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【スペック】ゴルフR(写真左):全長×全幅×全高=4220×1790×1495mm/ホイールベース=2575mm/車重=1530kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(256ps/6000rpm、33.7kgm/2400-5200rpm)/価格=505万円(テスト車=521万8000円/前席レカロ製スポーツシート=16万8000円)

フォルクスワーゲン・ゴルフR(4WD/6AT)/シロッコR(FF/6AT)【試乗速報】

GTIの大吟醸 2010.02.10 試乗記 下野 康史 フォルクスワーゲン・ゴルフR(4WD/6AT)/シロッコR(FF/6AT)
……521万8000円/515万円

「ゴルフ」「シロッコ」のプレミアムスポーツ、“R”モデルが日本上陸。真冬の箱根で、下野康史が試乗した。

両車の違いは駆動系

フォルクスワーゲン(以下、VW)「ゴルフ」と「シロッコ」に“R”が加わった。VWインディビジュアルがプロデュースするスポーティなハイエンドモデルである。2台に共通するのはパワーユニットで、両車とも新しい256psの直噴2リッター4気筒DOHCターボを搭載する。変速機は6段DSGだ。ただし、ゴルフとシロッコの大きな違いは駆動系にあり、前者がフルタイム4WD、シロッコは前2輪駆動のFFである。

「ゴルフR」は、3.2リッターV6を搭載した“R32”の後継モデルということになる。シロッコはリバイバルデビューしてまだ日が浅いが、ポジション的に先代モデルともいえる「コラード」にもスポーティなV6モデルがあった。しかし、今度は2台ともハイエンドモデルを2リッターターボでつくった。大排気量ではなく、小さめの直噴エンジンに過給器を組み合わせて環境性能にも対応するという、最近のVWの方針に則ったウルトラスポーツモデルである。

エクステリアでは、フロントグリル、フロント&リアバンパー、リアスポイラー、サイドスカート、ブラックドアミラーが“R専用”装備となる。
エクステリアでは、フロントグリル、フロント&リアバンパー、リアスポイラー、サイドスカート、ブラックドアミラーが“R専用”装備となる。 拡大
“R”に搭載されるのは、2リッターTSI(直噴ガソリンターボ)エンジン。先代の「ゴルフR32」の3.2リッターV6エンジンに比べ6ps、1.1kgmアップの、最高出力256ps/6000rpm、最大トルク33.7kgm/2400-5200rpmを発生する。
“R”に搭載されるのは、2リッターTSI(直噴ガソリンターボ)エンジン。先代の「ゴルフR32」の3.2リッターV6エンジンに比べ6ps、1.1kgmアップの、最高出力256ps/6000rpm、最大トルク33.7kgm/2400-5200rpmを発生する。 拡大
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オオカミに変身!?

箱根をメインステージに行われた試乗会で、まず最初に乗ったのは「シロッコR」だった。ゴルフにも共通して言えることだが、Rの外観は思いのほか控えめだ。フロントマスクの意匠は専用だが、けっして過激でも獰猛でもない。テールにつく「R」のエンブレムも地味である。まず見た目でハッタリをかましたい人にはやや物足りないかもしれない。

シロッコの上位モデル2.0TSIは、これまで200psだったが、Rの登場と同時に、「ゴルフGTI」と同じ211psに強化された。それでも、Rには45psのマージンがある。200psだって充分以上だったのだから、パワフルなのは言わずもがなだ。

試乗時間は1時間。しかもこの日は「ターンパーク」が凍結していて、途中までしか上れなかった。正直言って、サワリを味わうくらいしかできなかったのだが、そのせいもあって、全開パワーよりも、256psの巧みな調教ぶりのほうが印象に残った。ひと昔前まで、FFは250psが限界と言われたものだが、シロッコRは駆動力性能にまだ余裕さえ感じさせる。DSGのSレインジでドラッグスタートを試みても、大パワーFF車につきもののトルクステアのような悪癖はみられない。

そのかわり、専用スポーツサスペンションで締め上げられた足まわりはかなり硬い。211psの2.0TSIにはまだ乗ったことがないが、1.4リッターツインチャージャーのTSIと比べると、ステアリングの操舵力も明確に重くなっている。大人のスポーツクーペとしてのエモーションをたたえるシロッコが、俄然、サーキットの狼に変身した感じである。

「シロッコR」のインテリア。レザー3本スポークマルチファンクションステアリングホイール、ブルー指針のメーターが“R”のスポーティさを演出する。HDDナビゲーションシステム「RNS510」も標準装備。
「シロッコR」のインテリア。レザー3本スポークマルチファンクションステアリングホイール、ブルー指針のメーターが“R”のスポーティさを演出する。HDDナビゲーションシステム「RNS510」も標準装備。 拡大
「シロッコR」専用のレザースポーツシート。
「シロッコR」専用のレザースポーツシート。 拡大
【スペック】シロッコR:全長×全幅×全高=4255×1820×1420mm/ホイールベース=2575mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(256ps/6000rpm、33.7kgm/2400-5200rpm)/価格=515万円(テスト車=同じ)
【スペック】シロッコR:全長×全幅×全高=4255×1820×1420mm/ホイールベース=2575mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(256ps/6000rpm、33.7kgm/2400-5200rpm)/価格=515万円(テスト車=同じ) 拡大

オーバークオリティ?

「ゴルフR」の車重は1530kg。4WDということもあって、「シロッコR」より120kg重い。重量税の区分もゴルフはワンランク上になる。だが、256psユニットのもたらすパワフルさはこちらも申し分ない。4WDの安心感があるため、凍結防止剤が撒かれた滑りやすい路面でも安心して踏んでゆける。こちらも硬いスポーツサスペンションが付くが、バネのストローク感はシロッコよりたっぷりしている。ロールしないまま頑張って限界がつかみにくいシロッコよりも、一般のドライバーは御しやすいはずである。

「R32の生まれ変わり」という意味で言うと、Rの進歩はノーズの軽さだ。大きな6気筒をエンジンベイに収めた先代「ゴルフR32」より回頭性に勝り、身のこなしも軽くなった。ただそれは、GTIとの差別化が希薄になったということでもある。V6のR32には「高級なゴルフ」という独特の立ち位置があったが、4気筒の新型ゴルフRはGTIに近づいてしまったように思う。よく言えば、GTIの大吟醸である。でも、いままでのGTIに不満だった人って、どれほどいるのだろうか。

同じことはシロッコにも言える。160psの1.4リッターツインチャージャーで充分、というか、それがベストシロッコだと個人的には思っていたので、Rはずいぶんとオーバークオリティに感じられた。

価格はシロッコRが515万円。ゴルフRも、ついに大台突破の505万円。GTIが366万円だから、ゴルフRのスーパーぶりが際立つ。その点、シロッコ2.0TSIは457万円なので、むしろお買い得に感じられるかもしれない。

(文=下野康史/写真=郡大二郎)

「ゴルフR」には、レザー/マイクロファイバーのレカロ製スポーツシートがオプション設定される。
「ゴルフR」には、レザー/マイクロファイバーのレカロ製スポーツシートがオプション設定される。 拡大
18インチアルミホイール、ブラックブレーキキャリパーも“R”専用。(写真はシロッコR)
18インチアルミホイール、ブラックブレーキキャリパーも“R”専用。(写真はシロッコR) 拡大
2リッターTSIエンジンと6段DSGの組み合わせにより、燃費も向上。10・15モード燃費は「ゴルフR」が12.4km/リッター、「シロッコR」は13.0km/リッター。
2リッターTSIエンジンと6段DSGの組み合わせにより、燃費も向上。10・15モード燃費は「ゴルフR」が12.4km/リッター、「シロッコR」は13.0km/リッター。 拡大
下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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