第370回:ポルトガルで日産車に乗って考えました……
タクシーに乗ると思わず景気の話をしちゃうワケ
2008.10.07
小沢コージの勢いまかせ!
第370回:ポルトガルで日産車に乗って考えました……タクシーに乗ると思わず景気の話をしちゃうワケ
乗るだけで気持ちが変わる
話はいきなりなんだけど、だいぶ前にポルトガルのリスボンで行われた「NISSAN360」ってイベントがありました。ここで世界の現行日産車に“360度”イッキ乗りするわけで、新型ムラーノやらアメリカでしか売ってないピックアップトラックやら、「インフィニティFX」なんてのに乗ったんだけど、妙に印象に残ったクルマがあったのね。
それはタクシー。日産のタクシー専用車「セドリックセダン」のまんま日本仕様で、黄色ベースのカラーリングから、右ハンドル、例の“行燈”までそのまんまなのが笑えるけど、驚いたのはそれだけじゃない。
初めて運転してみて、あの左リア自動ドアが手動だった!! ってのにビックリ。だからあれだけ狭い道でも、壁にぶつけず絶妙に開けられるんだとわかった。
でも、なによりも驚いたのは自分のメンタリティの変化だ。
白い手袋をはめ、クルマを動かして止め、ドアを開けて仕事仲間のNさんをリアシートに乗せた瞬間、思わず「お客さん、最近景気はどうですか〜」と冗談まじりに言ってしまったのだ。その時俺は、「タクシーに乗った瞬間景気の話をする」のが自分の習性になっていることがわかったし、それが東京だろうがリスボンだろうが変わらないのにも驚いた。
マナーまで悪くなる、サバイバルな状況
で、多少強引に思ったんだけど、まずタクシーってのは、乗った瞬間黙りこくってるのもヤなのでなにか客にしゃべりたくなっちゃうんだね。あと、景気の話はタクシーに似つかわしく、かつ、実に無難なことだ。
実際、俺もタクシーに乗っていて、景気の話で妙に盛り上がることが多々あるしね。
最近では官庁、特に今まで無駄遣いしまくってて、例の“居酒屋タクシー”で叩かれた財務省系の仕事がめっきり減ってるらしく、さらに年配の個人タクシードライバーですらほとんど儲かってないということに驚いた。今や東京のタクシーの水揚げ(注:タクシー用語で売上のこと)はピーク時の半分。収入がどんどん落ち続けている。
結果、マナーは低下し、客を取るために衝突スレスレで真ん中車線から左車線に移るドライバーが増えた。危険を承知で、公道でバックも辞さないタクシーもいるとか。もはや“サバイバル”な状況下にあるのだ、都市部の交通は。
みなさんも東京のタクシーのマナーの悪さには、十分気を付けてほしい。
その昔、イギリス人の会話は「天気ネタ」から始まると聞いたことがある。普段から晴れ間の少ない同国では「いつ晴れるか?」「いつ晴れてたか?」が国民的関心事であり、だからそれをきっかけに話が弾む。
一方、今の日本は「景気」の話で話が弾む。それはそれだけ経済に関心が高い国民性だという以上に、日本の景気がつくづく悪いからなんだろうなと少々悩んでしまった小沢なのでありました。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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