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第385回:スクープ! アクアラインは半額でできた? “脱クルマ”シンポジウムで出た衝撃の発言

2009.03.23 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第385回:スクープ! アクアラインは半額でできた?“脱クルマ”シンポジウムで出た菅直人議員の衝撃の発言

つくづく「道=カネ」の世界……

例の高速料金“上限1000円”の話にしろ、若者のクルマ離れの話にしろ、最近の日本のクルマ問題はつくづく道と警察の体質にあるなぁと思っている私、不肖・小沢コージ。
先日、第二東京弁護士会が〜クルマ社会を考える〜「真に必要な道」を問う、というマジメなシンポジウムをやったのでちょいと行ってみました。

ちなみに第二東京弁護士会さんはずっと日本の道路問題を追っており、そのほか野生動物の保全問題や自衛隊問題とかも扱っていて、要するに人権派なのね。いまだこういう公的機関があって安心しました。すべての内容がステキかはわかりませんけど。

さて今回の目玉は、やはりパネラーである民主党の菅直人議員と、同じく民主党の道路関係のスペシャリスト馬淵澄夫議員、さらにそのライバル……というかこちらとしてはライバルであって欲しい(笑)、自民党の山本有二議員の3人。これに国土交通省や道路会社の人が加われば完璧だと思ってたんだけど、司会の方によれば「お願いしたけど欠席」で、菅議員によれば「逃げられました(笑)」だそうな。でも、これだけでも十分に豪華なキャストだろう。

話はけっこう率直で基本、日本の高速道路代が高すぎることや、新規道路建設の問題やコンパクトシティの話、さらに田舎の道路の問題を取り上げててなかなか良かった。でも、それより思い知らされたのは、議員とか官庁とか、そういう“公”の人たちの頭にある道路のイメージだ。つくづく、彼らの頭の中では「道=カネ」。だからこそ話題になるし、人が動くわけよね。

「脱クルマ」の空気

このへんはもはや田中角栄時代から続く伝統で、今回も実は最大のテーマは道路特定財源が一般財源化されて、道路建設費が減ることによる影響、つまり「今後の道作りをどうするか?」の話で、俺たちみたいに「道=楽しいモノ」「道=クルマでぶっと飛ばすと楽しい」なんて発想は皆無。っていうか、その手の発言なんてしたら抹殺されそうだ(笑)。

とはいえ話はおおむね納得できたし、楽しかったんだけど、根本に流れる「クルマは危険」「スピードは悪」のムードとは、どうにも相容れない。どうやらベースには「クルマを減らすことが幸せに繋がる」「脱クルマ」の考え方があり、クルマがなくてはならない道具であって、有効に使うとみんなの幸せにつながるという感覚はほとんどないみたいだ。
もちろん、田舎ではクルマがないと生活ができないのもわかってはいるが、それは「仕方がない」「やむをえない」ってトーン。
俺はいつも思うけど、クルマはすごく良く切れるナイフや包丁のような存在で、使い方次第では喜びになるはずだけど、どうにもこうにも今回のシンポジウムの中では「必要悪」的な認識なのだ。うーむ、恐ろしや恐ろしや。
将来、俺たち自動車愛好家はそこら辺が最終的な争点であり、大衆との「壁」になるんだろうなぁと予感してしまった。

そんな話はさておきシンポジウムは、「田舎にこそ道が必要だ」というかなり真っ当な話の山本議員と、「今後の交通量は増えるという国土交通省の予測は怪しい」などの体制批判派の馬淵議員の話が中心になった。もちろん対立しているわけではなく、両方とももっともなお話。ようするにお題どおり、必要な道を、納得いくコストで作ってくれれば問題はないわけよ。

ただ、両者が言うようにどちらも上手くいってないのが現状で、妙な高速道路をカネかけて作るわりに、地方の生活道路が全然整備されてないとか、非常に嘆かわしい問題がある。

高速道路を無料化すると、エコになって事故も減る?

あとホント驚いたけど、日本の道路予算って一度決まっちゃうと、その後10年なんの論議もされないんだってね。どんどん決まったカネだけ出ていく。つまり打ち出の小槌みたいに使える、「ドラえもんのポケット」なのよ。もっとも、それも今の税収不足でかなり使えなくなってきてるらしいけどね。

それと道路特定財源そのものをなくす……つまり徴収しないって話は今回全く出なくて、一般財源化されて道路だけに使われなくなるのは朗報! って論調で、非常にガッカリ。あんな取りすぎの税金、おかしいと誰も思わないんだろうか?
っていうか税収不足って認識だから、さらさら「貰ってるモノを返す」感覚はないんだろうなぁ。くそ〜!

そうそう、嬉しい話もあって、民主党で「高速道路原則無料!!」という超ステキな方針を掲げる張本人の馬淵議員によれば、“無料化”は既に国土交通省内で試算されてて、それによると「死傷者が減って」「排ガスが減る」方向なんだそうな。なんとまあブラボーなお話!! 

根拠は明らかにしてくれなかったんだけど、それがホントだとするとますます無料化が現実味を帯びる。渋滞が増えるだけだなんて悲観論もあるけど、一度道路会社を解散したりしてやってみなくちゃね。やらずにおびえてるだけじゃダメでしょ。

あと実は一番面白かったのは、冒頭しゃべってすぐ帰っちゃった菅直人議員の「アクアラインはほぼ半額でできた!」説だ。菅センセイによると現在のアクアラインはトンネルを掘ったわけではなく、海底に溝を掘ってそこにトンネル状のものを落として浮かないように錘を付けた構造なんだとか。この作り方は、けっこうコストがかかる。なぜこれを採用したかというと、簡単に言っちゃえば、当時の関係省庁や公団の利益誘導のためだというのだ。ホントだとしたら全くもってとんでもない話だ。社保庁の無駄遣いと双璧の、とんでもない経済犯罪だけどね。タイホだタイホ!

ってなわけで、つい目をそむけがちな道路問題。ますます本気で考えないとね。そういう時代ですよ、クルマ好きとしてはさ。

(文と写真=小沢コージ)



(2009年4月3日追記)

と思ったらみなさん、いまさら大変申し訳ないが、読者のかたから指摘がありました

−−「アクアラインは地下鉄大江戸線のように大深度をカッターで掘削しながらできたシールド工法によるトンネルですよ。もう少し深く調べて、「代議士センセイの道路についての基礎知識はこんな程度ものであった。この国の道路行政は大丈夫なのか」という感じに結んで欲しかったです」−−

うーむ、申し訳ない。てっきり「高速道路をタダにする」と高らかに公言している民主党の幹部のセリフだけに、確実性があると思い込んでいたのだが、全く逆で、シールド工法を採ったがゆえに高くなっていたとは……。

いろいろ調べてみると、シールド工法なのは間違いなさそう。菅さんがそれを知らないのかは確認できていませんが、今後、真 実が分かったらまた改めて書かせていただきます。ご指摘、ありがとうございました。

小沢コージ

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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