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第391回:“後付けアイドルストップ”ついに本格導入!?
東京インポートカーショーに見る、極寒ギョーカイ生き残り大作戦

2009.07.07 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第391回:“後付けアイドルストップ”ついに本格導入!?東京インポートカーショーに見る、極寒ギョーカイ生き残り大作戦

“実直なる飛び道具”が人気

いよいよ夏も本番というのに、去年末から引き続き、厳しすぎる自動車ギョーカイ。国内外の大メーカーもさることながら、本当に厳しいのは、市井のクルマ屋だったりする。
たとえばマジで笑えないのがアメ車並行屋だ。ただでさえ不況や不安定な燃料代で厳しいのに、これだけエコエコやられると泣きっ面に蜂。ボディとエンジンがデカいだけで問答無用に“非国民車”ステッカーが貼られかねない。

無論、基本自由主義の日本だけに、いまだ根強いクルマ好きは多いし、彼らに支えられてるのも事実だが、極寒は極寒。店によっては月に数台、いや“数ヶ月に数台”しか売れないところもあってまさに死活問題なのだ。

ってなわけで、ここんところその手の祭典であるオートサロンや他イベントにどういうスタンスで見に行ったらいいかなぁ……と思ってたところ、先日、トークショーも兼ねて行ったSIS東京スペシャルインポートカーショーで、意外なる金脈とポジティブシンキングを発見! それは言わば“実直なる飛び道具”である。

ジャンル的には「エコ」や「洗車」や「メンテナンス」、あるいは全く逆に「振り切った超ピュアスポーツ」分野の急速な進化で、今までのメインである一攫千金狙いっぽいエアロチューンや、ターボ&メカチューンビジネスはほぼ消え去り、もっと地に足が着き、かつアイデアに富んだクルマ商法が伸びつつあるのだ。多少残念ではありますが、これまた時代は時代。根強いクルマ業界の底力を感じた次第です。

なかでも不肖・小沢のハートを射止めたのが、(株)エコステーション・ジャパンの後付アイドリングストップ装置「エコスターター」! 最初は「今お乗りのクルマがエコカーに変身します」のキャッチコピーを見るなり、ホントかよ! って思ってたんだけど、聞いてびっくり、見て納得。文字どおり、すべての自動車に後付けでアイドリングストップ機構が付けられる画期的な商品なのだ。それもわずか数万円で装着可能。しかも、今まで難しかったAT車にも後付けできるんだとか。こりゃ文句ナシの、“みんながエコカー”だわな。

ハイブリッドよりエコ?

たしか今年、「スマートフォーツー・マイルドハイブリッド」が入った時にも出た話だけど、一般的にクルマは走行中の3割以上の時間がアイドリング状態で、それを無くすだけで、同程度の燃費およびCO2排出のカットが想定できるという。
だから俺は、そんなにエコエコいうんなら、今売ってるすべての新車にアイドルストップ機構を装着し、場合によっては法制化もアリだと思ってた。で、ついにこういうショーでも注目される存在になってきたのだ。

そもそも“全車アイドルストップ”は正論中の正論だと思う。ハイブリッド車よりシンプルで安上がりだし、環境に優しいとは思えない電池生産とも、ほとんど無関係。
真夏真冬は一瞬エンジンが止まって、一時的に暑かったり寒かったりするかもしれないけど、それくらい我慢しろって話でしょう。
心配された耐久性も、担当の属隆夫専務によれば「すでに商用車で1500台の装着実績がありますし、そもそもスターターは一日相当数の使用頻度にも耐えうる設計でできています。省エネルギーセンターでも約200台の実験実績がありますよ」とのこと。

一方、洗車業界の雄、東京の「ハイランダー」でも面白い話を聞けた。ボスの田中さんは、会場で「田中式洗車法」をデカデカと表明。いったいなにが違うんですか? と聞いたら「わかりやすいところでは、“純水”で洗うんです。そうすると拭ききれないで残っていた、ボディ裏側の水アカすらなくなる。非常に好評ですよ」とのこと。

すでに1年前からやってるそうで「洗車業界は今熱いです。一時のブームほどじゃないかもしれませんが、好きな人は相変わらず大好き。メチャクチャ忙しいですよ」とのこと。

ギリギリのアイデアでがんばる!

そのほか新しいことを始めてるなぁと思ったところは、まだある。

まずはファッション業界で有名なSHIPSが始めた「LITTLECARS」。こちらは今どき珍しく新型BMWミニと旧型ミニの垣根を取っ払って、両方ファッショナブルにイジっており、それなりの可能性を感じた。
アメ車を現地アメリカから、そのままの値段プラス多少の手間賃で“明朗”輸入代行してくれる「ジムコウウィンシステム」も、クルマ業界ではあまり聞かないビジネスじゃないだろうか。
MotoGP用バイクでも知られるオーストリアのKTMが作った、オールカーボンモノコック4輪の「X-BOW」も興味深い。ここまでピュアに研ぎ澄まされたマシンだと、スピードが出る、運転が面白い! 以上にそれ自体にモノとしての魅力があるよね。

もっと細かいところでは、今までより水を8倍吸収するという「魔法のタオル」こと洗車専用ぞうきんや、レッドブルに対抗した各種エナジードリンクの登場も面白かった。

SIS東京スペシャルインポートカーショーの主催会社「トレードショーオーガナイザーズ」の田中社長によれば、「大手のタイヤメーカーさんなどがいなくなって、各社の出展規模は小さくなりましたけど、出展者数は去年より増えてるんですよ」とのこと。

ようするにさ。売れなければ止めて、ほかの仕事やほかの事業を行える大資本とは違い、小さなところはどんなにツラく厳しくても、変わらずこの業界にしがみついていかなければならないのよね。それは俺みたいな自動車ライター業も同じで、だからこそ、こういうギリギリの必至なアイデアも出てくる。勇気100倍、俺もがんばろう! って思った次第です。

たとえば後付けアイドリングストップ装置、可能ならば俺も付けてみようと思ってます。実行したら報告するのでよろしくね!

(文と写真=小沢コージ)

「KTM X-BOW」
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小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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