電動走行を続けるシーンは、ちょっと新鮮に映った。

メーター中央のエコドライブモニターには、従来のプリウス同様、エンジンやモーターからのエネルギー伝達状況を示すエネルギーモニターを表示できる。PHVではバッテリー容量を示すバーグラフの脇に、EV走行可能距離をkmで表すメニューが加わっている。数字がゼロになったのは羽田空港あたり(走行約21km)。以降のプリウスPHVは、少し重いハイブリッドカー(HV)のプリウスであり続けた。

大容量のリチウムイオン電池を積むなどして140kg重くなったボディに対し、エンジンやモーターの最高出力・最大トルクは既存のプリウスと同じだから、加速はおっとりしている。バッテリーが大容量になったことに合わせ、回生ブレーキの能力は2割アップしたそうだが、それでも減速時には車体の重さが気になる。

ただし乗り心地のように、重さが味方になる部分もある。自分以上に現行プリウスに慣れ親しんでいる編集スタッフも、落ち着き感がアップしているとコメントしていた。ロードノイズの遮断を含め、静粛性は高いレベルにあった。

地方に向くエコカー

エコドライブモニターは、EVの走行比率を表示することも可能だ。目的地でチェックすると、EV12%、HV88%だった。そこは他社の試乗会場だったので「電気ください」とはいえず、帰路はHVのプリウスとして走り通す。214.4km走行後の車両返却時に測定した燃費は、22.4km/リッターだった。

歴代プリウスは、エンジンとモーターを状況に応じてきめ細かく使い分けることで、世界最高レベルの燃費性能と環境性能をマークしてきた。しかしPHVにおけるEVモードとHVモードの切り替えに、そこまで高度な制御は入っていないようだ。バッテリーが底をつくまでモーターで走り、その後はエンジンを併用するというパターンに終始する。
EVモードで100km/h出ることがプリウスPHVの自慢のひとつだ。しかし超低回転で最大トルクを出すモーターは、高速加速ほどエネルギー消費が大きくなる傾向にある。EV走行はせいぜい60km/h以下にとどめ、バッテリーは街乗り用に温存したほうが、PHVのうまみを引き出せるんじゃないだろうか。

現状のシステムでは、100km以上のドライブが多い自分のような人間にはメリットが生かしにくく、20km以下の短距離をひんぱんに走行するユーザーがPHVの恩恵を受けやすい。駐車場事情に恵まれない反面、公共交通機関が整備されている大都市よりも、地方に向くエコカーといえる。
PHVの潜在能力はもっと高い次元にあると僕は信じている。高度なハイブリッドシステムを実用化したトヨタだからこそ、PHVにもハイレベルな制御を貫いてほしいと高望みしたくなる。

(文=森口将之/写真=高橋信宏)

 
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クリックするとシートアレンジによる荷室の変化が見られます。
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森口 将之

森口 将之

モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。

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