第374回:VOLVOイエテボリ取材で分かった驚愕の真実
「新車の匂いは身体に悪い!?」
2008.10.24
小沢コージの勢いまかせ!
第374回:VOLVOイエテボリ取材で分かった驚愕の真実「新車の匂いは身体に悪い!?」
クルマに乗るだけで病気に!?
ひさびさ目からウロコ、っていうか、刻々と価値が変貌する現代社会の厳しさを感じてしまいましたねぇ。それは今や「新車の匂いは身体に悪い」!? という真実だ。
今回、新型ボルボ「XC60」取材にかこつけ、ボルボ本社があるスウェーデンの港町、イエテボリに行ってきたんだけど、そこにある「ボルボカーズブランドエクスペリエンスセンター」はまさに情報の宝庫で、俺にいろんなことを教えてくれたのだ。あ、クルマについてはまた今度ね。
ご存じボルボは安全性能はもちろん、環境性能も高く、クリーンな排ガスやトータル的な代替燃料問題、つまり燃料を燃やした瞬間だけでなく「ゆりかごから墓場まで」のコンセプトで、燃料を採掘し、最終的に消え去るところまでのエコロジーまで考えてるんだけど、ある意味その延長として「ノーアレルギーカー」の研究も進めている。
聞いたところによると、西ヨーロッパの人々は花粉症のような病状まで含めると“45%はぜんそくかアレルギー”だそうで、女性の10人に1人がニッケルアレルギー。これまたひとつの現代病であり、さらに俺は知らなかったが、クルマに乗るだけでアレルギー症状がでる人もいるんだとか。
それはクルマが持つ潤滑油や有機溶剤から出てくる独特の匂いによるもので、つまり“新車の匂い”が元でアレルギーや調子が悪くなる人もいるってこと!! そんなの知らなかっただぎゃ〜。
ボルボの“人類愛戦略”
昔から俺たちクルマ好きの間では、日産車なら日産車、ポルシェならポルシェに乗ると感じる独特の匂いがあって、それを“新車の匂い”と称し、いい匂いとして捉えていたわけだが、逆に“迷惑なもの”“健康を害する物”として扱われるケースもでてきたわけであーる。つくづく難しい時代だ。
そこでボルボは2006年発売の「S80」から対策を施してあるそうで、具体的には油脂系や有機溶剤に人畜無害なものを使うだけでなく、自動換気システムを備えている。こういう溶媒系は、シートのファブリック等に染みこんでいて徐々に揮発し、特に真夏の暑いさなか、車内を閉め切ってたりするとナントカppmという危険レベルになるそうで、それを自動的に検知し、換気してくれるのであーる。
さらにS80は、アレルギーの出ないクロームフリーなめし革やニッケルアレルギーフリー金属をインテリアに使用し、耐アレルギー性能を高めてあるという。さらに、さすがは“人に優しい国”スウェーデン! だと思ったのは、スウェーデンには世界的に権威のある『ぜんそくとアレルギー患者の会』というのがあり、国にも認定されていること。
そう、まさにボルボS80こそは、知る人ぞ知る“世界初のノーアレルギー&ぜんそくカー”だったのであーる。ある意味、クルマ版“シックハウス症候群”対策ってところでしょうか。
ちなみにこの機能は、すでにV70やXC70をはじめ、俺が乗ってきた新型XC60にも盛り込まれており、順次全車標準になるとか。つくづく、ボルボという自動車ブランドのユニークな進化の方向性、“人類愛戦略”に驚かされた次第だ。
しかし、昔は「親しみある行為」とされたことで「セクハラ」としてタイホされたり、「すごい恋愛表現」だったのが「ストーカー」とされるこの頃。いろいろなところにきめ細かい気遣いが必要とされる、つくづく恐ろしくも難しい時代になったもんですなぁ。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
NEW
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
NEW
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション/CR-V e:HEV RSブラックエディション ホンダアクセス用品装着車
2025.12.4画像・写真まもなく日本でも発売される新型「ホンダCR-V」を、早くもホンダアクセスがコーディネート。彼らの手になる「Tough Premium(タフプレミアム)」のアクセサリー装着車を、ベースとなった上級グレード「RSブラックエディション」とともに写真で紹介する。 -
ホンダCR-V e:HEV RS
2025.12.4画像・写真およそ3年ぶりに、日本でも通常販売されることとなった「ホンダCR-V」。6代目となる新型は、より上質かつ堂々としたアッパーミドルクラスのSUVに進化を遂げていた。世界累計販売1500万台を誇る超人気モデルの姿を、写真で紹介する。 -
アウディがF1マシンのカラーリングを初披露 F1参戦の狙いと戦略を探る
2025.12.4デイリーコラム「2030年のタイトル争い」を目標とするアウディが、2026年シーズンを戦うF1マシンのカラーリングを公開した。これまでに発表されたチーム体制やドライバーからその戦力を分析しつつ、あらためてアウディがF1参戦を決めた理由や背景を考えてみた。
