日本メーカーのブース紹介【ジュネーブショー2010】
2010.03.08 自動車ニュース【ジュネーブショー2010】日本メーカーは重要な岐路に
2009年のフランクフルトショー出展を見送ったところも含めて、今回は主要メーカーが出揃った日本勢。日本市場にも大いに関係のあるニューモデルがいくつも披露された。
■トヨタ、「レクサスCT200h」など発表
トヨタブースの一番いい場所に置かれていたのはヨーロッパデビューとなる「FT-86コンセプト」。またレクサスのブースでは、やはり現地初披露となる「LFA」が中央に置かれていたほか、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」や「BMW1シリーズ」などと同クラスになる、ハイブリッド専用車「CT200h」が世界初公開された。
しかし、どれも会場での注目度はいまひとつだった。感じたのは、単にモノを置くだけでなく、そのコンセプトや誇るべきテクノロジー等々をもっとアピールする必要があるのでは? ということ。FT-86コンセプトだったらテストでドリフトしている映像を流すとか、CT200hだったらディーゼル全盛の中でのハイブリッドの意義を伝えるとか、もっと工夫が欲しかった。東京でもそうだったが、ましてやヨーロッパはアウェイなのだから。待っているだけでは足りない。
■日産、最新パワートレインぞくぞく
日産の目玉は新型「マイクラ」、日本での「マーチ」だ。新プラットフォームを土台に開発されたマイクラについては、現行モデルはヨーロッパでは線が細過ぎ、Aセグメントカーに見られてしまった反省から、ワイドスタンスで強い存在感を意識したという。早く日本の街で見てみたい。
「ジューク」も注目の存在である。奇抜に見えた外観は、実物は写真よりもはるかに魅力的だった。いよいよ出てきた直噴ターボガソリンエンジン、副変速機付きCVTなどパワートレインも興味深い。
ちなみに同社の高級車ブランド・インフィニティでは「M35ハイブリッド」が目玉。またV型6気筒ディーゼルを積む「FX30d」も注目を集めていた。
つまり日産は、ガソリンもディーゼルも、EVもハイブリッドも、トランスミッションに至るまで最新のものを揃えたことになる。燃料電池の開発も進行中。最先端パワートレインのタマは揃ったと言えるだけに、今後の攻勢は注目に値する。
■三菱の新ディーゼルエンジンに注目
ホンダは「CR-Z」の現地デビュー、そして3輪コミューターの「3R-C」の発表に注目。しかしホンダも、一体何をしたいメーカーで、どんなビジョンを持っているのか、あるものを全部並べただけのような展示では、今ひとつ伝えきれていないと思えた。
マツダは新型マツダ「5」、日本での「プレマシー」のワールドプレミアを行った。また「MX-5」(邦名:ロードスター)の20周年記念モデルも登場。初代MX-5と並んで展示されていた。
日本では「RVR」と呼ばれるコンパクトSUVの「ASX」を中心に据えたのが三菱。それに積まれる新開発の1.8リッター直噴ディーゼルターボエンジンは、現在の市販ディーゼルエンジンでは飛び抜けて低い14.9という圧縮比に驚かされた。NOx排出量の点で有利なだけ、排ガス後処理コストが低く済むし、アルミブロックが使えて重量も軽くできるなどそのメリットは計り知れない。日本でもこれなら売れるのでは? EVと最新ディーゼルという戦略、アリだと思う。
そのほか、スズキは「キザシ」のヨーロッパ仕様を出展。2.4リッターガソリンエンジンだけでは厳しいが、今後はフォルクスワーゲンなどのパートナーからのエンジン調達もあり得る話だろう。
スバルはSUV風の仕立てを施した「インプレッサXV」を出展した。
■豊田社長は姿を見せず
振りかえれば日本勢、個々のクルマ自体に原因があるというよりは、次世代技術の展開でもヨーロッパ勢や韓国、中国勢にキャッチアップされつつある中で、明快な将来に向けてのビジョンやメッセージがあまり感じられなかったからだろうか、際立った存在感を発揮できていたとは言い難い。今、日本メーカーは重要な岐路に立たされているのだ。
ちなみに今回、ホンダからは伊東孝紳社長が出席。また、フォルクスワーゲングループの前夜祭イベントやプレスカンファレンスには、スズキの鈴木修会長兼社長が出席し、スピーチで存在感を見せつけた。三菱の益子修社長の姿も見えたが、PSAとの提携話はいったん頓挫してしまった。一方、トヨタは社長の出席は無し。こういう時だけにスピーチがあれば良かったというのが率直な印象である。
(文と写真=島下泰久)
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