マツダ・ロードスターVS RHT(FR/6AT)【ブリーフテスト】
マツダ・ロードスターVS RHT(FR/6AT) 2009.06.05 試乗記 ……295万5250円総合評価……★★★★
2008年末にマイナーチェンジされたマツダのオープンスポーツ「ロードスター」。オープンカーの季節到来! ということで、改めてハードトップモデルに乗り、その仕上がりを確かめた。
納得できないコトもある
春の日差しが心地良い、絶好のオープンカー日和に「マツダ・ロードスター」を借り出した私は、久しぶりにオープンエアモータリングを満喫した。都心、高速道路、箱根のワインディングロードなどをドライブしたが、どんな場所、どんなスピードでも、走る愉しさをもたらしてくれるロードスターに惚れ直してしまった。またオープンカーがほしいなぁ……私をそんな気にさせるほど、ロードスターの仕上がりはいい。
しかし、あらためてカタログをチェックすると、ひとつ残念なことを発見。ソフトトップのモデルにはオートマチックの設定がないのだ。
RHT(リトラクタブルハードトップ)のできは文句ないし、確かに便利で快適だが、デザインの好みからいえば、たぶん私はソフトトップを選ぶだろう。私はマニュアルが好きだから問題はないけれど、もしもマニュアルが苦手とか、オートマ免許だったら、RHTしか選べないことになる。これには納得がいかない。
そもそもロードスターにRHTを追加したのは、ロードスターファンを拡大するためだったはず。間口を広げてくれたのは評価するが、だからといって「オートマしか運転できないドライバーはみんなRHT」と押しつけるのは、少しやりすぎではないか? これではかえってユーザーの選択肢が減ってしまう。
オープンカーのように趣味性の強いクルマは、そのスタイリングに魅せられて興味を持つ人は少なくない。便利さや快適さより、デザインにこだわる人も多いだろう。このご時世、あまりラインナップを増やしたくないという売る側の論理もあるだろうが、ファンが支えてきたロードスターだからこそ、買い手の気持ちをもう少し大切にしてほしい。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
マツダのオープン2シーターライトウェイトスポーツ「ロードスター」。現行モデルは、2005年8月にフルモデルチェンジした3代目。2006年8月、電動開閉システムを備えた軽量ハードトップモデル「パワーリトラクタブルハードトップ(RHT)」が追加設定された。
2008年12月のマイナーチェンジで、フロントまわりのデザインを一新。5連メーターのデザインやシート形状が変更されたほか、機関面でもさまざまな手が加えられた。トランスミッションは、ソフトトップはMTのみの設定となり、RHTはグレードにより6MTと6ATが設定される。
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(グレード概要)
RHTのラインナップは、ベースの「S」とスポーティな「RS」、充実装備の「VS」の3グレード構成。テスト車は、シートヒーター付き本革シートに本革巻ステアリングホイール&シフトノブが備わる。またステアリングには、手元でのオーディオ操作が可能なリモートコントロールスイッチが装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
デザインそのものはマイナーチェンジ前とほぼ同じだが、ダッシュボードのデコラティブパネルを艶のあるブラックからダークシルバーに変えたことで、よりスポーティな雰囲気になった。センタークラスターまわりの質感も向上したように思える。
自慢のRHTは、センターロックの操作こそ手動だが、あとはセンタークラスターのスイッチひとつで簡単に開閉できるのが便利。開閉時間はわずか12秒と短いので、信号待ちでも気軽に操作できるのがいい。オープン時でも、窓を上げ、シート後方にある“メッシュタイプエアロボード”を立ててしまえば、高速道路でも風の巻き込みは少なく、快適な走行が可能だ。ハードトップを閉じると、ボディ剛性は格段に高まる。ソフトトップより遮音性に優れるのもうれしい点だ。
(前席)……★★★
“ハバナブラウン”というこげ茶色のレザーシートが標準装着されるVSグレード。ヘッドレスト一体型のスポーツシートはやや硬めの座り心地。肩のまわりがやや狭い感じがするが、サイドのサポート性は良好で、収まりも悪くない。シートヒーターが備わるので、寒い時期には重宝しそう。ただ、他のグレードでファブリックシート仕様を選んでしまうとオプションでもシートヒーターがつかないのは残念な話。シートの種類にかかわらず、冬のオープンエアモータリングにシートヒーターは必須アイテムだと思うのだが……。
(荷室)……★★★
絶対的な容量に余裕があるわけではないが、ハードトップの開閉にかかわらず、同じスペースが確保されるのは、ロードスターRHTの優れた点だ。しかも、ソフトトップ仕様のロードスターよりトランクリッドの位置を上げたことから、容量が拡大しているのも見逃せない。ただ、ルーフをトランクの前に収納するデザインのため、ソフトトップ版に比べてやや間延びして見えるのは、好き嫌いのわかれるところだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
マイナーチェンジを機に、2リッターエンジンは最高出力の発生ポイントやレブリミットが高くなっているが、実はこの改良はマニュアルトランスミッションに組み合わされるエンジンだけで、オートマチック仕様にはあてはまらない。それでも、車両重量が1160kgに抑えられたこのクルマなら、十分活発なドライビングが可能である。
2000rpm以下の低回転でもトルク感のあるエンジンは、2500rpmを超えたあたりからさらに元気に。爽快な吹け上がり感こそ乏しいが、レスポンスの良さは自然吸気エンジンならでは。
6段オートマチックは、シフト動作がスムーズなうえ、新たに“アクティブ・アダプティブ・シフト”を搭載したおかげで、たとえば下り坂でむやみにシフトアップしないので、わざわざマニュアルシフトしなくてもエンジンブレーキが使えるのだ。また、以前はDレンジでは使えなかったパドルシフトが、マイナーチェンジ後は使えるようになった(“ダイレクトモード”と呼ばれる)のも便利である。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
スポーツカーらしい引き締まった乗り心地を示すロードスターだが、標準の205/60R16タイヤを履くこともあり、タイヤがドタバタと不快な動きをみせることはなく、街なかでも十分快適だ。首都高速の目地段差をこえるようなときでもショックの遮断はまずまずである。
街角でも軽快な動きを見せるロードスター、ワインディングロードに持ち込めば、ライトウェイトスポーツらしい機敏なハンドリングが楽しめる。ステアリング操作に対して、即座にノーズの向きが変わり、ドライバーとクルマの一体感、マツダがいう“人馬一体”の感覚が実にいい。サスペンションの変更で、ロールスピードが速まったのはあまり感心しないけれど、操って楽しいクルマであることに変わりはない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2009年4月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年型
テスト車の走行距離:5059km
タイヤ:(前)205/50R16(後)同じ(いずれもヨコハマ ADVAN A11A)
オプション装備:BOSEサウンドシステム(AUDIOPILOTTM2)+7スピーカー+ショップオプション用ヘッドユニットなしBOSE専用HDDナビゲーションシステム(5250円)/サンヨーHDDナビゲーションシステム(ショップオプション/34万800円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:455.7km
使用燃料:42.4リッター
参考燃費:10.74km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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