フィアット500C 1.4 16Vラウンジ(FF/5AT)【試乗記】
ゆるさがステキ! 2009.10.16 試乗記 フィアット500C 1.4 16Vラウンジ(FF/5AT)……289.0万円
「フィアット500」にスライディングルーフ式のキャンパストップを備えた「500C」。イタリア車らしい、愛嬌たっぷりのオープンモデルにスーザン史子が試乗した。
ちょっと熟して良くなった
先日、某クルマ雑誌で熟女呼ばわりされたスーザン史子です。まだドモホルンリンクルにも手ぇ出してないアラサーだっつーに、熟女なんてドイヒーですっ!!
で、10月3日に発売となったばかりの「フィアット500C」の試乗レポートということなんですが、その前にベースとなる「フィアット500」のお話を。2007年に登場したばかりのクルマを試乗した際には、イマイチ安定感がなくて、60km/h程度でコーナーを通過するのも怖かった記憶が。
ところが、その後登場した1.4リッターモデルや、今回の500Cに試乗してみると、高速道路での走行もとっても安定しているんですよ。「ひょっとして知らぬ間に改良が行われたのでは……?」と、広報に問い合わせてみたところ、「特に改良は行っていない」との答え。でも、断然良くなってる。
やっぱりイタリア車だからなぁ〜。日本人って、大量生産製品なら品質が均質でアタリマエ、だと思っちゃいますよね。でも、イタリア車の場合、初期ロットの完成度には、いまだにバラツキがあるんでしょう。私が2年前に乗った出たての500は、たまたまヴァージンで、クルマとして成熟してなかっただけなのかも。でも、あれから2年も経ってるんで、もう大丈夫です。クルマも女もちょっと熟したぐらいがいいってことなんですよ。えっ、私ですかぁ!? まだまだヒヨッコですぅ。
|
新しい500の世界がある
現行型フィアット500は、1957年に登場した2代目フィアット500(ヌオーバ500)のスタイルを忠実に踏襲したリバイバル。そのオープンモデルである500Cは、歴代のオープンモデル同様、BピラーとCピラーを残した、スライディングルーフ式のキャンバストップで、開閉を電動で行うのが新しいところ。
|
幌を開けるときは2段階、閉めるときは、3段階に調整が可能で、まるでしゃくとり虫のように幌を折りたたみながら、電動で静かに開いていくのを見ると、とっても心が和みます。しかも、40km/h程度で走行中に開閉を試みたところ、まったく問題なく開閉できました。これは便利!
500Cのインテリアは、ベースのフィアット500と同じ。オシャレでカワイイと評判のフィアット500ですが、その秘密はレトロテイストと、コンテンポラリーデザインとの絶妙なバランスにありそうです。ステアリング中央のエンブレムをはじめ、先代のデザインを受け継ぐメーターパネル、赤いボタンの上に透明のプラスティックカバーを施したハザードスイッチなど、ハンドメイド風で温かみのあるしつらえは、レトロ感を演出する上での重要なアクセント。
|
とはいえ、ただレトロなだけじゃない。象牙色のインパネを良く見れば、キラキラと輝くパール加工の樹脂素材が用いられているし、丸いヘッドレストが特徴的なシートは、コンテンポラリーアートの域。レトロ感をほどよく取り入れながら、素材やデザインにうまく今っぽさを融合させている、これが新しいフィアット500の世界観を創り出しているんですね。
手のかかるカワイイ子
今回試乗したのは、2ペダルの5MT「デュアロジック」を搭載した「1.4 V6ラウンジ」。ヨーロッパの小型車ではポピュラーなトランスミッションですが、坂道に差し掛かったとたん、シフトアップしてふにゃ〜と減速してしまったり、加減速時のギクシャク感には、多少の慣れが必要。でも、日本車にはないこの妙なフィーリングは、慣れてくるとクセになるんですよね。ちょっと手のかかるカワイイ子って感じで。
さらに、シフトレバーを一度左に倒してMTモードに切り替えると、街乗りが断然楽しくなります。家の近所をちょっと散歩する程度の距離でも、クルマと呼吸を合わせながら、ギアチェンジや、エンジン音の変化を楽しむことができる。オープンカーとはいえ、ボディ剛性が高く、足回りもしっかりと安定しているので、思い切ってアクセルを踏み込んでいける。それでいてイタリア車らしい、いい意味での“ゆるさ”は失っていない。トルクもそこそこ、加速もまあまあ、この辺りのバランスの良さにも、イタ車らしさが感じられます。
ひとつ不便なところを挙げるとすれば、ソフトトップを全開にし、ルームミラーに目を移すと、ミラーの下半分がキャンバストップで隠れ、後方視界の半分が失われてしまうということ。ちょうど信号で停車中、ルームミラーを確認してみると、2台後方のトール軽の天井は確認できたものの、すぐ後ろの軽自動車はまったく確認できず。もちろんサイドミラーでの確認はできますが、全開にしなくても十分開放感は得られるので、街なかではルーフのみを開けるほうが、安全のためにはいいかもしれません。
完璧じゃないのがいい
オープンカーっていうと、ピラーレスのほうが、より開放感もありそうですよね。でも不思議なことに、運転してみると違うんですよ。ピラーありの500Cのほうが、開放感があるんです。それは見た目の開放感じゃなくて、精神的な開放感とでもいいましょうか。適度に守られてるけど丸出し、みたいな。まるで素っ裸の体を細い両腕で「見ちゃダメ〜!」って隠しているような感覚に陥るんです。
その上、イタリア車って、どこかいい加減な雰囲気があるでしょ? 同じ小型車でも「フォルクスワーゲン・ゴルフ」や同車「ポロ」だと、「ガッチリガードル履いてます!」みたいな厳重さが感じられるけど、イタリア車って「あ、パンツ履くの忘れちゃった……」的なゆるさってあるんですよ。見た目はちゃんとオシャレしてるんだけど、どこか重要な部分が抜け落ちてる。私自身、マセラティに、フィアット、アルファ・ロメオと乗り継いできてるんで、かなり影響されてるんでしょうけど、そんな完璧じゃないところがイタリア車の良さだったりするんですよね。
この500Cに乗ってみて、「コレこそ私が求めていたクルマだわ!」って直感的に思ったんです。なんでかって? やっぱり、私も完璧な人間じゃないですからね〜(笑)。
(文=スーザン史子/写真=郡大二郎)

スーザン史子
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。





























