「最近のエンジンは低出力化している?」
2007.11.10 クルマ生活Q&A エンジン「最近のエンジンは低出力化している?」
15年ほど前には、1.6リッターで160psを出すようなNAのスポーツエンジンがありました。最近のエンジンは以前より低出力になっているようですが、どうしてでしょうか?
お答えします。どのような分野でも、日本人は数値の上で最高を求める傾向がありますね。自動車では、最高出力(馬力)を競い合うという形で表れていました。
各メーカーはスペックの向上を重視していて、リッターあたり100psというのが一つの指標になっていました。実際にそれは達成され、ホンダのS2000などは2リッターで250psを絞り出していたのです。
ただし、平成12年規制で燃費をよくしていくことが求められるようになり、エンジン出力の見直しが始まりました。原油の高騰や環境問題の深刻化が後押ししたと言えるでしょう。
そもそも、ピークパワーを上げるためにはエンジンの回転を高くする必要があり、燃費には不利に働きます。最高速度は上げることができますが、通常の運転時にはあまりメリットがありません。
だから、最近は無駄に最高出力を上げるのではなく、フラットトルクでどこからでも加速できるようなエンジン特性を求めるようになってきました。ちなみにヨーロッパでは、だいぶ前からトルク重視のエンジン作りをしていました。
スポーティなモデルで最高出力が下がると、ちょっとガッカリしてしまうかもしれません。でも、数値は下がっても実際に運転すればトータルでは速くなっているはずですよ。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。