MINIクーパーS コンバーチブル(FF/6AT)【ブリーフテスト】
MINIクーパーS コンバーチブル(FF/6AT) 2009.07.23 試乗記 ……395万1000円総合評価……★★★★★
ハッチバックから2年遅れでやってきた「MINIコンバーチブル」。ターボエンジン搭載のスポーティグレード「クーパーS」で、オープンエアドライブを試す。
デキる遊び人
さすがは「MINI」、ただルーフを切っただけのクルマじゃなかった。ハッチバックに2年遅れてモデルチェンジした「MINIコンバーチブル」は、オープンカーに求められる遊び心を全身にちりばめていた。
なにしろソフトトップの色名がデニムブルーである。ざらっとした青い生地には、ちゃんとオレンジのステッチが織り込まれている。取材車のボディカラーは白だったから、自動車版「Tシャツにブルージーンズ」だ。僕が記憶する限り、幌をデニム風に仕立てた自動車はこれが初めてである。
そのトップを開けて走り出すと、目の前の小さなメーターの針が少しずつ動いていく。「オールウェイズ・オープン・タイマー」と呼ばれるこのオプション、オープンでの走行時間を刻んでいくのだという。屋根を閉じれば、その瞬間にカウントを止める。針の動きを追いたくて、ついつい開けて走ってしまう。
ボディの補強は完璧だし、ルーフの開閉は約15秒と迅速だ。マジメなテーマに対しても模範的な回答を出している。そのうえでMINIコンバーチブルは、徹底的にハジけている。デキる遊び人みたいなクルマだ。
100年前は自動車の基本形だったオープンカーだけど、いまや完全なファンカーである。MINIコンバーチブルは、そんな立ち位置をウィットに富んだセンスで絶妙に表現している。多くのスポーツの発祥の地であり、ファッションや音楽の流行発信地でもある英国は、オープンカー作りもやはり一流である。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「MINIコンバーチブル」の日本上陸は、2004年9月。2007年2月に「ハッチバック」が2代目にかわり、2008年3月にエステートボディの「クラブマン」が追加。「コンバーチブル」は、2009年4月15日に発売された。なお、欧州では2008年11月に発表されている。
グレードは、1.6リッター直4の「クーパー」(120ps)と、同ターボの「クーパーS」(175ps)という2種。いずれもハッチバックに搭載されているユニットと同型で、トランスミッションは、それぞれに6段ATと6段MTが用意される。
エクステリア/インテリアデザインは、基本的に現行ハッチバックモデルと同じ。ソフトトップの開閉に要する時間は約15秒で、30km/h以下であれば、走行中でも可能。オープンにしている時間を計測する「オールウェイズ・オープン・タイマー」が、オプションで用意される。
(グレード概要)
「クーパーS」は、ターボエンジンを積んだスポーティモデル。バイキセノンヘッドライトや、スポーツシートが標準装備となる。外観上は、ボンネットのエアスクープの有無や、マフラーエンドの形状などが「クーパー」との識別点となる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
オプションの「オールウェイズ・オープン・タイマー」を除けば、インパネの眺めはハッチバックと同じ。ルーフ開閉スイッチは、オーバーヘッドに装備する。30km/h以下なら走行中でも開け閉めできるので、作動中に青信号に変わった場合も安心だ。
旧型同様、サンルーフモードも用意していて、開閉時間はサンルーフだけなら約5秒、フルオープンでも15秒にすぎない。あると便利なサイドウィンドウの全開・全閉スイッチはセンターパネルに置かれる。
(前席)……★★★★
シートもハッチバックと共通だ。座り心地も同じで、ふっかりした厚み感こそないものの、1時間程度のドライブでは疲労とは無縁。タイトなシェイプのおかげでサポート性能も高い。
大きく違うのは頭上の景色で、ウインドスクリーンが立っているために、ルーフを開けたときの開放感は、数あるオープンカーの中でもトップクラスだ。オプションのウインドデフレクターを装着すれば、高速道路でも風の巻き込みに悩まされることはない。
(後席)……★★★★
背後にソフトトップ格納スペースを確保するため、背もたれは直立しているが、身長170cmの自分なら、ソフトトップを上げても頭がルーフに触れることはなく、ひざもギリギリで前席の裏には接触しない。座面の角度は適切で、クッションが硬すぎることもないので、短時間なら不満なく過ごせる。このサイズの4人乗りオープンカーとしては望外の居住性といえるだろう。旧型と異なるのは、ロールバーが固定ではなくポップアップ式となったこと。おかげで後方視界はずいぶんマシになった。
(荷室)……★★
トランクリッドのヒンジが内側に隠されたのが旧型との最大の違い。内部はお世辞にも広いとはいえないが、容量は後席を立てたままで170リッター、前に倒すと660リッターと、旧型をそれぞれ5リッターと55リッター上回る。
トップを上げた状態では旧型同様、トランクリッドだけでなくリアトレイも開くイージーローディング機能が使えるので、外観から想像するより楽に荷物の積み下ろしができる。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
エンジンもまたハッチバックと同じ。つまり「クーパーS」では、1.6リッター直噴ターボで、175ps/24.5kgmをマークする。対するボディは1305kgと、ソフトトップのメリットを生かし約100kgアップに抑えてある。おかげでATであっても加速は豪快。アイドリングのすぐ上からターボが効くフレキシブルな特性のおかげで、アクセルペダルを踏んだ瞬間に突進が始まる。しかもそのときに低く太い排気音が響き渡るので、実際以上の迫力を感じる。この音もハッチバックと同じはずだが、青空の下で聞くそれは、往年のブリティッシュスポーツを思わせる調律だった。長時間付き合ったら疲れるだろうけど、ファンカーなのだからこれでいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
試乗車のタイヤはオリジナルの195/55R16より太く扁平な205/45R17だった。そのためもあって乗り心地には期待していなかったのだが、たしかに硬めではあるものの、微妙にしなる上屋がショックを逃がしてくれるためか、辛くはなかった。
それでいてキビキビしたハンドリングはほぼそのまま。屋根がないのでハッチバックよりもさらにゴーカート的だ。アクセルを踏みすぎるとノーズが外にふくらみ、荒れた路面では足が跳ね気味になるなど、速度を上げるとそれなりに気の抜けない乗り物になるのだが、そんなヤンチャぶりが昨今では貴重だし、これもミニ流の遊びだと許したくなってしまう。
(文=森口将之/写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:森口将之
テスト日:2009年6月18日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年式
テスト車の走行距離:4600km
タイヤ:(前)205/45R17(後)同じ(いずれも、コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト3 SSR)
オプション装備:205/45R17ランフラットタイヤ(12万円)/デニムブルー・ソフトトップ(2万8000円)/クロムラインインテリア(2万2000円)/クロムラインエクステリア(1万5000円)/カラーラインダークグレー(2万6000円)/インテリアサーフェス・フルード・シルバー(1万2000円)/助手席エアバッグ解除キー(8000円)/オールウェイズ・オープン・タイマー(3万円)/ホワイト・インジケーター・ライト(1万円)/クロスレザー(10万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:241.5km
使用燃料:22.5リッター
参考燃費:10.73km/リッター

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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