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【スペック】CR-Z α・Master label(FF/6MT):全長×全幅×全高=4075×1740×1395mm/ホイールベース=2435mm/車重=1140kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4SOHC16バルブ(120ps/6600rpm、14.8kgm/4800rpm)、モーター(20ps/2000rpm、8.0kgm/1000rpm)/燃費=19.4km/リッター(JC08モード)/価格=263万円(テスト車=294万1500円/Hondaインターナビ+リンクアップフリー=28万円/ボディーカラー<プレミアムホワイト・パール>=3万1500円)

ホンダCR-Z α・Master label(FF/6MT)/CR-Z α・Master label(FF/CVT)【試乗記】

パンチの利いたエコカー 2012.10.30 試乗記 下野 康史 ホンダCR-Z α・Master label(FF/6MT)/CR-Z α・Master label(FF/CVT)
…294万1500円/304万6500円

マイナーチェンジを受けパワーを増した「ホンダCR-Z」。MTモデルとCVTモデルに試乗した。
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エンジンもモーターもパワーアップ

マイナーチェンジした「CR-Z」のメインテーマは「パワーアップ」である。4バルブの1.5リッターi-VTECは、低回転で1バルブ休止する従来型から、より高回転のきくLo/Hi VTECに変わった。最高出力は、CVTモデルが113psから118ps、6段MTモデルが114psから120psに上がった。

IMAシステムのほうでは、バッテリーがニッケル水素からリチウムイオンに変わり、電圧が44%上がり、モーターの出力も50%増しの15kW(20ps)になった。1.3リッター「インサイト」のIMAシステムを1.5リッターエンジンと組み合わせることで、相対的にモーターのプレゼンスが低くなり、インサイトよりかえって電動アシスト感が希薄だったCR-Zに、これでやっとハイブリッド・スポーツらしい専用システムが与えられることになった。

これまでの販売実績をみると、CR-Zのお得意先は日本と北米だが、CO2規制の厳しいヨーロッパでも量販車種になることが期待されてきた。ディーゼルターボのトルクフルな欧州コンパクトカーと戦うことを考えても、パワーアップは喫緊の課題であったはずだ。

さらに新型の秘密兵器は、ステアリングホイールに新設された“プラススポーツボタン”である。これを押してアクセルを踏むと、エンジンとモーターの出力が最大化され、CVTはギア比を最もロー側に振って、3リッターV6並みの加速を得ることができる、なんていう話を試乗前の技術説明会で聞かされれば、F1中継で聞き及んだオーバーテイクボタンそのままの新趣向に期待するなというほうが無理である。

マイナーチェンジによりエンジン、モーターともにパワーアップした。MTモデルのハイブリッドシステム最高出力は従来型より12psアップの136ps。
マイナーチェンジによりエンジン、モーターともにパワーアップした。MTモデルのハイブリッドシステム最高出力は従来型より12psアップの136ps。
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ステアリングホイール右側に設置された「プラススポーツボタン」。作動条件を満たした状態でボタンを押すと、エンジン出力とモーターアシストが最大化される。
ステアリングホイール右側に設置された「プラススポーツボタン」。作動条件を満たした状態でボタンを押すと、エンジン出力とモーターアシストが最大化される。 拡大

ホンダCR-Z α・Master label(FF/6MT)/CR-Z α・Master label(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
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秘密兵器の効果は?

最初に乗ったのはMT。高速道路で早速、プラススポーツボタンを試してみたが、MTだとマックスの効果は得られない。CVTのギア比をロー側に移動させるという、システムの大きな柱を欠くからだ。35%もいるCR-ZのMTユーザーにはおあいにくさまだが、これはCVTでこそメリットが得られるシステムと考えたほうがいい。

作動する条件は、車速が30km/h以上で、駆動用バッテリーに余裕があること(8コマある容量計が4コマ以上)。そこでボタンを押し、アクセルをわずかに踏めば、プラススポーツの加速が始まる。指1本で作動するハンドスロットルではなく、あくまでアクセルペダルがオンオフのスイッチになっているのが安全上のミソである。

CVTモデルでいろいろ試してみた。たしかに気持ちよくヒューンと加速が伸びる。けれど、正直言って、もっと“くる”かと思った。ホンダの言う「3リッターV6並み」を通り越して、個人的には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の稲妻「デロリアン」あたりをイメージしていたので、少々肩透かしを食らう。

車速30km/h以上なので、発進加速には使えない。ハンドルを切っていると作動しないし、ブレーキを踏めば解除されるから、ワインディングロードを攻めるためのものでもない。追い越しや合流時などで、ここ一発の加速がほしいときの支援装置である。CVTモデルなら、パワーモードでフルスロットルを踏みつければ、同じフルパワーを得られるが、そのピークまで達するスピードはプラススポーツのほうが勝る、というのがホンダの説明だ。

しかし、このシステムにばかりとらわれていると、新型CR-Zの本質を見誤る。2年半ぶりのマイナーチェンジでCR-Zは大いに進化した。


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「α・Master label」の内装は黒を基調に赤の差し色が施される。
「α・Master label」の内装は黒を基調に赤の差し色が施される。
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ホンダCR-Z α・Master label(FF/6MT)/CR-Z α・Master label(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
荷室の容量は214リッター。後席を倒すことでさらに拡大される。なおリチウムイオンバッテリーは荷室下に搭載される。(写真をクリックすると後席のアレンジが見られます)
荷室の容量は214リッター。後席を倒すことでさらに拡大される。なおリチウムイオンバッテリーは荷室下に搭載される。(写真をクリックすると後席のアレンジが見られます) 拡大

ホンダCR-Z α・Master label(FF/6MT)/CR-Z α・Master label(FF/CVT)【試乗記】の画像 拡大
メーター中央のリングは運転状況に合わせ、エコ運転でグリーンに、プラススポーツシステム作動時やスポーツモード選択時には赤に変化する。
メーター中央のリングは運転状況に合わせ、エコ運転でグリーンに、プラススポーツシステム作動時やスポーツモード選択時には赤に変化する。 拡大
「α・Master label」には17インチのホイールと205/45R17タイヤが装着される。
「α・Master label」には17インチのホイールと205/45R17タイヤが装着される。 拡大

確実に魅力を増した

動力性能の点ではいかにも草食系だったこれまでと比べると、MTでもCVTでもひとクラスパンチ力を増したのが新型CR-Zである。

旧型は0-80km/hフル加速4回で駆動用バッテリーが底をついたが、リチウムイオンの新型は9回できるという。それだけ“電動アシスト”の加勢を得られる時間が増えたということだ。エンジンの変更で、MTの場合、プラス500rpmのマージンを得て、7000rpmまで回るようになった。高回転がきくようになったため、CVTのパドルでシフトダウンをしながらワインディングロードを走らせても、よりメリハリのあるスポーティー走行が味わえる。スポーツ性を求めてCR-Zを指名買いするなら、新型は確実に魅力を増した。

試乗車は“α・Master label”という新設定の上級グレードで、切削加工した17インチホイールにミシュランのパイロットスポーツ3を履く。このタイヤのせいもあってか、当たりのソフトな乗り心地をはじめ、シャシーもワンランク、洗練された印象を受けた。

乗り終えてから、スポーツプラスボタンについて、開発者と話をした。このシステムは、それまでのスロットル開度に対して、わずか3%の踏み込みで作動する。つまり“チョイ踏み”で最大加速が得られる。「今の人はフルスロットルなんか、しないんです」という説明を聞いて、なるほど! と思った。ましてやハイブリッドカーなら、CR-Zのドライバーだって「基本、燃費コンシャス」でないわけがない。アクセルベタ踏みなどしないジェントルドライバーに、ゲーム感覚の演出で胸のすく加速の楽しみを提供する。そう理解すると、この新趣向も“あり”かなと思えた。

(文=下野康史<かばたやすし>/写真=高橋信宏)

試乗会が行われた会場には無限によるスペシャルチューンのコンプリートカー「ホンダCR-Z MUGEN RZ(無限アールズィー)」も展示されていた。
試乗会が行われた会場には無限によるスペシャルチューンのコンプリートカー「ホンダCR-Z MUGEN RZ(無限アールズィー)」も展示されていた。 拡大
【スペック】CR-Z α・Master label(FF/CVT):全長×全幅×全高=4075×1740×1395mm/ホイールベース=2435mm/車重=1170kg/駆動方式=FF/1.5リッター直4SOHC16バルブ(118ps/6600rpm、14.7kgm/4800rpm)、モーター(20ps/2000rpm、8.0kgm/1000rpm)/燃費=21.6km/リッター(JC08モード)/価格=263万円(テスト車=304万6500円/Hondaインターナビ+リンクアップフリー=28万円/スカイルーフ=10万5000円/ボディーカラー<プレミアムホワイト・パール>=3万1500円)
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下野 康史

下野 康史

自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。

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