メルセデス・ベンツCLS シューティングブレーク【海外試乗記】
どこまでもデザイン優先 2012.10.16 試乗記 メルセデス・ベンツCLS350ブルーエフィシェンシー シューティングブレーク(FR/7AT)/CLS550ブルーエフィシェンシー シューティングブレーク(FR/7AT)/CLS63 AMG シューティングブレーク(FR/7AT)スポーツクーペ「CLS」のイメージをそのままに、ルーフを伸ばしてワゴン化した新型「CLSシューティングブレーク」。独特なプロポーションのスポーツツアラーをドイツで試した。
夜が似合うワゴン
すっかり日が落ちた試乗会場に、ポーンとライトアップされたこのクルマを見た印象は「ワゴンのくせにやたらと夜がよく似合うなぁ」というものだった。
“シューティングブレーク”のコンセプトを今更くどくどと説明することもないだろうが、それはあくまで貴族や富裕層が狩猟に用いるという、昼のお楽しみのためにしつらえられたものだった。のみならず、世のワゴンといわれるクルマが楽しげにドライブされる情景を思い浮かべてみても、それは大抵が日中の自然の中の景色と重なる。だが、このクルマは別なのだ。機能よりも純粋に形状を愛(め)でたくなる。日が落ちてからの、微妙な光の映り込みや回り込みは、そのなまめかしいお尻をグンと際立ててくれるというわけだ。
「CLSシューティングブレーク」のリアデザインは、ベースとなった「CLSクーペ」(メルセデス・ベンツ的に言えば、このクルマはクーペという扱いになるそう)の薄さや丸さをいかにワゴンボディーでも生かしきるかということに腐心したようだ。
同社のチーフデザイナー、ゴードン・ワグナー氏は、このクルマのリア周りを指して「100%、デザイン優先で作り上げた。機能は後からついてきたものだ」と仰す。そこまで言い切るメルセデス、今まであっただろうか。安パイなブランドイメージとは対局なその言葉の裏には、彼らにとってCLSシリーズがいかにビジュアル的に特別なものであり、先代からの人気に自信を深めているかが読み取れる。
CLSシューティングブレークのディメンションはホイールベースも含めてCLSクーペのそれとほぼ同一だ。ボディーサイズも全長がわずか5〜20mmの延長にとどまっている。取り回しそのものに関しては従来と変わりはない。
リアエンドに向けてスッと流れ落ちるようなグリーンハウスのデザインは車両を上下に薄くみせることに貢献している反面、後方の見切りには悪影響を及ぼした感は否めない。無論、それらをフォローするパークトロニックやリアカメラは標準装備となる。
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