第334回:コージのフランクフルト雑記
密かにびっくりカーいっぱい出てました〜
2007.09.27
小沢コージの勢いまかせ!
第334回:コージのフランクフルト雑記密かにびっくりカーいっぱい出てました〜
ウラミツラミのショー
最近バタバタしてて全然更新できなくてスイマセン。新ネタはいっぱい溜まってるんで続々“勢いまかせ”で!
ってなわけで、先日まで行ってたフランクフルトショー報告をまずひとつ。
さて、今年のドイツメーカーがハイブリッドカーの嵐だったことを知ってる人も多いはず。メルセデスベンツのブルーテック・ハイブリッドや、BMWのほぼアイドリングストップだけのマイクロハイブリッドと、「コンセプトX6」に搭載されていた本気のアクティブハイブリッド。さらに「ポルシェ・カイエン・ハイブリッド」に加えて、オペルの何でもありエココンセプトの「フレクトリーム」などなど、そのほとんどは日本車のウラをかくようなディーゼル・ハイブリッドばかり。
わがドイツのK師匠によれば「あれはリベンジだよ、ドイツメーカーのリベンジ!」だそう。前回2005年のフランクフルトショーでトヨタやホンダなど日本メーカーが続々ハイブリッドを出して、ドイツの環境団体に大ウケだったことへのウラミツラミをぶつけてきたというわけだ。うーん、結構そんなセコい感情で動いてるのね。自動車メーカーって。
そのほか今回、フランスのPSAグループまで「プジョー308」&「シトロエンC4」でハイブリッドHDiなるものも出してたし、おそらくそのリベンジマインドは全ヨーロッパ的なんでしょう。
見た目牛肉、実は豆腐
でもね、勉強ギライの不肖・小沢としては小難しいディーゼル・ハイブリッドより、単純に見た目わかりやすいビックリコンセプトカーの方が面白かったな。
まずは「フォルクスワーゲン up!」。ようするに次世代VWコンパクトのコンセプトカーで、ストーリー的には新たにVWグループ全体のデザインチーフに納まったカリスマデザイナーのワルター・デ・シルヴァが打ち出した新機軸ってことで興味深いわけ。だけど、コージ的には正直、「コレ、どこが新しいんだ?」と思ったのも事実。可愛くてシンプルなフォルムだけど、オーソドクスだし、あえて暴言しちゃうとホンダの初代トゥデイだってこんなカタチだったじゃん! といえなくもない。
ただね。話を聞いて驚いたのも本当。というのもこのup! リアエンジンだっていうのだ。後に話したVWデザイナーによればこれは衝突安全、特に歩行者保護に気を使ったデザインで、エンジンが入ってないノーズはそのためのクラッシャブルゾーンとしてそっくり使えるし、リアエンジン特有の走行の不安定さも最近の電子制御技術を使えばバッチリだそうな。ようするにDSCとかのダイナミック・スタビリティ・コントロールの類の恩恵を多大に受けることができる。
と考えるとこのプレーンなフォルムの中には結構な革新技術が詰まってるようで、いわば一見変わってないのに中身大変身っつう“見た目牛肉だけど実は豆腐!?”みたいなびっくりカーってことになる。ちょっとヒネり過ぎかな? この例え。
次期型コペンも楽しみ!
あと既に報告されちゃってるけど、やっぱ面白かったのは中国車。上海ショーでアレだけ叩かれながら、それでもチャイナオートモービルって会社が、BMW X5パクリカーの「Sheunghuang CEO」や、旧型トヨタRAV4ソックリの「Jonway UFO」なんかを持ってきた。まったくもって中国人、何を考えてるかわかりません。せっかく忘れかけてるのにわざわざ紛争ネタを思い出させるなんて、よっぽどケンカ好きな国民なのね。
それから個人的にはダイハツよダイハツ! フランクフルトでもジミな部類のホール4の1階にひっそり置かれていた「OFC-1」はまごうことなき次期型「コペン」でしょう! ボディは全長3.4m弱、全幅1.5m弱、全高1.3m弱とまさしく軽サイズでエンジンは660cc直3ターボ、さらにステアリングホイールはご丁寧に右とくる。ついでに電動ハードトップは進化して流行りの3分割式になってるし、これがコペンでなくてなんていうんだー! ってデキ。
デザインは小沢的には現行の可愛らしい丸目を捨てちゃってて残念な面もあるけど、これはこれでスポーティだし、きっと走りは大幅に進化してるはず。楽しみ〜。
で、最後にもうひとつ気になったのをあげるとすると、シトロエンの「C-カクタス」。今ひとつ意味のわからない名前で、中身はマジメなC4ベースのディーゼル・ハイブリッドのコンセプトカーなんだけど見た目が凄い。
そのフグみたいなフロントマスクや、オシリだか顔だかわかりにくいリアビューもさることながら、インテリアが花柄! でも、コイツが日本車とは違い、結構オシャレなのだ。さすがはおフランス、同じファンシーデザインでもセンス違うなぁと思わされたわけです。
ってなわけでマジメな正論のウラにも、ちらほらダジャレのようなクルマも登場していた2007年フランクフルトショー、楽しかったぜ〜!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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