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【スペック】全長×全幅×全高=5000×1880×1415mm/ホイールベース=2875mm/車重=1980kg/駆動方式=FR/5.5リッターV8DOHC32バルブターボ(524ps/5250-5750rpm、71.3kgm/1750-5000rpm)/燃費=8.8km/リッター(JC08モード)/価格=1680万円(テスト車=1792万円/マットペイント<マンガナイトグレー>=22万円/designoウッドフロア<EASY-PACKフィックスキット付き>=50万円/Bang&Olufsen BeoSound AMGサウンドシステム=40万円)

メルセデス・ベンツCLS63 AMG シューティングブレーク(FR/7AT)【試乗記】

これぞ本当のスポーツワゴン 2013.01.21 試乗記 生方 聡 メルセデス・ベンツCLS63 AMG シューティングブレーク(FR/7AT)
……1792万円

荷物を運ぶだけのワゴンはつまらない。「CLSシューティングブレーク」の最上級グレードは、そのスタイルが語るとおり、どこまでもスポーティーで洗練されたワゴンだ。
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スタイルを優先したワゴン

“4ドアクーペ”ブームの火付け役である「メルセデス・ベンツCLS」に、新たに追加されたバリエーションが「CLSシューティングブレーク」。“シューティングブレーク”は、クーペにラゲッジスペースを追加したスタイルを指すが、CLSは4ドアクーペだから、その荷室充実版もシューティングブレークを名乗る資格がある、という論理なのだ。

ところで、私自身、これまで何台かステーションワゴンを所有したことがあるが、荷室の天井まで荷物を積んだのは数えるほど。たくさん荷物が積めるから……というよりは、テールゲートがあるほうが使い勝手がいいという理由でステーションワゴンを選んできた。

だからときどき「本当にステーションワゴンが必要なのだろうか?」と自問することになるのだが、私のようにライトなワゴンユーザーにとって、CLSシューティングブレークはまさに“いいところを突いてきた”クルマである。美しいルーフラインと引き換えにラゲッジスペースが少々狭くなっても、実はあまり困らない。そもそも、全長5m級のクルマだけに、ノッチバックのボディーでも荷室には十分余裕があるのだから。

ステーションワゴンからの卒業を考えているユーザーにとって希望の星となりそうなCLSシューティングブレーク、今回は最もスポーティーなグレードである「CLS63 AMG シューティングブレーク」を試乗会で味見することができた。

「CLS63 AMG」にはセミアニリンレザーのAMGスポーツシートが標準で装備される。内装色はアーモンドベージュ。
「CLS63 AMG」にはセミアニリンレザーのAMGスポーツシートが標準で装備される。内装色はアーモンドベージュ。 拡大
後方に向かってなだらかに弧を描くルーフラインが特徴的なサイドビュー。ホイールはチタニウムグレーペイントのAMG5トリプルスポーク。タイヤサイズは、前が255/35R19、後ろは285/30R19。
後方に向かってなだらかに弧を描くルーフラインが特徴的なサイドビュー。ホイールはチタニウムグレーペイントのAMG5トリプルスポーク。タイヤサイズは、前が255/35R19、後ろは285/30R19。 拡大
 
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最上級グレードにふさわしい装備

CLSシューティングブレークには、「CLS350」と「CLS550 4マチック」、そして、このCLS63 AMGが用意される。CLS63 AMGは最もスポーティーであると同時に、最も高価なグレードでもある。

一番の特徴は、ボンネット下に潜むパワーユニット。フロントのワイドフェンダーに光る“V8 BITURBO”のバッジからもわかるように、V8ツインターボがエンジンルームにドーンと収まっているのだ。AMGが手塩にかけたこのパワーユニットは、5.5リッターの排気量から直噴ガソリンシステムとツインターボにより、524psと71.3kgmもの高性能を誇る。これに組み合わされる7段オートマチックは、トルクコンバーターの代わりに多板クラッチを搭載するAMGスピードシフトMCT。AMGモデルではいまやすっかりおなじみのシステムだ。駆動方式はFRを採用する。

サスペンションは、フロントがコイル式、リアがセルフレベリング機構付きのエアサスペンション……というところまではCLS350と同じだが、電子制御の可変ダンピングシステム「AMGライドコントロールサスペンション」を搭載するのが大きく異なる。

一方、デザインや装備の部分でも、最上級グレードにふさわしい内容となっている。エクステリアでは、専用デザインの前後スポイラーやフロントグリル、LEDドライビングライト、AMGデュアルツインエグゾーストエンドなどが特徴的。また、セミアニリンレザーのスポーツシートやフルレザー仕様のダッシュボード、小ぶりのグリップが先進性を感じさせる「AMG E-セレクトレバー」など、違いを挙げればキリがない。

ところで、試乗車のラゲッジルームにはウッドデッキを思わせる「designoウッドフロア」が装着されていた。全グレードに装着可能なオプションで、その価格は50万円! そんな遊びが似合ってしまうのもCLSシューティングブレークの個性だろう。

524psを発生する5.5リッターV8ツインターボエンジン。
524psを発生する5.5リッターV8ツインターボエンジン。 拡大
テスト車は、インストゥルメントパネルにウォールナットブラウンウッドトリムが装着されていた。同グレードのセンターコンソールトリムは、全車ブラックピアノラッカーウッドとなる。
テスト車は、インストゥルメントパネルにウォールナットブラウンウッドトリムが装着されていた。同グレードのセンターコンソールトリムは、全車ブラックピアノラッカーウッドとなる。 拡大
「designoウッドフロア」仕様のラゲッジルーム。同オプションには伸縮式のポールやベルトで荷物を固定できる「EASY-PACKフィックスキット」も備わる。荷室容量は590〜1550リッター。
(写真をクリックするとシートアレンジの様子が見られます)
「designoウッドフロア」仕様のラゲッジルーム。同オプションには伸縮式のポールやベルトで荷物を固定できる「EASY-PACKフィックスキット」も備わる。荷室容量は590〜1550リッター。
	(写真をクリックするとシートアレンジの様子が見られます) 拡大

大きさ、重さを感じさせない走り

CLS63 AMGシューティングブレークを早速走らせてみると、期待にたがわぬ俊足の持ち主だった。車両重量が1980kgに及ぶCLS63 AMGだが、アクセルペダルをガツンと踏み込むと、太い排気音とともにまさに背中を押されるような加速が味わえる。特に3000rpmを超えてからの力強さは感動モノだ。AMGスピードシフトは、トルクコンバーター式の「7G-TRONIC PLUS」から乗り換えても快適さの面で特に気になるところがない。一方、シフトの素早さやダウンシフト時のブリッピング機能など、ドライバーをその気にさせてくれる演出が憎い。

ハンドリングは実に軽快で、走りだしてしまえばボディーサイズやその重量を忘れてしまうほど。ワインディングロードではサスペンションセッティングをスポーツモードに切り替えてもしなやかと思えるほど懐が深い。一般道や高速道路の乗り心地も必要十分な快適さが確保されている。

ただし、圧倒的なパフォーマンスを示すV8ユニットやスポーティーな足まわりに対して、相対的にボディー剛性が不足していると感じる場面もあり、その点ではCLS550 4マチック シューティングブレークのほうがバランスはいい。それでも、CLSシューティングブレークのトップグレードであるCLS63 AMGだけに、「一番速いの」「一番高いの」ということで支持されるのだろう。

ちなみに、CLS63 AMGの場合、4ドアクーペのCLSとシューティングブレークの価格差はわずか25万円……。私なら迷わずシューティングブレークを選ぶだろう。

(文=生方聡/写真=荒川正幸)

3連メーターの中央には、カラーマルチファンクションディスプレイが採用されている。サーキットで最速ラップタイムや平均速度、最高速度などを計測・表示できる「レースタイマー」が備わる。
3連メーターの中央には、カラーマルチファンクションディスプレイが採用されている。サーキットで最速ラップタイムや平均速度、最高速度などを計測・表示できる「レースタイマー」が備わる。 拡大
2:1分割可倒式のリアシート。荷室の左右にあるレバーを引くことで前に倒すことができる。
2:1分割可倒式のリアシート。荷室の左右にあるレバーを引くことで前に倒すことができる。 拡大
「CLS63 AMG」には、フロントにコイルスサスペンション、リアにエアサスペンションを用いた「AMGライドコントロールサスペンション」が搭載されるほか、AMG強化ブレーキシステムが備わる。
「CLS63 AMG」には、フロントにコイルスサスペンション、リアにエアサスペンションを用いた「AMGライドコントロールサスペンション」が搭載されるほか、AMG強化ブレーキシステムが備わる。 拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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