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第354回:最近のデジカメ地獄に一言
 カメラはフィルムを買っている!

2008.03.28 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第354回:最近のデジカメ地獄に一言 カメラはフィルムを買っている!

買っているのは“最新のフィルム”

今回は久々にハズしてカメラのお話。先日、某有名グラビアカメラマンと話してて大変勉強になったというか、感銘を受けた言葉がある。それは「デジカメはカメラを買うんじゃない、フィルムを買ってるんだよ」というもの。

ううーん、なるほど! 目からウロコが落ちました。しかも彼は、かなりの売れっ子だというのに「僕はカメラを絶対現金で買わない。出たその日にローンで買う。誰だってフィルムを5年分まとめて買わないし、そんなことしたら腐っちゃうでしょう。それにそうしないと、すぐに元を取ろうとか思って仕事が荒れちゃう。だから余裕を持ってローンで買って、新しいカメラが出たらすぐに買い替えちゃうんだよ。そうやって“最新のフィルム”を買うわけ」と。

にゃるほど、そう考えるのか。さすがは売れっ子。勉強になりました。まさしく新たな時代のリスクマネージメントである。

実は最近のデジカメのモデルサイクル、進化具合はものすごくて、プロユースで考えるとキヤノンEOS-1DマークIIIで40万円前後、1DsマークIIIなら80万円、定価レベルで考えると100万円もする。そのうえ2〜3年でどんどんモデルチェンジしちゃう。

もちろん、俺レベルじゃ約630万画素CMOSのEOS10Dレベルで十分。たしか10万円ぐらいで買ったと思うけど、もはや5年も経つとさすがに動作は遅いし、画素数も少ないので、最新型が欲しいなぁ〜と思って調べると最新型40Dで10万円前後、kiss X2でも7万円はする。1Dと比べると安いけど、バカにならない投資だし、他社品もまあ同様だ。

仕事はカメラ代を稼ぐため!?

でね。よくカメラマンと話してて「昔の方が安かったなぁ」って言うわけですよ。たしか俺がもってたEOS100でボディが7万円、EOS-1でも中古を買えば20万円払っておつりがきた。もちろん今のデジカメのほうがフィルムが要らないからいくらでも撮れるし、やり直しもきくし、メリットは大きい。
当時はフィルム代が請求できたし、支給されたし、しかも常に最新型フィルムなんでクオリティ的にも安心できた。

ところが、デジカメ時代になってからというもの、仕事で写真を撮ってもフィルム代は請求できないし、記録するSDカードやらCFやらの記録メディアは自前。納品するときのCDやDVD代は、安過ぎて請求しない。

結局どういうことか。
つまり、同じ撮影仕事をしても実質、収入は減るのだ。具体的にはデジカメ分、ギャランティが減るわけである。

本来それはフィルム代を支払っていた出版社なり制作側が補うべきだとは思うが、今の不況、なんだかんだで機材代はカメラマン持ち。あげくの果てに廃業に追い込まれるプロもいる。
なんせキヤノンの場合、頑張る人はサブ機も合わせて2台買うから、ボディだけで200万円! レンズ、ストロボそのほかを入れると300万円コースもラクラク。

これを仕事で稼ぐとなると並大抵じゃない。グラビアカメラマンは「仕事が荒れる」って言ってたけどまさにそのとおりで、「食うための仕事」っていうより、もはや「カメラ代を稼ぐための仕事」みたいにもなる。
あ、そうそう、さらに欲張る人はパソコンも最新型が欲しくなるから、MacBookPro買ったり、MacBookAir買ったりしてますますかさむ。まさにカメラマン地獄だ。

カメラマンだけの話じゃない!

でも、だからこそ「デジカメはフィルム」と割り切るわけである。そうやってローンで買って初期投資を抑え、最新型が出たら「最新型フィルムを買うように」買い替える。そうすれば精神的にもテクノロジー的にも常にいい状態で写真が撮れるってわけだ。「余ったお金で何するかって、好きな写真を撮って技術を上げるんですよ。それしかない」とグラビアカメラマンは言ってたけど、まさしくその通り。それが王道だ。

ただね。ここに一つ落とし穴があって、カメラマンっていうのは「写真が撮るのが好き」な部分と「カメラが好き」って部分があって、特に道具好きな人だと、ローンで買うって割り切れないんだよね。
もしくは機材の性能が上がって、一部コンパクトカメラで撮っても問題ない撮影でも、無理して一眼を使って疲れたり、機材を消費したり、そうやって苦しむことになる。

でも、これはカメラマンだけの話じゃないと思ったなぁ。俺達ライター側だって、パソコン代はバカにできないし、クルマ代なんてそれ以上。まあそれを“投資”と考えるか“勉強”と考えるか“趣味”と考えるかは人それぞれだけど選択は難しい。

ようするにこの多様化する現代社会。“考え方”ひとつで見え方はいくらでも変わるし、最悪それによって人生を左右されることもありうる。難しくも面白い時代になってきたってことですよ、ハイ。

(文=小沢コージ)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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