BMW、走りとエコの両立に強い意気込み【フランクフルトショー09】
2009.09.16 自動車ニュース【フランクフルトショー09】BMW、走りとエコの両立に強い意気込み
2009年9月15日のプレスデイでフランクフルト国際モーターショー(IAA)が幕を開けた。まずは地元メーカー、BMWブースの様子を、現地から島下泰久がリポートする。
■「駆け抜ける歓び」が懐かしい
これまでずっと定位置だった中庭の特設会場から、新設なった11号館へと移ったBMWグループ。新しいメインエントランス正面とはいえ、位置的には主要メーカーの揃うエリアから遠ざかってしまったが、代わりに面積1万2千平方メートルと格段に広く、そして美しいブースを構えることとなった。
入口からメイン会場に至るまでには歴史的な名車がズラリ並んでお出迎え。そしてプレスコンファレンスも、なんと建物の中に整備された回廊をクルマが走り回って、次々と新しいキャストに入れ替わるという見応えある演出がなされていたのである。
今年のBMWブースは例年にも増して、注目すべきモデルが数多く出展された。最初に紹介されたのは「BMWアクティブハイブリッド7」と「MINI E」。例の回廊を、2台揃って音もなく現れたのだから痛快だ。最初にこうしたモデルが出てきたということは、つまりこのショー、BMWにとってもメインテーマは環境対応ということ。「駆け抜ける歓び」というコピーが懐かしい。今、は「エフィシェントダイナミクス」だ。
■どれもエフィシェントでダイナミック
続いて紹介されたのは正式デビューを飾った「5シリーズ・グランツーリスモ」。背が高く、ルーフが後方まで伸びたハッチバック的な5ドアフォルムは、なるほど実車を見ると、単なるハッチバックの名前を変えただけとは思えない、独自の魅力を備えている。
そのあとを受けた「320dエフィシェントダイナミクスエディション」は、直列4気筒2リッターディーゼルエンジンによる最高出力163psの高出力の一方で、燃費は4.1リッター/100km(24.4km/リッター)、CO2排出量は109g/kmというすこぶる優秀な数値をたたき出すモデル。メルセデスの「ブルーエフィシェンシー」、フォルクスワーゲンの「ブルーモーション」などと同様、パワートレインは一般的なディーゼルなどを使いつつ、軽量化や空力性能の向上、タイヤの転がり抵抗の軽減などといった、基礎的な技術の磨き上げによって燃費と動力性能を両立させたモデルだ。
続いて壇に上がったのは「アクティブハイブリッド7」と「アクティブハイブリッドX6」。V型8気筒ツインターボエンジンと8段ATの間にモーターを挟み、リチウムイオン電池で駆動するこのクルマは、システム最高出力465ps、最大トルク71.4kgmを獲得。それでいてCO2排出量は7の場合で225g/kmに留まる。これまた実にエフィシェントでダイナミックなモデルに仕上げられているのである。
■存在価値を大事に
環境コンシャスであることを強く意識しながらも、あくまで走りの歓びやパフォーマンスのことを忘れない。そんなBMWの“らしさ”が存分に発揮されていたのがコンセプトカー「ヴィジョン・エフィシェントダイナミクス」だ。全長4.60m、全幅1.81mのこの2+2スポーツカーは、前輪に電気モーター、後輪に直列3気筒1.5リッターディーゼルエンジンと電気モーターのフルハイブリッドシステムを配して、3つの動力源の連携によって高い動力性能と省燃費を両立させていると謳う。
システム最高出力は356ps、最大トルクは81.6kgm。車重1395kgの車体を4.8秒で100km/hまで到達させる。一方で燃費は3.76リッター/100km(26.6km/リッター)、CO2排出量は99g/km。航続距離は700kmで、モーターだけでも50km走行できる。プラグインハイブリッドの採用によって、走行中だけでなくコンセントからも充電が可能。急速充電器を使えば44分でフル充電になるという。
もちろん、どのメーカーも走行性能と環境性能、経済性の両立を唱えてはいる。しかしBMWのブースを見ていると、そこに賭ける意気込みが違うという印象を受けた。それはそうだろう。楽しくはないけど走ることは走る。そんなクルマしかなくなってしまったら、BMWに存在価値はなくなってしまうのだから…。
(文と写真=島下泰久)
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