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第355回:ホントに喜んでていいの? 全然スッキリしない理念なきガソリン価格たちへ

2008.04.09 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第355回:ホントに喜んでていいの? 全然スッキリしない理念なきガソリン価格たちへ

喜んでばかりはいられない

話題の激安ガソリン、やっと入れてきましたっ! そう、現金会員価格でレギュラー1リッター124円! ハイオク135円!! ま、会員っつったってテキトーに住所と名前書くだけで作れるおキラクなものなんで、事実上誰でもこのお値段でしょう。他にもっと安いところもあるみたいだけど、俺の住んでる大田区じゃおそらくトップレベル。
一瞬、たしかにホッとはします。今回だいたい50リッター近く入れたから、暫定税率ありの時に比べて、1000円以上も安くなってる計算。この差はデカい!!

なーんて、でも正直なんかスッキリしないんだよなぁ。もちろん、それは1ヶ月後には暫定税率が復活するかも? ってイヤーな値上げの話もそうだけど、それ以上に結局のところ根本的な解決策、論議がほとんど進んでない気がするからだ。安くはなって一瞬、これは素晴らしい! なんてカン違いしそうだけど、騙されちゃいけない。逆に本質的な問題はおざなりになってしまいがちな気がする。

“ガソリン価格はどうあるべきか?”というそもそも論である。

個人的な感覚からすると、ガソリン価格はもうちょっと高めでもいいと思う。レギュラーでリッター150円前後、ハイオクで160円前後。もちろん安くはないが、その分、燃費のいいクルマを買おうという気になるし、小さくて無駄の少ないクルマを選びたくなる。
たしかに高級大排気量スポーツカーが売れなくなるのは我々業界人には寂しい。しかしそれはそれ。この地球温暖化の時代に好燃費のクルマを選択するのは正しいし、よっぽど大排気量車に乗りたければお金持ちになるべくがんばればいい。
これからのスポーツドライビングは、軽く、小さく、燃費がいいクルマですべき。その方向性は間違ってない気がする。

たとえば今のヨーロッパ、具体的にはドイツのフランクフルトを考えると日本のガソリンは十分安いと言える。レギュラーでリッター1.4ユーロ、ハイオクで1.4ユーロは当たり前で、単純に日本円に換算するとなんと220円とか240円!! とかトンでもない値段になる。ま、1ユーロ=160円ってとんでもない為替がゆえのマジックでもあるが、とにかくそう考えると日本のガソリンはもともと安い。暫定税率付きでも安いのだ。

大田区、小沢事務所の近くで一番安かったとこ。
大田区、小沢事務所の近くで一番安かったとこ。 拡大
ドイツ・フランクフルトにある、行きつけのスタンド。高い!
ドイツ・フランクフルトにある、行きつけのスタンド。高い! 拡大

“環境税”も怪しい

じゃあなんだオザワ、オマエは暫定税率が復活すればいいと思ってるのか! というとそれも違う。“暫定”なんて言葉を30年以上も使うなんて、それはだまし以外のなにものでもない。結局のところ、一番の問題はこの税金がどこに使われ、どこの道路になっているかが問題なのだ。
それは高速道路のプール制も同じだし、そもそも無駄な道路、有効な道路、ごちゃまぜで作られているのがいけないのだ。それから道路建設の高コスト体質も問題なのだ。

そして道路特定財源の“一般財源化”っての一見、公平で正しそうにも思えるが、結局のところ取れるところから取る! って発想が見えちゃうので納得できない。

さらに最後に“環境税”ってのが個人的には一番怪しいし、ヤバいんではないかと二ランでいる。
だいたい環境というのは、基本的には経済性や効率と二律背反する特性で、ある種、崇高な“理想論”と正確な未来予測に基づく“確率統計的”な考え方が必要になると思う。
それが外国がやるからやる! とか、感覚的に正しそう! ってんじゃ絶対に失敗する。単純に官僚がカネを取るための理由付けに使われるのも怖い。

こちら田園調布付近。お土地柄か、やっぱビミョーに高い。
こちら田園調布付近。お土地柄か、やっぱビミョーに高い。 拡大

クルマ文化衰退につながりかねない

リサイクル税がそうだったように、環境というキレイゴトを利用してクルマユーザーからお金を集めて外郭団体を作ったり、天下り先を増やすだけにもなりかねないのだ。なんせ日本のリサイクル税、“走るだけでリサイクル”みたいな俺の30年以上落ちロールスからお金を巻き上げるんだからさ。いったいどういうことよ。イギリスならタダでっせ、タダ!

なーんてつい感情に走っちゃったけど、結局、ガソリン価格が安くなるのも疑問だし、高くなるのも疑問。それはすべて今のガソリン税、自動車税、二重取りする消費税、高速代などなど、すべてが理念なきところから発生しているからなのだ。

未だ日本人はクルマを“便利な道具”とみたり、“高級品”とみたり、“殺人器具”とみたりとコロコロ変わる。いきあたりばったり、テキトーに考えてるからコンセプトが定まらない。

今回の出来事だってそう。これで1ヶ月先に元の値段になってみなさいよ。結局のところ、無理してガソリンを安く売ったスタンドが損を被って、一部たちいかなくなるところも出てくるだろう。
そうすると最終的に損をするのは、スタンドを使うユーザーであり、まわりまわってクルマ文化衰退につながりかねないのだ!!

ってなわけで今のおバカな理念なきガソリン価格について、とりあえず思いつく限りぼやいてみました(笑)。

(文と写真=小沢コージ)

ドイツで「マツダ3」にガソリンを入れる俺。なんと満タン70ユーロ台、つまり1万1000円以上!!
ドイツで「マツダ3」にガソリンを入れる俺。なんと満タン70ユーロ台、つまり1万1000円以上!! 拡大
小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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