最新トランスミッション比較「ツインクラッチ&トルコンレスAT」(前編)【動画試乗記】
M DCTドライブロジック 2009.02.25 試乗記 BMW M3セダン(FR/7AT)……1101万5000円
オートモード付きMTとマニュアルモード付きAT、その違いは一体どこにあるのか? 技術解説と試乗テストの両面から、それぞれの特徴を浮き彫りにしていく。
自動車技術ライター 松本英雄がメカを解説
このところ、トランスミッションの多様化が進んでいる。ヨーロッパ車を中心にツインクラッチ式トランスミッションを採用するクルマが増えているのはご存じのとおり。さらに最近では、ATをベースに変速タイムを短縮した新しいトランスミッションも出てきた。そこで今回は、それら最新のトランスミッションを搭載する「BMW M3」と「メルセデス・ベンツSL」をテスト。タイプの異なる2種類の技術的な特徴とドライブフィールを見ていく。
「BMW M3」が採用する「7段M ドライブロジック」(以下DCT)は、マニュアルトランスミッションを進化させ、3軸タイプのシーケンシャルトランスミッションとしたもの。このトランスミッションの最大の特徴は、1、3、5、7速の奇数ギア と、2、4、6速の偶数ギアに別のクラッチを使っていること。構造的には、フォルクスワーゲン系のツインクラッチ式トランスミッションDSG(やSトロニック)とよく似ている。
クラッチを2枚使うことのメリットは、シフトアップやシフトダウンでギアを切り替えるとき、次のギアに繋いだ状態でクラッチだけを切り離し待機させておくことができるため、ギアチェンジを素早く行える点にある。
構造的にはマニュアルトランスミッションをふたつ搭載しているようなイメージだが、シフトレバーの見た目はATのそれに近い。クラッチ操作を電子制御で行うことから機能アップが図りやすく、この手のトランスミッションを搭載するモデルにはほぼもれなくオートモードが備わっている。さらにモデルによっては変速スピードをコントロールできるものもある。BMWのDCTの場合では、自動変速のプログラムだけで5種類。シーケンシャルモード(マニュアル変速モード)では6種類のモードが選択できる。
DCTの長所をまとめると、構造がシンプルで軽い。マニュアルトランスミッションと同じように歯切れの良い変速感が得られる。スポーツ走行に向いている。燃費に優れることなどが挙げられる。トルクの伝達効率が高いため、燃費は従来のマニュアルトランスミッションとほぼ同等と思っていい。また変速が早いゆえにシフトアップ時にエンジンの回転落ちが少なく、いわゆるエンジンのおいしい領域をフルに使いやすいことも利点として挙げられるだろう。
弱点を挙げるとすれば、スタートがギクシャクしやすいことと、3軸式でシャフト数が多いぶんノイズが発生しやすいことなどが考えられる。ただしこれは理論的にそうなりやすいというだけで、実際の仕上がりは別の話。そのあたりの判断は動画インプレッションに譲りたい。
(文=松本英雄/写真=菊池貴之)
五味康隆がドライブフィールをチェック
(リポート=五味康隆)

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
ポルシェ911タルガ4 GTS(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.26 「ポルシェ911」に求められるのは速さだけではない。リアエンジンと水平対向6気筒エンジンが織りなす独特の運転感覚が、人々を引きつけてやまないのだ。ハイブリッド化された「GTS」は、この味わいの面も満たせているのだろうか。「タルガ4」で検証した。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。






























