レクサスGS460“versionL”(FR/8AT)【ブリーフテスト】
レクサスGS460“versionL”(FR/8AT) 2008.01.10 試乗記 ……812万9750円総合評価……★★★
マイナーチェンジで内外装のほかエンジンラインナップが変更されたレクサスのミドル級セダン「GS」。4.3リッターに替えて導入された4.6リッターモデルに試乗した。
ハイテク機能満載だけど……
「レクサスGS」は、「メルセデス・ベンツEクラス」や「BMW5シリーズ」に真っ向から勝負を挑むアッパーミドルクラスのサルーン。そのV8エンジン搭載版が「GS460」で、先頃実施されたマイナーチェンジを機に、LS460のエンジンを譲り受けて(ただし、性能は少し控えめだ)、商品力アップを図ったのはご存じだろう。
アクティブセーフティやパッシブセーフティ性能の向上、そして、運転時にドライバーの負担を軽減する目的でハイテクを満載するGS460は、まさに日本発の強みを活かしライバルをリードするかに見えたが、いざロングドライブに連れ出してみると、もちろんある程度のレベルには達しているものの、基本的な走りの部分はドイツの強豪たちにまだまだ及ばず、運転に楽しさを見いだせなかった。日本車からの乗り換えなら気にならないかもしれないけれど、ドイツ車に慣れ親しんだユーザーを取り込むのは難しいのではないか?
クルマは基本性能を磨いてこそ、付加的な価値が強みになるのだ。高級車ならなおさらのこと。世界で戦う日本のプレミアムセダンに、より一層の進化を期待したい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2005年8月、最初のレクサスとして登場した「GS」は、国内で「アリスト」と呼ばれてきたスポーティサルーンの後継。
当初のラインナップは、3.5リッターV6(2WDと4WD)の「GS350」と、セルシオと同系の4.3リッターV8を搭載する「GS430」、2006年3月16日に追加されたハイブリッドモデル「GS450h」の3モデル。
2007年10月18日にマイナーチェンジされ、既存の「GS430」に替わり、ひとクラス上の「LS460」に搭載されている4.6リッターV8(347ps、46.9kgm)と8段オートマチックトランスミッションを搭載した「GS460」がラインナップされた。
(グレード概要)
GS460には、ベーシックグレードのほか、シートヒーター付きのセミアニリン本革シート&トリムや、本木目&本革ステアリング、電動リアサンシェードなどが標準装備される「version I」と、これに加え、プリクラッシュセーフティシステム、後席SRSサイドエアバッグを装備する「version L」がある。
テスト車は後者の最上級グレード。旋回能力を安定させる「アクティブスタビライザーサスペンションシステム」のほか、ムーンルーフ、リアスポイラー、クリアランスソナーなどがオプションで設定される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
GSの特徴といえるのが、運転をアシストする機構が充実していること。たとえば、車線の逸脱を警報で知らせ、その際、クルマを車線内に戻すようステアリングを操作する“レーンキーピングアシスト(LKA)”、ミリ波レーダーで先行車との車間距離を維持しながら走行できる“レーダークルーズコントロール”、また、ミリ波レーダーにより先行車との距離や速度差をモニターし、必要な場合に軽くブレーキをかける“ドライバーアシストブレーキコントロール(DABC)”など、実際に使ってみると、「なるほどこれは便利」と思う機能が満載だ。
インパネは、こまごまとしたスイッチを開閉式のスイッチボックスに集め、ナビ画面の両側に大きなスイッチを配置することですっきりとしたデザインに仕上げている。ただ、画面まわりのスイッチが散在しているために、瞬時にスイッチの位置を把握しにくいのと、ミラー操作やトリップとオドメーターの切り替えやリセットまでスイッチボックスに隠されているため、頻繁にスイッチボックスを開閉することになり、かえって煩わしく思えた。
インテリアは、レザーシートとウッドパネルが高級感を訴えているが、インパネのデザインや色づかいなどを含めると、高級車としてのありがたみが乏しく、価格相応の演出がほしいところ。
(前席)……★★★★
運転席に着いてはっとさせられるのが正面のメーター。盤面にアルミを使ったデザインが美しく、メーターを覆うガラスの透過率を自動制御することで後方から日差しにもぎらつかない工夫などはGSならではだ。
シートは比較的ゆったりとしたサイズで、背中、腰、足のサポートもしっかりしている。当然、シートポジションやステアリングコラムのチルト/テレスコピック調整は電動で、3名分のメモリー付き。シートヒーターに加えて、ベンチレーターが備わるのは暑い時期など重宝しそうだ。
(後席)……★★
肩まですっぽり収まる後席は、ラウンドしたシートバックのおかげで上半身の収まりがいい。頭上のスペースは、オプションのスライディングルーフが装着された試乗車でも十分。
一方、足元は、膝の前の空間に不満はないものの、フロントシートを低い位置に調整するとその下に爪先が入らず、意外に窮屈。乗り心地も、前席に比べると明らかに上下動が目立ち、フロアに伝わる振動も気になるなど、快適さはいまひとつだった。
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(荷室)……★★★
このサイズのFR車としてはまずまずの広さのトランクルーム。奥行きは100cmほど、天地も50cmほどあるが、ホイールハウス間はやや狭い。トランクリッドはステーが荷室に干渉しないダブルヒンジを採用。トランクスルーはあるが、後席は倒すことができない。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
新搭載の4.6リッターV8は、「LS」との上下関係を配慮してか、最高出力、最大トルクがそれぞれ38ps、4.1kgm控えめな数字になるが、それでも、347ps/6400rpm、46.9kgm/4100rpmの性能は余裕たっぷりで、1500rpmも回っていれば必要なトルクを発揮。街なかはもちろん高速まで、流れに乗って走るくらいなら2000rpm以下で十分。高速の合流などでちょっと多めにアクセルペダルを踏めば、スパッと加速するのも頼もしい。
さらに上まで回せば3000rpm手前あたりから一段と力強さを増し、5500rpm付近まで怒濤の加速を示す。そこからレブリミットの6500rpmにかけては多少音に濁りが混じるものの、終始スムーズさを失わない。8段オートマチックのマナーのよさとあいまって、高級車にふさわしい性能といえる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
一般道の乗り心地はソフトすぎないが、落ち着きが足りない感じで、それでいて路面が悪いとゴツゴツした感触を伝えてしまう。高速道路もフラット感はいまひとつで、路面によっては上下動が収まらず、電子制御のサスペンションを「ノーマル」から「スポーツ」に切り替えたところで動きを抑え込めない。
気になったのは高速走行時のステアリングで、電子制御のパワーステアリングに、スタビリティコントロールのステアリング協調制御やらレーンキーピングアシストやらを加えたからなのか、ダイレクト感に欠け、直進時に舵のすわりが悪い。おかげで常にステアリングを細かく操作することになり、50kmも走らないうちにすっかり疲れてしまった。
ワインディングロードではステアリング操作から少し遅れてロールする感じで、ステアリングのフィールを含めて、クルマとの一体感が希薄。正直なところ、期待はずれの仕上がりである。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2007年12月3日から4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2007年型
テスト車の走行距離:2541km
タイヤ:(前)245/40R18(後)同じ(いずれも、ヨコハマアドバンA10)
オプション装備:リアスポイラー(3万1500円)/ムーンルーフ(9万4500)/クリアランスソナー(5万2500円)/“マークレビンソン”プレミアムサラウンドシステム(34万1250円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(8):山岳路(1)
テスト距離:595.2km
使用燃料:72.12リッター
参考燃費:8.25km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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