第346回:初試乗「日産GT-R」!
よくできたCカーって、もしやこんな味?
2007.12.27
小沢コージの勢いまかせ!
第346回:初試乗「日産GT-R」!よくできたCカーって、もしやこんな味?
巨人に衝き動かされているような走り
やっと乗ってきました新型「GT-R」!
2001年の東京モーターショーで“GT-Rの復活”が発表されてからジラされまくりで、かれこれ6年。すでにドイツで試乗したり、仙台ハイランドで乗ってきた人もいるみたいだけど、俺たちフリーランスは、ようやく12月、愛知県蒲郡のスパ西浦モーターパークで行われた試乗会で乗ることができました。俺自身言うところの“スーパーカー日本代表”、はたしていったいどういうものなのか。そしたらね……。
なにに驚くって、とにかくその安定感、安心感の高さよ。あまりの動きの速さにタコメーターが付いてこれないようなエンジンの吹け上がりや、センシティブかつメチャクチャよく利くブレーキ、死ぬほどよく曲がるコーナリング性能にも驚くけど、それ以上に全然怖くないし、どんなふうに運転しても、ある一定の余裕が感じられるんでビックリ。
たとえばハンドリングだけど、どんなハイスピードコーナーでもタイトコーナーでも違和感なく、自然に思ったとおりに曲がれてしまう。ボディ幅が約1.9mもあって車重も1.7トン以上あるのに、軽やかでどこまでも思いどおりに操れる。しかもフロント255、リア285のトレッド幅で、最高2Gに耐えられるという専用開発タイヤを履いてても違和感まったくナシ。これだけの高性能だとフツーどっかで妙なフリクションとか感じちゃうもんだけどね。
ブレーキもどんなに激しく、あるいはゆっくり踏んでもちゃんと付いてくる。とにかくすべてが完璧にコントロールされている、まさに巨人に衝き動かされているような走りなのだ。
乗る前はもっとエッジの上を歩いているようなスリリングな操縦性なのかと思ってたけど全然逆。「ポルシェ911」とも「レクサスIS F」とも違う。あえて言えば、“よくできたメルセデス・ベンツをもっと軽くしたような走り味”かもしれない。俺の感覚ではね。
ラクさと速さはCカー譲り!?
「小沢さん、よくできたレーシングカー、特にシリーズチャンピオンを取るようなクルマはこういうもんですよ。いくらクルマが速くても乗ってるドライバーが疲れちゃ勝てないでしょう」と開発チーフの水野和敏さん。
まさにそういうもんなんだろうなぁ。たしかに水野さんが日産のCカーでやってきたデイトナ24時間や、ル・マン24時間レースは、単純な速さももちろん必要だけど、それ以上にドライバーに負担をかけないクルマ作りが重要。このGT-Rは、まさしくその考え方を応用して作った“マルチパフォーマンススーパーカー”なんでしょう。
あと水野さん発言で印象的なのは「今回は“人間のやることを阻害しない電子制御”ってのも一つのポリシーです」というもの。つまり、電子制御は基本性能を補うために存在するわけではなく、トランスアクスルなどある意味、古典的ともいえる技術で基本性能を徹底的によくした上で、ほどよく電子制御技術を加味したんだと。
ようするに化学調味料バリバリのラーメンではなく、よくできた手打ち麺、自然素材スープの上に、ほどよく調味料を効かせたラーメン。そういう意味で“今までありそうでなかった最高レベルの味わい”が提供できているわけであります。
だからメチャクチャ速いだけでなく、乗り心地も驚くほどよく、特に荒れた道でのピッチングの少なさにはビックリ。ヘタなサルーン顔負けのフラットさなのだ。
俺は直感的に思ったなぁ。きっと“よくできたCカー”ってこういうもんじゃないかって。昔、とあるレーシングドライバーに聞いたんだけど、1980年代に大活躍したCカー、たとえば耐久レーサーの「ポルシェ956」ってメチャクチャ乗りやすかったんだそうな。速いのはもちろん、乗り心地からポジションから物すごくよくてラクで、だから過酷なルマン24時間レースで4度も勝てたんだと。
GT-Rの拍子抜けするくらいの“ラクさ”と驚異的な“速さ”。それはそういう世界から来たものかもしれませんねぇ。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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