ジャガーXF 4.2プレミアムラグジュアリー(FR/6AT)【ブリーフテスト】
ジャガーXF 4.2プレミアムラグジュアリー(FR/6AT) 2008.05.30 試乗記 ……886.0万円総合評価……★★★★
「Sタイプ」の実質的な後継モデルとして登場した「XF」だが、そのスタイルは一転し、スポーティなデザインとなった。足まわりも進化した新生ジャガーはどんな走りを見せるのか。
流線の美学
“クーペのようなフォルム”という言葉に思わず納得してしまう「ジャガーXF」のスタイリング。なだらかに流れるルーフラインを真横から見るときもいいが、私がハッとさせられるのは斜め後ろからの眺め。セクシーなヒップラインに惚れ惚れする。
インテリアもまた、エクステリアに負けないほどの美しさだ。ことデザインについては、これまでのクラシカルな装いを脱ぎ捨て、今風のスタイルへ華麗に変身を遂げたといえる。ただ、個人的な意見をいえば、あのフロントマスクはどうも苦手だ。
それはいいとして、ジャガーのサルーンといっても全部が全部「XJ」と同じ路線を歩む必要はないのだから、XFの大胆な方向転換には賛成である。ジャガーの目論みどおり、これまでよりも若い層を惹きつけるのは確実だろう。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2007年1月のデトロイトショーで「C-XF」としてコンセプトカーが出展され、同年9月のフランクフルトショーで市販車がワールドプレミアされた。
日本では、2008年4月10日に発売、同年5月16日に販売開始された。ミディアムサイズの4ドアセダンとして、実質的に「Sタイプ」の後継モデルと位置づけられるが、スポーティなエクステリアデザインや、ダイヤル式のドライブセレクター、手を触れるだけで開くグローブボックス、フォスファーブルーのイルミネーションなど、新生ジャガーを感じさせるものに改められた。
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新しく採用されたスタートアップシークエンス機能は、エンジンスタートボタンを押すと、ドライブセレクターが上昇、エアコンのリッドが回転しながらオープンし、起動が終了する。ギアポジションは、ドライブセレクターを左右に回転させ選択する。
ディメンションは全長×全幅×全高=4970×1875×1460mm。Sタイプに較べ、65mm長く、55mm幅広く、15mm高い。2910mmのホイールベースは同じ。
エンジンは3リッターV6(243ps、30.6kgm)、4.2リッターNA(304ps、42.9kgm)、同スーパーチャージャー付き(426ps、57.1kgm)の3種。トランスミッションは、6段ATが用意され、変速用パドルもステアリング裏に備わる。
(グレード概要)
試乗車は、4.2リッターNAユニットのミドルグレードのプレミアムモデル。前席10ウェイ電動シートや、ウォールナットウッドトリム、18インチ“Cygnus”アロイホイールが採用される。また、3リッターのエントリーモデルではオプションとなる、プレミアムサウンドシステム、キーレスエントリー、パーキングエイドパッケージなどの快適装備は標準で備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
XFのインパネは、高級感に溢れているのにゴテゴテしていないのがとても上品。ダッシュボードの上をレザーで被い、下にはウッドとアルミのパネルを巧みに割り当てたのが功を奏している。
従来のシフトレバーに代わる「ジャガードライブセレクター」や電気スイッチ式のパーキングブレーキも、コクピットのすっきり感を高めている。
メーターパネルはクラシカルなデザインのアナログタイプ。薄いブルーのイルミネーションはイギリスで流行の色らしい。ナビゲーションシステムはDVDタイプ。日本車なら触れるほどのことはないが、バックの際にリアカメラの映像が表示されるのが便利だ。
面白いのがグラブボックスで、開けるためのノブがなく、ウッドパネルに仕込まれたセンサーに軽く触れるか指先を近づけるだけで操作できる「ジャガーセンス」を導入。前席上のルームランプにも採用される。そういった技術的なトピックもさることながら、すべてがカッコよくまとめられているところは、他メーカーもチェックすべきだろう。
(前席)……★★★★
標準のレザーシートは、沈み込みが少なく、適度に張りがあるしっかりとした座り心地。レザーの表面はパンチング加工が施されるが、実はデザインのためだけではなく、温風または冷風で乗員を快適に保つベンチレーション機能が備わっている。そういえば、ステアリングヒーターもこのグレードには標準装着だった。このクラスだからシート調整はすべて電動で、ステアリングコラムのチルト、テレスコピックもスイッチひとつで操作が可能だ。
エンジンをスタートさせると、センターコンソールからすっと浮き上がるジャガードライブセレクター。オートマチックのレンジを変更するには、セレクターを左右どちらかに回すことになるが、選ばれたポジションがメーターパネルに表示されるため、とてもわかりやすく、すぐに慣れることができた。セレクターの大きさも適当で、掌にぴったり収まるのもいいが、場所がら(!?)か、生温かい感触には最後まで馴染めなかった。
(後席)……★★★
クーペのようなフォルムとはいえ、頭上が窮屈でないのは偉いところ。168cmの私なら10cmほどの余裕がある。足もとも十分な広さが確保される。シートバックが少し寝ているのと、フロントシートのヘッドレストが視界を遮るのが気になるくらいだ。
走り出すと、前席に座っているよりもタイヤのドタバタが伝わってくるのと、パワートレインからのノイズが大きく感じられるのがマイナスポイント。定員は5名といいながら、中央にヘッドレストがないのも気にかかる。
(荷室)……★★★
5m近い全長からすれば、驚くほどのスペースではないが、クーペ風の外観から予想するより大きいのは確か。とくに天地が十分確保されたのが、古いジャガーからの脱却で(!?)、これが広さに貢献している。
リアシートは6:4の分割可倒式を採用し、トランク内のレバーで操作できるのが便利。開口部がもうひとまわり大きいと、さらに使い勝手はよかったのに。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
XF 4.2に搭載されるのは、「XJ4.2」や「XK」と同じ自然吸気の4.2リッターV8。大排気量エンジンらしく、低回転数から余裕あるトルクを発生するが、上位グレードに積まれるスーパーチャージャー付きV8ほど凄みはなく、ありがたみに欠けるかもしれない。
V8らしさを見せるのは4000rpm以上からで、6000rpmを超えるあたりまで、NAらしい気持ちのいい加速を見せる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
電子制御アダプディブダンピングのCATSが付くのは最上位グレードのSV8のみ。しかし、コーナリングのときなど、4輪のしなやかな動きはこのXF4.2でも十分に感じることができるし、安定感という点ではこちらのほうが大きいように思えた。高速道路でのフラット感もまずまずのレベルである。
乗り心地は決してソフトではなく、荒れた路面では245/45R18というタイヤを持てあまし気味。ふだん使う状況で、さほど気持ちよく思えないのが残念な点だ。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2008年4月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2008年型
テスト車の走行距離:3360km
タイヤ:(前)245/45R18(後)同じ
オプション装備:電動スライディングチルト機能付ガラスサンルーフ(16.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:335.2km
使用燃料:45リッター
参考燃費:7.45km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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