第352回:密かな大発見! ベンツE&BMW 5より全然イイかも?
VWパサートTSIコンフォートライン
2008.03.10
小沢コージの勢いまかせ!
第352回:密かな大発見! ベンツE&BMW 5より全然イイかも? VWパサートTSIコンフォートライン
予想外のめっけもん!
さてと最近結構いっぱい出ている新車たち。それぞれ後でできるかぎりレポートするとして、実は一番感動したのはこれかもね。
そのクルマは「VWパサート・コンフォートライン」。新たに1.8リッターのTSIエンジンが開発され、追加車種ってことでジミ目に今年2008年の頭に日本へ導入されたんだけど、密かにこれがメチャクチャいいのだ!
なにがいいって、まずは肝心の1.8リッター直4 TSIエンジンよ。たしかに排気量わずか1.8リッターとインパクト弱いし、最高出力も160psと対したコトない。
でもね、乗ってビックリ。あーた、コイツのフィーリングは3リッターV6に匹敵しますよ。それくらい上質感とトルク感がある。
上質感はあまり数値化できないんだけど、トルクはスペックによく表れてる。最大トルクは25.5kgmで、しかも1500から4200rpmの低回転域で発揮するという秀逸なパフォーマンス!
以前搭載されていた2リッター直4エンジンの最大トルクが20.4kgm/3500rpmなわけだから、そのフィーリングの違いは推して知るべし。さらにライバルともいえるベンツE250は、2.5リッターのNAで最大トルク25kgm/5500rpm。となれば、その発生回転の違いから考え、まさに1.8リッターTSIのフィーリングは、3リッターV6並といえるでしょう!
バリューの高さがハンパじゃない
でね。改めて思ったけど、パサートは“ガワ”もいいんだよね。アウディA6とはほとんど共有部品がないっていうボディは、全長4785×全幅1820×全高1490mmとサイズたっぷり。数値的にはBMW 5シリーズや、ベンツEクラスより小さめだけど、室内スペースは後席も含めてまったく遜色ない。
インテリアだって、これ見よがしな本革などほとんど使われてないけど、樹脂、金属パネル、ファブリックのクオリティは非常に高い。
そして極め付けは走りよ。ホント、ボディ剛性は高いのに、当たりの硬さは一切なく、まさに“懐が深い”と言いたくなる上質な乗り心地。ハンドリングも落ち着きがあって、高速でも怖さは微塵も感じられないし、ホントに癒されるクルマなわけですよ。
これでお値段、329万円から!! いやはや600万円台から始まるベンツE、BMW 5と比べ、コイツはスーパーディスカウント! 厳密に言えば、車格は落ちるし、ブランドイメージもあれだし、スタイリング的にもジミ過ぎる。でもこのバリューの高さったらハンパじゃない。
クオリティを考えると、もっと高い値段を付けても十分売れそうなもんだけど、VWジャパンは、為替を円建てで行ってるって話もあるくらい良心的。
マジ、俺が良質セダンを求めてる日本のお父さんだったらコイツを買っちゃうと思いました。
あとね。蛇足だけど、今やVWブランドの目玉たる「TSIエンジン」。1作目の1.4リッターツインチャージャーの後いろいろ出てるけど、実質この1.8リッターが2作目なんだよね。小排気量で燃費良く、しかし直噴+過給技術で、効率良くパワフルに味わい深くなっているという魔法のエンジン。その基本コンセプトを見事、コイツは体現しております。
ってなわけでいろんな意味でお買い得だと思いますよ。パサートTSIコンフォートライン!!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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