「エンジンはときどき高回転まで回したほうがいい?」
2009.08.22 クルマ生活Q&A エンジン「エンジンはときどき高回転まで回したほうがいい?」
自動車専門誌の記事中に「1日に3回はフルにエンジンを回してカーボンの付着を防ぐ」という一文を見つけましたが、どういう意味でしょうか? 私のクルマはAT車ですが、今まで高速道路での走行も含めてDレンジで2000rpmぐらいしか上げたことがありません。ときどきは2レンジあたりで5000rpmぐらいまで回したほうがエンジンにはいいのでしょうか?
お答えします。エンジンを高回転まで回すと、燃焼室内にたまっていたカーボンなどが燃えてきれいになるというのは本当です。回転数が上がると燃焼室内の空気の流速が上がり、燃料とよく混ざってよく燃えます。焚き火をする際に団扇であおぐとよく燃えますが、あの状態を想像していただくといいでしょう。焚き火がよく燃えると燃えかすが少ないのと同じで、エンジンも完全燃焼に近づけばカーボンは付着しません。
だからといって、一瞬高回転まで上げれば溜まっていたカーボンが燃えるわけでもないし、どれくらいの頻度で、どれくらいの時間回せばいいという基準があるわけでもありません。それ以前にエンジンによっても、カーボンが溜まりやすいものとそうでないものがありますし、同じエンジンでも使用状況によって溜まり方は異なります。質問にある「1日に3回」というのも、おそらく記事の書き手が体験的に導き出した、彼なりの答えなのでしょう。
私自身は、日常的にクルマに乗っているならば、とくに気にする必要はないと思います。それでも気になるというのであれば、高速道路を走るときにでも、ときどき高めの回転数で走ってみてはいかがでしょうか。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。